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志村辰弥神父著『カトリックとプロテスタント - わかりやすいその分析』、5

2016-07-10 05:13:23 | プロテスタント
志村辰弥神父著『カトリックとプロテスタント - わかりやすいその分析』

◆5、ルーテルの生涯

 たまたま、1517年、ユリウス二世教皇が、ローマの聖ペトロ大聖堂の改築のために公布された免償が、ヴィッテンベルクで公示されました。ルーテルは、それを教義的には認めながらも、その乱用を知って強く憤慨し、同年10月31日、ヴィッテンベルク大学の聖堂に九五の命題をかかげて反対しました。これがいわゆる「免罪符」問題です。

 「免罪符」とは、ラテン語のインドゥルジェンツィアの訳語として日本の西洋史に通用していますが、これはプロテスタントによるまちがった訳語です。インドゥルジェンツィアとは、すでにゆるされた罪のために果たすべき″つぐないのなだめ"、すなわちカトリックでいう「免償」で、これは、教会が決めた条件のもとに得られるものです。教会は、キリストと聖母マリア、および聖人たちのありあまる功徳を利用して、このつぐないのなだめを与えます。したがって、正しい訳語は、「免罪」ではなく、「免償」です。

 ところが、これが人文主義者や改革を望む教会内の一部の同感をよんで、二週間内に全ドイツへ広まり、大間題を引き起しました。ローマでは、ルーテルを呼んで裁決しようとしましたが、かれは応ぜず、ザクセン候フリードリッヒの加護の下に、共鳴者を獲得して自分の主張をゆずりまぜんでした。

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