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『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 8

2017-02-22 22:28:44 | リジューの聖テレーズ
『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 8

 テレジアは、8才と6か月で、姉さんたちと同じシスターの学校に通学します。セリーヌもいっしょです。テレジアは、仲よしになった友だちに、「ねえ、イエズスさまを喜ばせるために徳の花をささげましょうよ。」もれ聞いて、おどろくシスター。

 成長していくテレジアに、少しずつ分ってきたことがありました。それは、当時まだ、ちゃんとした学校にゆけなかった田舎の子どもたちのことです。

 さっそく子どもたちを集めて小さな先生は、教理を教え、祈りをさせます。教会にも、告白にも導いてあけます。こうしたある日、ふたりの女の子の貧しいおかあさんが病気になりました。それから、長いあいだ、テレジアの訪問がつづいたのです。病人の看病を子どもたちの世話!

 でも、子どもたちは、なぜかイエズスも、マリアも、天国も知りません。それでもやがて、テレジアの教える教理のお勉強に、かわいい質問がはじまりました。テレジアに教えられて、イエズスを喜ばせるための徳の花まで!

 1882年10月2日、おかあさんがわりだった姉のポリーヌが、父と姉妹に別れをつげてカルメル会にはいります。《一生涯を神にささげ、イエズスのことだけを考え、イエズスだげを愛し、イエズスのためにだけ生きたい。イエズスの苦しみに、わたしのぎせいをたくさんそえて、罪人の救いのために祈りたい》と前から考えていたからです。

 「そんなら、わたしもいっしょに修道院にはいりたい」と、テレジアがどんなにいっても、まだ9才になったばかりです。満16才にならないと、と断られてしまいました。いろいろとつもる悲しみに、とうとうテレジアは病気になりました。とても不思議な病気です。もうなおるみこみはありません。

 でも、必死に祈る家族の願いに、聖母のご像は、大きぐかがやいて、テレジアに近づいてきます。そのはほえみの甘美なこと! このしゅんかん、テレジアは、もう完全になおっていました。

『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 7

2017-02-21 03:28:38 | リジューの聖テレーズ
『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 7

 テレジアの心に、イエズスヘの愛が、しだいに強くなっていきます。

 まだご聖体のみ主をお迎えしていませんが、ミサにいくのが嬉しくてたまりません。まして、毎年さかんな聖体行列の行事が行なわれるご聖体の祝日は、まちどおしくてなりません。
 この日テレジアは、きれいな純白の服をきて、ご聖体を運ぶ神父さまの前に出ます。ご聖体のまえで花をまく役目をたのまれたからです。テレジアは、花びらを高く高くこ聖体にむかって投げたかったのです。地面にまくなんて思いもよりません。でも、夢中になっているテレジアに、おとうさんとお姉さんが、くり返していいました。

「それは、すてきなことだけど、徳の花をイエズスさまの前にまくのは、もっと大切だよ」

 そのチャンスがすぐやってきました。お散歩から帰ってきたある日のことです、

「お姉ちゃん、わたし、とっても、のどが渇いちゃった」と、台所にかけこんだテレジア。「そう、でもね、飲むのをちょっと待ったら、ぎせいをイエズスさまにささげられるわね、どう?」と姉。テレジアは、つかんだコップを離しました。《ええ、わたしは、ひとりの罪人を救うために、喜んでこのぎせいをささげるわ》と思ったのです。でも、わずか5-6才の子どもにとって、大きなぎせいでした。

 おとうさんは、娘たちを連れてよく川岸に散歩に出かけました。楽しみは、魚釣りです。そのあいだ美しい自然の中を走りまわる娘たちの楽しげな声が父の耳を喜ばせます。でも、テレジアは遊んでから、ひざまずいて、「おお、天のおとうさま、こんなにたくさんの美しいものを、つくってくださってありがとう」と感謝するのでした。

『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 6

2017-02-13 14:05:11 | リジューの聖テレーズ
『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 6

 イエズスさまは、おおせになりました、「天の国は、暴力でせめられ、暴力のものがそれを奪う」(マタイ11・12)と。

 すると、努力なしには、天国にいけないことになります。この暴力の意味をテレジアは、よく知っています。自分の悪いくせや誘惑に戦って勝つことです。だから、母がわりの姉さんが、きびしく教育をするとき、つらくても、自分のためと考えて、まいにち、たくさんの徳の花をイエズスにささげました。

 主は、またあるとき、こうおっしゃいました、「助けるために、小さな人や貧しい人、困っている人にしてあげることは、わたしにしてくれることになる」と。

 それで、マルタン家では、前から貧乏人に施しをする習慣がありました。それは、たいてい月曜日になっていたので、その日になると、午前ちゅうにたくさんの貧乏人が訪れます。

 ある日、姉のポリーヌが、テレジアにいいました、

「テレジアちゃん、これからあんたは、貧しい人の召し使いになるのよ。月曜日の施しをくばる役目をあげるからね」

「わあ、うれしい!」テレジアは、とびあがって喜びました、「早く月曜日が来ないかなあ!」

 いよいよ、きょうは月曜日です。ほほえみながら、姉さんの準備したパンやお金を親切にくばるかわいいおじようちゃんに、貧しい人たちは、感嘆しました、「まるで天国からまいおりてきた天使みたい!」と。

 父と散歩するときも、出あった貧しい人に施しを渡すのは、きまってテレジアの役目でした。

『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 5

2017-02-10 10:17:50 | リジューの聖テレーズ
『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 5

 父と散歩に行ったかえり道、日が沈み、空に宝石をちりばめたように星がかがやきはじめました。おとうさんに手をひかれてテレジアは、空を眺めました、《神さまがおつくりになったお空があんなにきれいなら、神さまは、どんなに美しいかしら!》と思っているうちテレジアは、すてきなものを発見しました。

 「パパ、見てちょうだい。あそこに、わたしの名が……ほら、Tの字に星が並んでるでしょ、テレジアのかしら文字よ」

 「おやおや、ほんとうだ、確かにTの字になってるよ。これはすごい!」パパも感心しました。テレジアに空を眺める興味ができたのは、その時からでした。《やっぱり神さまは、わたしを愛していらっしゃる、名を天にかいてくださるんだもの、きっと天国に連れてってあげるということだわ》と考えたのでした。

『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 4

2017-02-09 23:49:11 | リジューの聖テレーズ
『おさないイエズスの聖テレジア』企画:デルコル神父 文:江藤きみえ 4

 おかあさんが病気になりました。ますます重くなっていきます。もうテレジアの世話ができません。悲しげなおかあさんの声が、娘ポリーヌをよばせました、「おお、ポリーヌ」

 やせ細った手で抱きしめるおかあさん。娘は、涙をじっとこらえました。母は、残りの力をふりしぼって、「姉妹たちをまかせます、どうぞ、おかあさんになってやってね」と願っています。

 「ええ、おかあさん、お約束します」ポリーヌの声がおえつでとぎれました。

 すぐ司祭が呼ばれました、最後の秘跡を受けて、深い信仰のうちに、おかあさんは帰天しました。テレジアは泣かないで、ほほえんでいいました、「おかあさんは、いま天国に行ったのよ、イエズスさまのそばで、どんなに楽しいでしょう」と。

 その日から姉のポリーヌがテレジアの母です。父は聖堂にいき、テレジアと長い祈りをささげ、娘たちの教育に全力をつくす決心をしました。