予告された殺人の記録 (1987)

2006-01-15 08:19:44 | 映画のはなし

予告された殺人の記録 (1987) Cronaca di una morte annunciata 110分 伊仏

監督: フランチェスコ・ロージ Francesco Rosi 
原作: ガブリエル・ガルシア=マルケス Gabriel Garcia-Marquez 
脚本: フランチェスコ・ロージ Francesco Rosi トニーノ・グエッラ Tonino Guerra 
撮影: パスクァリーノ・デ・サンティス Pasqualino De Santis 
音楽: ピエロ・ピッチオーニ Piero Piccioni 


物語は27年ぶりに故郷に帰ってきた医師クリスト(ジャン・マリア・ヴォロンテ Gian Maria Volont )の回想で始まる。(映画は時間が前後してパズルのような展開をするがここでは事件が起きた順に取りあげる)


事の始まりは事件が起きる半年前に、この町にハンサムな青年バヤルト(ルパート・エヴェレット Rupert Everett)が、結婚相手を探しに来たことだった。


彼はアンヘラ(オルネラ・ムーティ Ornella Muti )と出会い惹かれる。


彼女には双子のビカリオ兄弟(カルロス・ミランダ Carlos Miranda ,ロジェリオ・ミランダ Rogerio Miranda)がいた。


陽気で美形のサンティアーゴ(アントニー・ドロン Anthony Delon)は女の子達の人気の的。


フローラ(カロリーナ・ロージ Carolina Rosi)とは恋仲だった。


バヤルドは金にものを言わせ、次第に兄弟や母親(イレーネ・パパス Irene Papas) を惹き付けていく。
アンヘラは結婚を拒否するが強引に説得されてしまう。

 二人で夕方の河をボートでデイトするシーンは幻想的で美しい。




次々に挿入される珍しい小動物や鳥、そして野生の馬たち。


バヤルドは言う。「この町のどの家が一番好きかい?」
アンヘラは答える。「ジウスさんの家」


妻との思い出がつまった家。
頑なに家を売ることを拒否するジウス(アラン・キュニー Alain Cuny )だったが、目の前に積まれた大金に涙を流して承諾せざるを得ない。
(この世に金で解決できないものは何一つない、とよく言われるが・・・)


そして町を挙げての壮大な結婚式が行われる。


しかし彼女は処女ではなかった。
泣きながらバヤルはその晩のうちに彼女を家に連れ戻すのだった。
母親と兄弟に責められて相手を「サンティアーゴ」と言うアンヘラ。


兄弟は名誉のためサンティアーゴを殺すことを町のあちこちで予告するが、ためらいもある。


その日は鳥の糞を浴びる夢で目が覚めたサンテァーゴ。
母親は鳥の夢は健康の印だから縁起がいいと言うが・・・

 
またその日は司祭が町に来る日で盛大な出迎えをするが、町は素通りされる。
(すごい人出、まるで実際の祭りのように)


しかし決定的な動機は兄の許嫁が「腰抜けとは結婚しない」という言葉だった。




殺人の予告以来、酒浸りの兄弟だったが、この言葉に意思を決定する。


予告された殺人は警察を始め町の大半の人たちは本気にしない。
サンテイアーゴはフローラの父から初めて兄弟が自分を殺そうとしている事を知らされるが、半信半疑である。
殺人を予告した手紙や、人の忠告が様々な偶然によって彼や母親に届かない。
多分予告を最後に知ったのは彼だったのだろう。


兄弟は回りを見ながらサンティアーゴを追いかけるが誰も止めない。
みんなの前で、家の門の扉を閉じた母親の前で彼は21才の若さで殺されてしまう。
その後兄弟は教会に逃げ込む。


酒に溺れたバヤルドは母と姉妹によって家に連れ戻される。


その日からアンヘルは毎週25年にわたってバヤルルドに「恋しい人」と手紙を書く。
しかし返事はなく、ある日自宅の前に手紙が延々と棄てられている。


たどっていくとそこには年老いたナヤルドがいて、無言のうちに許しと抱擁が行われるのだった。

◎年老いたクリストがアンへラに本当に相手はサンティアーゴだったのかと聞くと、「私を責めないで」と答えない。
事実は闇の中だ。
サンティアーゴの家は名門で金持ちだ。反感を持つ人たちもいただろう。
彼はハンサムで若い。 いろんな女の子に手を出し、相手にされない子もいたかも知れない。
殺人の予告を誰もがほとんどが本気にしなかったこと、様々な偶然と人々の思惑が交錯して殺人は遂行される。
人々は事件を思い出し自分なりに再構築する、それは好奇心からでなく運命が彼を選んだ理由を知りたかったのだ、と言うシーンが印象的だ。
しかしアンヘラの相手がサンティアーゴでなかったら、自分の兄弟が殺したのに、それはそれでおいといて愛の手紙をバヤルドに書き続けるという行為が出来るのだろうか?
原作はサンティアーゴの殺される場面は残酷な表現らしい。
映画は全編を通して南米の明るい風景と広い空、音楽が美しい。

◎昨日はすごい雨だったが、今日は快晴。

 

 


 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿