~南知多キャリア・ビレッジ通信~

愛知県知多半島の南端、南知多町。若者の就労支援と南知多の活性化をコラボしていきます。合宿型若者自立プログラムやってます!

ある卒塾生への支援 つれづれ書き

2006-03-25 22:24:31 | 若者自立塾
キャリアビレッジ若者自立塾の1期生が巣立って、4ヶ月が経ちました。この間、就業には至らなかった人というのはあと1人という状況になっていましたが、その1人も、就業の可能性が出てきました。来週の木曜日に職場見学&面接との事で連絡が入りました。結果が出るのが楽しみです。

逆に、早々と仕事に就いていた卒塾生の中には、「向いていない」、「労働環境が厳しい」など、そろそろ離職の話が出てきているというのも現実です。
「向いていない」という考えになった卒塾生。彼は、塾に来る前もいくつかアルバイトをしては長続きせず、30歳を超え、家からは「これ以上面倒見切れん。帰ってこなくていい。」と半分勘当状態で塾に送り込まれてきたという経緯です。
彼は、介護の仕事を在塾中に志し、労働体験では当初から介護施設に出向いており、彼自身の努力もあったのですが、幸運なことに体験先の社長から「このまま就職する気があるならアパートも探してあげるし、どうだ?」と声をかけられるまでになり、卒塾と同時にその介護施設に就職となったのです。
しかし、1ヶ月ほど前、「利用者のおじいちゃんおばあちゃんとのコミュニケーションが非常に困難だ」と相談に来たのです。

すべて上手に出来る人、何も不安のない人などはいるはずがありません。

「向いていないかどうか結論を出す前に、その課題に『どうすれば乗り越えられるか』をもっと突き詰める時間も必要なのでは?自分が悩んでいることは、他の人でも同じように悩んでいることもよくある事です。先輩に、どう克服してきたか尋ねてみたり、事例集のような書籍を読むなり、方策はあるはず。志したものから離れるには、少々性急過ぎる。やるべきことを残している。」と伝えました。

他に理由がある可能性も感じましたが、言い訳に対して正面から見つめていく手段を提示し、やらなかった時に、その他の可能性に言及するつもりでその時は区切りにしたのですが、それから2週間ほどした時に、他の卒塾生から、「彼、辞めたみたいだよ。」と聞き、非常に残念に感じました。
本人からきちんと話してほしかったのです。
相談をした人に対して、その気持ちを大切にするということを考えるほどの余裕がなかったのでしょうか、、、。

再び、そのままでは私自身納得がいかない部分があり、食事に連れ出し、辞めた真意を確かめようと試みました。
やはり、「向いていない」以外にも労働環境に対する不満も少なからず持っていたようです。ただ、合わないということもあながちうそではなく、
彼曰く「体験の時期を含めて6ヶ月やって、自分には向いてないと納得している」
「親の手前、家には帰れない。必死で仕事を探し、収入を得ます」
と主張していました。かといって、次どうするかは全く決めずに辞めてしまったという点は、また前の状態に戻る危険を感じました。
彼には2冊の書籍を渡しました。「とにかくやってみよう」という題名の本と、「もし地球が100人の村だったら」という本です。
彼の課題は、
1、生活するためのたくましさを持つこと、不安は誰でも持っていることに気づくこと
2、不幸な自分だと思っているなら、もっと視野を広く持って世の中を捉えること
3、あきらめないこと、継続すること
あたりを感じていましたので、そのことについてじっくり考え、次の行動へのステップとしてほしかったからです。

そして今日、彼からメールが来ました。
「いろいろあって、お金もなくなりそうだし、実家に帰って就活します。」
という文面。
ほんの2週間前に「必死で~」と言っていた筈なのに。
彼の一番の課題は、自分の言葉に責任を持つ。に変更です。

これから卒塾生がますます増えていきます。必ずフォローが必要です。
OB会を4月8日に実施します。3ヶ月で芽生えたお互いの縁を大切にしていきます。









絹さやのスジ

2006-03-09 23:02:14 | 若者自立塾
今日は、明日の朝食の仕込みで、塾生数人に絹さやのスジをとる作業を手伝ってもらいました。やってもらうといろいろ見えてきます。非常に手際のいい塾生、不器用で、途中でスジが切れてしまうと爪で深く絹さやの実の部分を深くえぐってスジをとろうとする塾生、絹さやを見たことがないという塾生まで登場しました。そんなちょっとした場面も訓練の一環として位置づけることも出来たりします。

絹さやのスジをとりながら、その雰囲気が「内職」に似ていたので、内職の話をしました。

「車のゴム部品のバリとりという内職がある。ウチのカミさんも、子供がまだ小さくて、外で働くのがはばかられる時期にはその内職をやってた。1個当たり、40銭から1円というもので、1時間あたり500個出来るかどうか。500×0.5=250円!なんと、時給250円見当の仕事だった。しかし、子供を保育園なり託児施設なりに預けて働きに出ても、その収入の大半はそういった施設の費用に消えてしまう。そう考えると、何もしないよりかは内職やっていたほうがマシと考え、コツコツとやっていた時期があった。」そんな仕事があるんだという驚きの雰囲気が塾生から伝わってきました。
ここで大切なことは、「とにかくやる」ということで、何もしなければ得られることもない収入が、少額であっても発生するならそれを選択するという考え方は、ニート状態の人に是非持ってほしい部分です(かといって内職しろということではないですが)。
お金を稼ぐということは、本当に大変なことです。

ここに集う若者を見るにつけ「定められた時間をその職場で過ごしたから給料が発生する」という考え方を持つ若者が多いと感じます。サービス残業や長時間労働については問題視されて然るべき事ですが、自己成長を得ようとするなら地味な作業や単純作業であっても厭わず、取り組む事は取り組むという姿勢が必要なのではないでしょうか。

絹さやのスジを向きながらふと思った次第です。

「YOUR TIME」始めました

2006-03-03 22:39:17 | 若者自立塾
自立に向けて重要なこととして、「自己有用感」を持たせることが考えられます。「自己有用感」とは、「自分自身のよさを認め、自分を肯定的に受け止めることができる存在感。」と定義付けることができます。自分が所属する集団から、承認・賞賛・感謝・支持などを受けることによって、自己評価を高め、その集団において安定した存在感を得ることができます。この実践として、本日より「YOUR TIE」と銘打って、塾生の趣味や特技を他の塾生に伝授するという時間を週2回程度設けることにしました。
皮切りは「ヨガ」。趣味で習っていた塾生が、呼吸法や足裏のマッサージを教えてくれました。スタッフも極力参加します。当然、スタッフはここを職場として仕事をしています。そういう立場の人間が現在働いていない人から教えを受け、賞賛を与えるということは、本人にとって非常にプラスなのではないかと考えています。働くということはよく「はた(他人)」を「らく」にすることと言われます。この企画は特に他人が楽にはならないかもしれませんが、自分が主役になることや、それを受けた人が「へえ」と思うだけでもかなり良い効果が生まれるのではと期待しています。
反面、何も人に誇れるものがないという人にとって、当番のように担当が回ってくるとおそらく逆効果でしかないでしょう。当面、何かやれるという人だけが主役になるパターンだとは思いますが、この時間は大切にしていきたいと思います。