~南知多キャリア・ビレッジ通信~

愛知県知多半島の南端、南知多町。若者の就労支援と南知多の活性化をコラボしていきます。合宿型若者自立プログラムやってます!

人を前進させる出会い

2008-05-25 07:15:54 | 若者自立塾
昨日は私は「なごや若者サポートステーション」主催の
保護者勉強会の講師として塾を不在にしていました。
そんな折、塾ではひとつのドラマが展開されていたのです。

現在11期生の多くがもうすぐ卒塾を迎えようとしています。
その中の一人の塾生(仮にA君とします)の話です。
5年間の無業状態に終止符を打つべく、
就職活動に取り掛かりました。
塾に来た段階で、やりたいこととできることのバランスを考え、
塾で過ごす中で取り掛かったPCスキルを活かしての就労を
方向性として定め、先週、ある企業に面接に行ってきたのですが、
面接日が近づくにつれ、「本当にこの職種でいいのか」という
根源的な部分で揺れていました。
面接の練習を通して、カウンセリングをし、その中でアドバイスしたことは、
動いてみて、明確になることもある。とにかく塾にいる間に
面接に行ってみよう。そこから生まれてくる何かが今後の行動を
さらに明確にしてくれるはずだ。」ということ。

雇う側にしてみれば、無業期間5年という応募者を諸手を挙げて
雇いたいという風にはならない場合が多いですが、
「未経験者可」という求人を出している中小の企業であれば
再スタートに対して理解を示してくれる場合も多いので、
とにかく過去と訣別し、今、働きたいという心境にあることを
正直に、謙虚に伝えるようアドバイスを与え、いざ面接に。

面接の様子について訪ねてみると、仕事の話だけではなく、
いろいろ話を聞いていただけたとのこと。塾のことも
きちんと話し、しっかり就労の準備に取り組んできたことを
伝え、先方が採否を迷うようなそぶりを見せた際、すかさず、
「給料いらないので試しに1~2週間、職場に参加させてほしい。
その上でご判断いただくことは出来ないか。」と、
アドバイスしておいた通りにやってきたとのこと。
なんだかんだで1時間ほどの面接になったとのことでした。

それが今週の火曜日の話でした。

そうしたら昨日、なんとその面接対応者=社長がふらっと
塾を訪ねてきたというのです。

「A君が面接で話していた塾というものがどんなところで、
何をしているところなのか、A君はそこでどんな風に過ごして
来たのか興味が湧いたので。」とのこと。

実は、A君が面接に行く前に、未経験者の採用予定2名は既に
決まってしまっていて、とりあえずハローワークの紹介状も
あるとのことだったので、話だけ聞いて断ろうと考えて
いらっしゃったとのことですが、実際に会ってみると、
非常に見所のある若者だという風に思っていただき、
不採用にしたくないという思いが大きくなったとのこと。

採用計画という問題がクリアできるかどうか社内で検討中とは
おっしゃっていましたが、わざわざ片道70km近い距離のところまで
会いに来ていただけた、その行為に感銘を受けました。
(お会いしたかったなあ、、、残念)

A君自身も驚いたようで
「その企業に就職できたら真面目に頑張りたいです」
「仮に今回不採用であったとしても、こんな僕の為にわざわざ時間を
割いてくれて、とても嬉しいし、その社長にすごく勇気づけられました」
と、就職活動に関してぐんと前向きな思いをもってくれました。

A君にとって、今回のことは本当に良い経験になったと思います。

人間は一生のうちにどれだけの数の人に出会うことができるのか。
この日本の人口は約1億2600万人。
仮に100万人との出会いがあったとしても1%にも満たない。
そう考えると非常に少ない出会いです。
出会った人によって人に対する考え方も形成されると思いますが、
非常に少ない出会いの中で「人間ってこういうふうなんだ」と
考えてしまうわけです。
もし、過去にいい出会いがあまりなかった人は、
まだ世の中のほんの一部の人にしか出会っていないんだ、
もっといい出会いが「これからある」と信じてみてはどうでしょう。
また、相手にとって自分との出会いがいい出会いとなるよう、
自分自身が心がけることによって、その確率も高くなるような
気がします。

いずれにしても、出会ってみなければ分かりません。
恐れず、積極的に。