~南知多キャリア・ビレッジ通信~

愛知県知多半島の南端、南知多町。若者の就労支援と南知多の活性化をコラボしていきます。合宿型若者自立プログラムやってます!

何をもって平等とするか

2008-01-09 22:52:51 | 若者自立塾
皆さんは、「見習い」とか「研修」という言葉をどのように受け止めますか。

労働者の権利として、最低時給というものが定められていますが、
その権利を主張しきれるかどうかは非常に難しいことと感じます。

塾に来る若者の中には、中卒、高校中退で20歳前後、学校を離れたあとは
アルバイトもしたことがない、ひきこもり状態だった人もいます。
社会とはどんなものなのかを実感することなく過ごしてきている状態です。

一般的には、「発達課題」と言われる、年代ごとに獲得すべき課題が存在します。
10代後半の若者には、職業観や勤労観、年齢相応の責任感、行動指針、
良心的価値といったものを獲得あるいは獲得する準備が発達課題として
挙げられるのですが、ひきこもり状態になると、社会との接点がなくなり、
それらを涵養する機会を喪失している場合がほとんどです。
という事は、20歳であっても中学校3年生と比較しても幼い考えや
行動しか取れない人もいることは想像できるところです。
実際、塾生を見ているとそのとおりなのです。

さて、そのような状態の人を、雇用側は大人扱いして
雇うことができるかどうかです。
周囲は、発達課題をクリアし大人になってきた人達ばかりで、
そこに、法律で定められているからといって、同等の給料を支払うことは、
その職場の調和を乱すことになる場合もあります。
以前から働いている人や、若くても積極的に仕事を覚え頑張っている人から、
「なぜ同じような給料なのか」という不満が噴出することがよくあるのです。

塾生の状況を理解した上でアルバイトとして雇っていただける職場が
数軒あるのですが、経営者も慈善事業ではなく、全ての従業員のことを
踏まえて判断していらっしゃる中、最低時給を下回るスタートということも
珍しくありません。いわゆる「見習い給」です。
しかし付随して「社会とは」「仕事とは」「自立とは」ということを、
塾という環境を離れたあとでも教えてくださる非常にありがたい存在です。
それはお金とは別の大きな財産を手に入れる機会ではないでしょうか。

ただ、ひきこもり状態から脱したばかりでまだ20歳そこそこですと、
そのようなことにまで考えが及ばないというのが現実には多く、
少々辛いことがあると、ひどい場合には連絡も入れず、電話がかかってきても
出ず、仕事をサボるということもあります。
不平等だと感じているのでしょう。
自分ばかり辛い思いをしていると感じているのでしょう。
しかし、そこを乗り越えてほしいのです。
立ち向かわず回避すれば、もっと辛い状況になることのほうが多いのが現実です。
だれも支援してくれなくなるかもしれません。
それは本当に辛いことではないでしょうか。
これから自立を目指すのであれば、今の自分自身の状況を受容し、
目の前の課題を一つずつクリアするほかありません。
溜めると嫌になります。

私は、不平等な世の中というのは、人に決められた人生しか送れない世の中だと
考えています。今はどうでしょう。生まれたときからこの職業しかできないと
決められている人はいません。選択の自由は保障されています。
ただ、その職業に就きたいと思ってもなれない場合はあります。
それは努力の量、実力、運、覚悟など、様々な要素の結果です。
何か一つだけが原因という事はありません。
希望通りにならなかったとき、落ち込んでも結構ですが、
立ち止まると辛いだけです。
前に進みましょう。