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イラクの民間死亡者10万人を超える

2004-11-01 23:50:47 | ニュース@海外
 10万という数に、当然overestimateだunderestimateだという議論も出てくるかと思いますが、心を打たれたのは、いま世界でもっとも危険な場所といわれるイラクで、調査をおこなった研究者たちの勇気でした。
 
 新潟の震災では、瓦礫につぶされた車の中で4日間も一人でがんばった優太ちゃんの姿に、たくさんの人が心を動かされたのではないでしょうか。そんななか、イラクでは彼と同じような子どもたちが、爆撃を受け、瓦礫の下敷きになり死んでいっています。なのに米軍は、ファルージャへの総攻撃を明言しています。心が凍ります。

 そんななかで、この9月おこなわれた調査についてのロイター記事です。

 あい


イラクの民間死亡者10万人を超える
ロイター
バトリシア・レイニー

2004年10月28日

【ロンドン】昨年はじまった米国主導の侵略以降、イラク人が数万人規模で殺されている。このたび米国の公衆衛生専門家たちがまとめた報告によれば、この18ヶ月で推定10万人が「過剰に死亡」している。

 死亡率上昇の主要な原因は暴力行為で、そのほとんどが米軍による市街地への空爆である。

 「控えめに見ても、2003年イラクへの侵略以降、およそ10万人またはそれ以上の数で過剰の死亡者が出ている。」ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学部のレス・ロバーツ氏は、ランセット医学ジャーナルがオンラインで発表した報告のなかで、こう述べている。

 ロバーツ氏は、ロイターに対し「民間人が多く住む地域で空軍力が使われていることで、女性、子どもの死亡数が高くなっている」と答えている。

 報告は、イラク戦争が一大争点になっているアメリカ大統領選挙を目前に発表された。

 イラクの死亡者数は、国連の経済制裁により食糧と医薬品が輸入できなかったことから、戦争以前から高かった。とはいえ、同報告を作成した研究者たちは、調査結果に衝撃を受けていると語っている。

 この数値は、研究者らが2004年9月イラクでおこなった調査に基づいたものである。調査は、無作為で選出した諸地域の世帯調査により、2003年3月の侵略がはじまる前の14.6ヶ月と、侵略後の17.8月のあいだに出た死亡者数を比較した。

 シンクタンクや報道関係の情報に基づいてだされていたこれまでの推定は、イラクの民間死亡者数を1万6053人、軍人死亡者を6,370としていた。

 比較までに言うと、ペンタゴンの発表によれば、戦闘または攻撃で死亡した米兵の数は849人、これ以外に事故または戦闘以外の原因では258人が死亡している。

 研究者らは、空爆が死者数の多さの主因であるとしている。

 「確かなのは、人口の多い市街地で空軍力が使われていることで、それがひどい結果をもたらしているということである」とロバーツ氏は述べている。

 調査に協力したギルバート・バーナム氏によれば、イラクにおける米軍の行動は「イラクの民間人にとんでもない結果をもたらしている」。

 バーナム氏はロイターのインタビューに応え、「武力による死亡者数がここまで多い結果が出るとは予想していなかった。この報告が、民間人にこれほどまでの弊害をあたえない方法で、軍事、政治目的を達成する方法の議論が、そうとう真剣になされるきっかけになるよう願っている」と語った。

 調査は、それぞれが30世帯から成る33の集団を対象におこなわれ、死亡した日、情況、原因が記録された。

 調査の結果、侵略以降の時期におこった暴力行為により死亡する危険性は、戦争以前の時期にくらべ58倍も高いことが明らかになった。

 戦争以前、主要な死亡原因は心臓発作、慢性疾患、事故であったが、戦争開始以降、この原因は変わったのである。

 この調査で、暴力が原因と報告された死亡者の3分の2がファルージャでのものである。ファルージャは、バグダッドの西50キロにある、抵抗勢力の支配下にある都市で、何度も米軍の空爆にさらされている。

 ロバーツ氏は「調査の結果はさらに検証される必要があり、この報告が、空爆による非戦闘員の死亡者を減らすための〔政策〕変更へのきっかけとならなくてはならない」とも述べた。

 ランセットの編集者リチャード・ホートン氏は調査について、これはランセット・ジャーナルに今月〔10月〕はじめに提出されたもので、同業の専門家による審査を通っており、イラク情勢の重要性を考慮し、編集、迅速な発行をおこなった、と述べた。

 ホートン氏は論説のなかで「この調査結果は、イラクから遠く離れた人たち、先制戦争に責任を持つ諸国政府の人間にも疑問を投げかけている」と述べている。

原文http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=topNews&storyID=6649066

調査報告原文は、http://image.thelancet.com/extras/04art10342web.pdfへどうぞ

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