ふらんす座への招待

俳句をあそぼう

句会レポート

2013-05-29 13:10:11 | ふらんす座
5月24日(金)
 参加者―たかし、喜哉、ジロー、還水、烈、鈴鹿、白水、さとこ、Kさん、Yさん

 鈴鹿先生は月に一度くらい、カルチャーセンターの聴講生をあつめてワインパーティーを開いてくれるのですが、
この日もその流れで3時過ぎより飲み会となりました。
ワインの買い出しやらつまみを作るのにバタバタしているうちに6時前に まるでジェットコースターに乗ってるみたいに句会に突入しました。
飲み会の流れでKさんとYさんが句会に参加してくださることになり、なかなかテンションの高い句会になったようです。

互選句

 桐の花真っ盛りなり雲流る          (たかし)
 やはらかき光を透す若楓           (たかし)
 乾杯のビールの上の俺の空          (喜哉)
 五月ゆく赤いリボンの落し物         (喜哉)
 初夏がすき公園のこのベンチ         (喜哉)
 種のある手品に種のない西瓜         (喜哉)
 さみだれや「し」の字に眠る栞紐       (ジロー)
 麦酒のむこの人生の桟敷席          (ジロー)
 人の世をまばたきもせぬ鰹かな        (還水)
 魚屋が湯に行くそぶり夏の夕         (環水)
 一生を棒に振っても麦酒かな         (環水)
 我が薔薇プリセツカヤの如く散る       (環水)
 炎帝にかくれてそばを食ふ暗がり       (環水)
 緑陰の道辿り来る配達夫           (烈)
 鳥賊焼くやその匂ひもて夏立ちぬ       (烈) 
 切り落とす枝の若葉や地はみどり       (烈)
 夏足袋のほかは捨てたし衣がえ        (鈴鹿)
 辻堂の地蔵にも手向くカーネーション     (鈴鹿)
 夕風がビールの泡とたわむれて        (鈴鹿)
 友送るうの花垣の別れ道           (鈴鹿)
 レテの川蛇の聲のみ残りけり         (白水)
 筍煮いつも目指すは祖母の味         (さとこ)
 お宮入きらった刑事が宮参り         (Kさん)
 日ごろ見ぬ風を感じる夏の宵         (Yさん)



「人の世をまばたきもせぬ鰹かな」      (還水)
 ジロー―特選  たかし、喜哉、烈、鈴鹿、白水、さとこ―並選

 還水さんはこのところ好調で句にはずれがない。
(このブログではメンバーを少々誉めすぎのきらいがありますが、これも句座を盛り上げるためのことで ご勘弁を)
彼は多芸で語ィも豊富なのだが、そういうひとにありがちな頭のなかで句を作るいやらしさがない。自解を聞いてみるとほとんどが実景から起こされた句である。以前高得点を取った大根の句もそうだが、身近にある食材から詠まれた句が多い。この句もしかり。
印象的な見開かれた鰹の眼から、より広い観念的な世界が現前しているようだ。
ただ具体的な鰹の眼があるばかりなのだが、さも意味があるかのような投げ出され方をしている。
切り口があざやか。

俳句は余技である、とは久保田万太郎の弁だが、還水さんには余技という言葉が似合う。
余技といっても、本筋ではない手すさびというような意味ではなく、実景を重んずる俳句の基本を押さえつつ、その軽さを身に纏うといったような意味である。それは文学的野心のない芸事にちかいのかもしれない。
名人になる日は近い。


「緑陰の道辿り来る配達夫」    (烈)
 喜哉、ジロー、還水、鈴鹿、白水、さとこ―並選

 一気に詠み下した素直な句。
視点としては配達される家からのもので、遠くから配達夫が見えるということは都会ではなく田舎の風景だろう。
便りを心待ちにしている心情がうかがえるようだ。
どんな便りなのだろう? あるいは通販で何か買ったのだろうか 奥様に内緒で、だから奥様が帰宅しないうちに
でも、炎天ではなく緑陰だからいかがわしいものではないだろう・・
  
  

金星観測記念碑

2013-05-12 14:01:50 | たかし
 王子公園に動物園が出来るまでは、諏訪山公園に動物園がありました。その動物園があったところに明治7年、ヤンセン率いるフランスの観測隊が金星の観測を行なった事を記念して、石碑が建てられています。
この時日本のマツチ興業の開発者清水誠が、この観測に従っているが、彼の名前もこの碑に刻まれている。

諏訪山の展望台を金星台と呼ぶのは、この記念碑が建っているからである。すぐ北にある再度ドライブウェイの展望台にヴィーナスブリッジの名が付けられているが、これは金星の事である。

なお、この金星観測記念碑の山側に「海運営」の碑がある。これは勝海舟が将軍家茂の神戸上陸を記念して建てたもので、もともと海軍操練所の地に建てられていたが、大正4年(1915年)に現在の場所に移された。

又俳人它谷の 紀の海の阿波へ流れる月夜かな  の句碑があり、この山から南海の展望が素晴らしい事を伝えてくれている。

以上は神戸市中央区の誕生10周年記念誌に掲載されていたものを参考にいたしましたが、どうしても俳人它谷の生い立ちが知りたいのですが。
ご存知のお方がおられましたら 御教示いただければ幸いに存じます。よろしくお願い申しあげます。

                
                      平成25年5月  吉川 隆

句会レポート

2013-05-01 15:35:21 | ふらんす座
4月26日(金)

 参加者―たかし、喜哉、ジロー、還水、烈、鈴鹿、白水、アキ、荒岩張、サトコ

先日、名古屋に行く機会があって徳川園という所を訪れたのですが、若楓がとても美しかった。
秋には見事な紅葉になるのでしょうが、陽光を透かした若葉の楓はさりげなく美しい。 駅からかなりの距離を歩いたことも忘れて、リセットされたような気分になりました。なにか、人のさりげない優しさに触れたときの幸福感に似たものを感じました。
出かければなにかいいことがありそうな季節、 人が集いやすい季節になりましたね。
26日、 ふらんす座も10名が集い楽しい夕べとなりました。


『覚醒はかくあるべきと白ツツジ』 (アキ)

ジロー、白水ー特選 鈴鹿、烈ー並選

まるで手品のように、朝起きるといっせいに咲き誇っているツツジ。  他の句にもありましたが、殊に白ツツジは目が覚めるようだ。
覚醒という言葉から、エヴァンゲリオンのようなSFを想像しますが、半ば作りものめいた不思議な感じをよく表している。

『出逢いから・・・』の句もたくさん点を取っていますが、アキちゃんの句は勢いがあってわかりやすい。俳句のかたちにとらわれない作風の強味だと思います。
とかくかたちにこだわるとわかりにくくなったり、伝えたい雰囲気を失くしたりしますが、アキちゃんはその時吹いている風をあつめてそのまま流している感じがしますね。 口語の使い方がうまい。

『ふらここを離れず涙乾くまで』 (還水)

鈴鹿ー特選 喜哉、烈ー並選

口語の使い方で言えば、還水さんはアキちゃんの上を行くかもしれない。
歌謡曲の一節を借用したようにみえますが、どうしてどうして、他の句でも今回は票を集めている。特に女性陣に
ジゴロ然とした、囁くような甘い言葉使いが受けていましたね。
いざ四月の句もどこかオペレッタ風 女たらしのカンスイ面目躍如、といったところです。
アラカンもじってタラカンって言ったのは誰でしたっけ?

しかし、つくづく思うのですが、
二丁目に巻き舌、タラカンにエロヨシ、個性的なメンバーが揃いましたね。




八雲橋辺りに泊る花笩       (たかし)
幽かなる春蘭の香を確める     (たかし)
葉桜に鳩の交尾むや震度四     (たかし)
花弁は残心の舞納めたる      (たかし)
紙ふうせん人の死はみなあっけなし (喜哉)
花疲れお土産はラップしてチン   (喜哉)
そして日の暮れて風船だけ残る   (喜哉)
人妻の唇が触れ来る紙ふうせん   (喜哉
春の夜のひかがみにある別の顔   (ジロー)
手を入るるソファの隙間涅槃西風  (ジロー)
雪柳半紙に包む心付        (ジロー)
枝揺する地球の息吹きいざ四月   (還水)
野に想ふ蝶こしらへし神のこと   (還水)
ふらここを離れず涙乾くまで    (還水)
風船を放つ戒厳令の民       (環水)
やはらかに陽射し立ち込む朝寝かな (烈)
山まとふこぶしの花の摺り衣    (鈴鹿)
雨あがる朝いつせいのつつじかな  (鈴鹿)
春眠し嬉しきことのみ思ひけり   (白水)
ロゴ入りの風船配る狐かな     (白水)
覚醒はかくあるべきと白ツツジ   (アキ)
出逢いから一部始終が春のせい   (アキ)
葉桜がためらいながら道に落つ   (アキ)
犬も亦服を着るなり余花の雨    (荒岩張)
風船と背にはピカピカランドセル  (サトコ)