ふらんす座への招待

俳句をあそぼう

句会レポート

2020-09-09 13:24:02 | ふらんす座
6月28日(日)
 参加者  喜哉、突波、ジロー、還水、鈴鹿、草径、としお、究、ナンC、誠
 通信参加  白水、カエル堂、うにょ、樋山、良子

 互選句
僕は何を忘れたんだろう蛍よ    喜哉
   特選  還水
   入選  突波、ナンC
泣いてない酢に咽せただけ心太
   入選  白水、究
夜が泌み初むる川面の蛍かな
   入選  うにょ
かりそめの恋だとしても蛍の夜

ほうたるやバニラシェイクとわかる距離   突波
   入選  ジロー、ナンC
桑の実に汚れし唇に恋をした
   入選  ナンC
桜桃忌連れ去り電車の尾灯
   入選  草径
さっきのとをなじほたるときみはいふ
   入選  還水

口裏を合わせて蛍狩りと言ふ    ジロー
   特選  喜哉、カエル堂
真空管ラジオより聞く夏の声
   特選  ナンC
くちなしに悪い知らせと良い知らせ 
   入選  還水
夏星座消化試合のやうな日々
紫陽花やジーンズにメモ染まりたる

夏掛や寝息も甘き女学生     還水
   特選  突波、究、誠
蛍火の二つ冥府を出でざりき
   特選  ジロー、白水
   入選  喜哉、カエル堂
青葉闇あまりに近く君の顔
美老尼の秘めたる遺稿枇杷実る
昼寝覚まだ続きゐし講義かな

犬がまず茅の輪をくぐり大前に   鈴鹿
   特選  うにょ
   入選  草径、樋山
トタン屋根の罵詈雑言で梅雨に入る
   特選  草径
   入選  としお
夏至の太陽や沈むに海とあらがへり
   特選  としお
剪定の鋏天突く梅雨晴れ間
   入選  カエル堂
山の向こうに雲を待たせて梅雨晴れ間

二番子の燕巣立ちて雨に入る   草径
   入選  カエル堂、としお、誠
蛍囲ふ男の手相見られけり
   入選  喜哉、突波
風鈴の百の騒めき遠きテロ
   入選  ジロー、還水
打水や静寂を敷く僧の妻
   入選  樋山

蛍籠エスオーエスと明滅す    としお
   入選  誠
蛍こぬ苦き水干す一人酒
   入選  究
梅雨寒やコーヒー店に傘ならぶ
梅雨晴間カステラならぬかすていら

涼しげに反り咲きたる牡丹鱧    究
   特選  樋山 
   入選  白水
きゃべつもね花が咲くのよ本当はね
さくらんぼひっぱりひかれ口もとへ
姫蛍闇に誘われどつぼまで

被せやるにぎにぎともつ麦わら帽子  ナンC
   入選  鈴鹿
静寂の彼方いざなうカキツバタ

鉄の雨知る閑さや沖縄忌     誠
   特選  鈴鹿 
   入選  うにょ、樋山
さみだれやSALEの窓に赤い靴
   入選  草径
南への機影ひとすじ夏の空
いっせいのピアニカの音や夏初め

夏至をぬければそこはパッサージュだった   白水
穴子の天婦羅一本に生ビール
懐紙は膝の上にゼリーを食べる
恋愛は追ひかければ逃げる蛍

梅雨晴間無口な君の照れ笑い    カエル堂
   入選  ジロー
駆何処一面に咲く虞美人草

夏霧やぼうと船道探る声     うにょ
   入選  喜哉、誠
万物を創るたまご也芒果
   入選  突波
この酒に月下美人をとじこめて
   入選  究
炎帝の夜擦れ聞こゆアスファルト
洗い髪なびく蛍のあおみどり

短夜や後朝なりて髪刷く     樋山
   入選  白水
僧房に伽羅の片陰鎮もれる
   入選  鈴鹿
香水を捨てぬ男の未練かな
蛍の夜明日は一人になりにけり

梅雨や窓開け放してひとり酒    良子
鳥鳴し梅雨の晴れ間の窓清し



句会レポート

2020-09-08 10:20:19 | ふらんす座

8月30日(日)

 参加者  喜哉、ジロー、還水、鈴鹿、草径、究、ナンC、幸宏、誠

  通信参加  突波、白水、うにょ、としお

 互選句

あさがほの青の麗し風うるはし            喜哉

   特選  誠

   入選  白水

磔刑の裏には朝顔のフェンス

   入選  白水

浮雲に風の理花野ゆく

   入選  誠

行列の伸びつづけアイス溶けつづけ

はじめての制服姿立葵                ジロー

   特選  鈴鹿

深爪のさびしさに似て鳳仙花 

   入選  喜哉

鬼灯や来てすぐ帰る一見客

朝顔や手書きのレシピ遺りたる

蝉の殻・枝・樹・森・山・空・地球          還水

   特選  喜哉

   入選  突波

父なき子描く大輪の朝顔

   特選  草径

燈明の真直ぐに立ちて盆静か

   入選  鈴鹿、幸宏、誠

笑み交はし遠ざかるひと鰯雲

   入選  草径、究

秘めて逝く想ひいずこに星流る

夜の雨確かに秋を連れている            鈴鹿

   特選  ジロー

   入選  突波

純白でどこが悪いと百日紅

   入選  喜哉

そのままに日常となる夏マスク

   入選  ナンC

蜩の初声を聴く厨窓

五畿七道結ぶ伊吹の大花野            草径

   特選  白水

   入選  喜哉、鈴鹿

観音の慈悲面翳る夕かなかな

   入選  鈴鹿

朝顔の莟のゆるむ秘鑰かな

   入選  白水

土に秘す観音護る芋嵐

乙女らの喉美しくソーダ水           究

   特選  突波

   入選  還水

夏休み日に日に外が恐ろしく

   入選  ジロー、ナンC

朝顔も顔を背ける朝日かな

   入選  うにょ

穴子食べここは播州だと思う

鞄おき上げて気づいたアリ参道        ナンC

   特選  うにょ

朝顔や惚れた男はロクデナシ

   入選  還水

海向かいせーのと跳ねる夏少女

振り返り手をあげる彼夏の果

蝉コロリコロリ転がるコロナかな

水撒きのおこぼれ貰う路地朝顔        幸宏

   入選  究

あなたに似合わないリンドウひとつ

仰向けの蝉の横にて酒を飲む

鳥賊釣火フェアウェルひとつまたひとつ    誠

   特選  還水

   入選  うにょ

朝顔や小さなラジオ今も鳴る

   入選  究

一家の名刻みし墓や原爆忌

   入選  草径

たこ焼きを食らう隣のかき氷

   入選  うにょ

ふるさとやかなかなを聞く風呂上がり 

人生は片道ジェエラート持て余す         突波

   入選  ジロー、幸宏

唇のくつつく夜の虫時雨

   入選  幸宏

朝顔の作り笑いの寂しさを

   入選  ジロー

まう一年たつたのですね爽やかに

星合いや卒業写真にゐる二人

人に恋していまふ朝顔の蔓            白水

   特選  幸宏

   入選  突波

かなかなや寄せては返す波のやう

   特選  ナンC

玉音は遠くなりけり終戦日

   入選  ナンC

朝顔や根岸の路地に踏み迷ふ

一本の庭のオクラを皿に盛る           うにょ

彼方より届いた欠片流れ星

法師蝉夜の廊下で連れ探す

待ち合いに迷い蜻蛉の羽のおと

かなかなのシャワーを浴びる家路かな        としお

   特選  究

旭日旗アラビア海ゆく敗戦忌

朝顔や支えなき蔓天を指す     

    


句会レポート

2020-08-05 20:01:49 | ふらんす座

7月26日(日)

  参加者 喜哉、突波、ジロー、還水、鈴鹿、草径、究、誠

  通信参加  カエル堂、としお、ナンC、うにょ、樋山

 互選句

三島死すあとは知らない紙魚走る         喜哉

      特選  ナンC

      入選  還水

梅雨最中面壁に以し東司かな

      入選  草径、樋山

夏掛に寝乱れし若女将かな

      入選  究

梅雨の夜や本読みて後而して

      入選  エリザベス

紙魚走る本と昭和はふたむかし

 

水銀の零れる如く雲母虫             突波

      特選  うにょ

      入選  鈴鹿

二人込る回転扉巴里祭

      入選  ジロー、還水、草径

あの人に逢ひたいといふ熱帯魚

      入選  ナンC、うにょ

冷麦やなんとか元気にやってます

      入選  喜哉

天使魚とエレベーターに乗り合はす

 

蝉しぐれまだ目を閉じたままでゐて       ジロー

      特選  還水

      入選  鈴鹿

遠雷やあの日の吾を尾行する

      特選  としお

ノモンハン事件の虚実紙魚走る

      入選  還水、としお

夕凪や告解室の小さき窓

      入選  鈴鹿

指入れて揺さぶるフェンス夾竹桃

 

せせらぎや風とてんとう虫と僕             還水

      特選  喜哉

      入選  誠

海月には夢もうつつもなかとです

      入選  喜哉

井伏なる蔵書印あり紙魚太し

      入選  突波

ハグをして呉れし二十歳の夏の肌

 

窓におる番いの家守夜の雨          鈴鹿

      入選  誠

裏の戸も開け放ちてや蚊やり焚く

      入選  究

警報を夜半に出させ梅雨荒るる

外に出ればはや浜木綿の香りおる

 

青蛙そこは危ない賽銭箱           草径

      特選  鈴鹿

      入選  誠

日照の示寂の頁雲母虫

      特選  カエル堂

白桃を傷付け難く眺めけり

      入選  究、うにょ、樋山

鐚一文誤魔化しのなき冷奴

      入選  喜哉

 

ソーダ水ぼかして君の胸を見る         究

      特選  ジロー

      入選  草径、ナンC

雲母虫活字の星を探査する

      特選  草径

デジタル化進んで紙魚の寝床へり

      入選  うにょ

恋せよと若さ短しさくらんぼ

冷奴茗荷大葉に新生姜

 

夏座敷ぼんぼん時計のひとつ鳴る        誠

      入選  鈴鹿、カエル堂

田水沸く終業式のかえりみち

      入選  ジロー

夏の日のボサノヴァを聴く朝八時

片かげり昭和のままの駄菓子店

三食に寝床もついて書架の紙魚

 

乙女らの薄汗撫でる土用東風          カエル堂

      特選  突波

祖母の日記共に文字追う紙の虫

      入選  突波、としお

梅雨明けず濡れる街角コルトレーン

鹿児島や高千穂包む雲の峰

明日こそは土用で無くとも鰻飯

 

すててこで立て膝きめる夕端居         としお

      特選  樋山

夏館サティの調べ窓辺より

      入選  誠

紙魚走る書読むわれに老いの染み

      入選  樋山

黒猫が鳥見上ぐる暑さかな

歴史の闇をともに歩まぬきらら虫

 

夏の雨ザーザー降りにsurrender              ナンC

      特選  究

miss you~夏雲に橋かけてゆく

      入選  突波

キッタキター!もくもく雲とセミの声

 

仕事終え羊羹色の夏の空            うにょ

      入選  ナンC

指先でなぞるメロンの網目かな

      入選  ジロー

熊蝉のおとなを目指し塀登る

 

白雨止み墨絵となりし石畳           樋山       

      特選  誠

湯上りの揃いのお召し藍浴衣

天瓜粉幼き日々の匂い立つ

過去帳や紙魚も代々あと標す 

 

 

       

 

 

 


句会レポート

2020-07-08 20:51:00 | 突波
5月31日(日)
  参加者  喜哉、突波、ジロー、還水、鈴鹿、草径、カエル堂、究

  通信参加  白水、としお、樋山

 互選句
水草に侍ふ窓の金魚かな     喜哉
   特選  樋山
   入選  突波、カエル堂、究
日の中の夏草の中父おはす
   特選  ジロー
私は人魚姫海の日の情事
   入選  突波、還水、白水、究
お出かけだ窓にさいだあ色の空
花火買ふかなか暮れぬ縁側よ

ラップ越しのキスのやうに夏の窓   突波
   特選  喜哉
芍薬や少し少女で少し妻
   入選  喜哉、ジロー、白水、究
淡き恋は今も美しく鮑
   入選  還水
夏の夜を8分2秒くれないか
   入選  喜哉

言ひ訳を重ねてめくれ上がる百合    ジロー
   特選  究
   入選  鈴鹿
後悔の味少ししてさくらんぼ
   特選  鈴鹿
   入選  還水
裏窓に裏窓近し夏の月 
   特選  還水
マチネ観てよりの微熱や罌粟の花
   入選  草径
繰り返す自動音声さみだるる

夏浅し隣家の嫁の膝がしら     還水
   特選  突波
   入選  喜哉、ジロー、鈴鹿
窓広きヴェニスのホテル夏の風
   特選  白水
青葉濃し紅顔なりし首の塚
   入選  白水
藤棚や頭半分の一期の会

疫の気を斜めに伐って燕かな    鈴鹿
   特選  カエル堂
籠り居る世のありようを七変化
   特選  草径
国越えをしてはならぬとかきつばた
   入選  カエル堂
窓辺には猫眠りをりさみだるる
   入選  樋山
眉引いて外に出ずる朝風光る

ポスターの昭和の女給麦酒抱く   草径
   入選  突波
魚篇の団扇の文字や回転寿司
京扇子店の混み合ふ屯所跡
葉桜や押せば新撰組の歌

夏霞丸く切り取る月は窓    カエル堂
   入選  ジロー、樋山
若夏をカーテン越しに肌が知る
   入選  樋山
麦秋を撫で走る風上州路
新しき恋青嵐窓開けん

Windows Cloud の先に夏景色    究
   入選  草径
風薫る白き眼差しマリア様
   入選  草径
学び舎の窓に影なし薄暑の日
レギュラーを競うことなく去った春
辣韮を漬けて夕飯まで寝る

世界一甘美な水よ薔薇の露    白水
初夏の窓見上あげる葉巻の刑事

制服の乙女見ぬまま五月ゆく   としお
雨だれの音やはらかし走り梅雨
パラソルの人影揺るる白き壁
窓開くる滴る山の雪崩くる

神燈の微かに揺れる五月闇    樋山
   入選  鈴鹿、草径、カエル堂
形代に息ふきかける白き頬
生きる糧渇きの果てに麦酒あり
山鉾の目覚めぬ夜は月悲し
午後の窓簾を降ろし床のべる

句会レポート

2020-04-11 16:34:00 | ふらんす座
3月29日(日)
 参加者  喜哉、ジロー、還水、鈴鹿、究、幸宏、誠
   通信参加  突波、白水、カエル堂、としお、樋山、ナンC

互選句
三月のゆかむ港を出るやうに    喜哉
   入選  突波
壁紙にイチゴドロボー春愁
   入選  突波
辛夷満開青空のふくらみぬ
俯けど卒業の子の眉目かな
青空へ行こうとしゃぼん玉吹かむ

もの言へば吹き出しになる朧かな   ジロー
   特選  喜哉、幸宏
春の水さらりと言ってのける嘘
   特選  としお
   入選  白水、カエル堂
初燕地を繕ひてあらはるる
   特選  鈴鹿
   入選  としお、誠
悔やしくて悔やしくて泣く夕辛夷
   特選  究
春の雨コトリと文の届くごと
   入選  還水、究

辛夷咲くあの角まではうつむきて   鈴鹿
   入選  ジロー
海峡に金色の如来春彼岸
   入選  誠
触れもせず愛でておりけり桜花

人待たず自分の為に咲く桜   究
   入選  カエル堂
いつの日か握りしめたる辛夷の花

球児らが花咲かす悔しさの砂    幸宏
盃と都々逸と花人は無し
常滑の皿の鶯颯と飛ぶ

ほろ酔へば夜道に白木花辛夷    誠
寝坊する夢ばかり見る朝寝かな
釘煮かと路地裏を行く春の暮
タラランの素足に踊る春の草

馥郁と町春雲の落とし蓋     突波
   特選  ジロー、白水、カエル堂、樋山
選ばれし星の如くに種選りぬ
   入選   還水、カエル堂
春の夢摘まれる花になりたしや
   入選   還水、究
てのひらにてのひら合はす春の夜

春よ、かすかにみどりへと光りだす  白水
   特選   突波、還水
後朝の別れの坂に辛夷咲く
   入選   幸宏

誰も見ぬ居ぬ誰がために花吹雪   カエル堂
   入選   としお
悪疫を吹いて飛ばせよ涅槃西風
「風流は流るる風よ」と辛夷落つ
君なれば触れなば落ちし花辛夷

朝東風や一葉なき樹の深呼吸    としお
   特選   誠
   入選   突波、幸宏
のれん出す細きかひなや姫辛夷
   入選   鈴鹿、樋山
人影の見えぬ街角辛夷咲く
   入選   白水、樋山
生ひ出づる若葉背負ひし花辛夷

光る風揺れて絡まる恋の絵馬     樋山
   入選   としお、誠
お水取り火の粉の先に星を見る
彼岸会に此岸の義理で墓に立つ
恋猫の舌舐めずりて毛づくろい
花こぶし同期を背にしひそと咲く

happiness !手を握りみる白辛夷   ナンC
冴え返り日がな一日のんびりと


句会レポート

2020-03-02 20:22:00 | ふらんす座

2月23日(日)

参加者  喜哉、突波、ジロー、還水、 鈴鹿、白水、草径、究、幸宏、樋山、としお
 
通信参加 カエル堂、誠、ナンC、よしこ
 
 互選句
年の豆掌に載る我が半生      喜哉
    入選  鈴鹿、カエル堂、樋山
春一番お山どどんと裏返る
今年また道にこの家の年の豆
春一番言葉の刀突き刺さる
 
春流浪京に七口逆刃刀       突波
    入選  ジロー、白水
蜆汁いっそ綺麗に死のうかと
    入選  ジロー
逢ひたくて逢ひたくて春の風となる
    入選  鈴鹿
次に吹く国はまほろば春一番
傘二本鶯餅を買ひにゆく
 
振り向かぬことが約束薄氷    ジロー
    特選  鈴鹿
    入選  還水、究
春の日のローランサンの鎮静剤
    入選  喜哉、白水、究
春一番押されて君の前に出る
    入選  突波、草径
つんつんとされて振り向く梅二月
手刀切りもらひし春の手切金
 
寒紅や虚空に挑む墨の舞      還水
    入選  白水、としお、幸宏
指先にゆふべの名残り春の雪
    入選  突波
友達でいよう…ってことで、春一番
    入選  喜哉
外套にくるまれし裸婦珈琲の暖
    入選  突波
刀身に映る眼差し春の雪
 
太刀のごと中天の月春朧      鈴鹿
    特選  としお
ビルの角不動の祠に春一番
    入選  樋山
換気扇日がなざわつき春一番
寒雀小さき庭を主人する
 
誰がために黒髪靡く春一番     白水
    特選  カエル堂
潮風に水仙揺れる淡路島 
    入選  誠
湯けむりの向こうに雪見酒のひと
剣道二段も深窓の令嬢
 
焼入れの水に一太刀冴え返る    草径
    入選  誠
祢宜の沓川の音せり建国日
    入選  ジロー
青竹の棚に手を置き盆梅展
盆石の名山の襞冴え返る
暫くは顔伏せて佇つ春一番
 
春なのに開口一番執刀す      究
春一番晴れた隙間に熱帯魚
忘れゆく針の存在頗梨采女
春一番一声かけておくれやす
 
水ゆらめきて佐保姫の目覚めかな         としお
                特選       ジロー、還水
                入選       草径
つなぐ手をにぎり直しぬ春一番
               入選        カエル堂
うすらひやまぶしき肌のほろり融く
一刀で霞断ち切る春の山
春一番山なみあはく滲みをり
        
ふきのとう苦味を知った15歳    幸宏
    特選  究
    入選  としお
蜷色濃い目化粧目、栄螺焼く
    特選  白水
春一番ソーダ水をくださいナ
    入選  還水
黒支度那由多の過去と鎌鼬
麗かな日の当たる場所猫二つ
 
往にしえの廓に残る紙雛      樋山
    特選  誠 
    入選  としお
短刀をさげ独活を断ち切る穴倉や 
    入選  幸宏
春一番富士の化粧を落とすかな
軒下の見合い賑わい猫の恋
 
一瞬の青春の如春一番     カエル堂
    特選  突波、草径
    入選  究
針供養豆腐の肌の慈しみ
    入選  幸宏、誠
キスをしてビルの谷間の厄落とし
    入選  喜哉
逃げ水は片恋のやう追へば消ゆ
 
宿一人夕餉すませば雪の音      誠
    特選  喜哉
春一番髪わらわらの大わらわ
鳥までもものや思へる冬茜
雪明り端山包みて音もなし
叶わずの心抱いて春一番
 
この歳でピンクのセーター春一番 よしこ
    特選  幸宏
    入選  草径
小手毬を生けてかぐわし春の陽よ
    特選  樋山
    入選  還水
 
青い空見上げまたねと春の日に  ナンC
春一番かき消されるアイラブユー
 
 

句会レポート

2020-01-28 20:38:00 | ふらんす座

1月19日(日)

 参加者  喜哉、突波、ジロー、鈴鹿、草径、カエル堂、究、としお、うにょ、樋山、誠
 
  通信参加  還水、白水
 
 互選句
どんとの火消えて静かに星揃ふ   喜哉
  特選  ジロー、鈴鹿、幸宏
  入選  突波、還水、究、としお、誠
大旦君は生きよと言はれし事
  入選  突波
書初の硯海に満つ墨の艶
大寒の牡蠣は情熱のカタチだ
ボタン鍋煮つまって居る町内会
  入選  白水
 
雪しまく駅頭父の傘を抱く     突波
  入選  ジロー、還水
着膨れの中の裸を知ってゐる
  入選  喜哉、ジロー、カエル堂
鳩尾に恋の灯点る小正月
凍滝の裏凍滝の裏の貌
 
藍染めを洗へば藍し冬の水    ジロー
  特選  喜哉、究、樋山
  入選  草径
水仙を手折りし指の傷みかな
  特選  うにょ
  入選  還水、白水
何もかも削ぎ落としたり枯木星
  入選  誠
大寒の止まりしままの大時計
  入選  誠
蝋梅や潮の香甘きかわたれどき
 
大寒や壊れかけたる洗濯機     鈴鹿
  入選  としお
猫の毛並み艶やかにして大寒
  入選  喜哉
外っ国の旅など朧ろ年暮れぬ
大寒やソファーに深く身を埋む
 
神前の大絵馬に成る嫁が君     草径
  特選  白水
  入選  喜哉、樋山
拝礼に曲がる背中の懐炉かな
  入選  白水、究
被災地の地図灰色や山眠る
  入選  としお
鎮魂の鐘や綿虫浮び来ぬ
大寒や金魚掬ひの湯を埋める
 
黒磯の岩場にしゃくる波の花  カエル堂
  特選  誠
  入選  鈴鹿、樋山
粕汁の白に潜むは五色の菜
  入選  樋山
薄曇りしまき纏わせ雪女郎
ネオン街風にさざめく浮寝鳥
  入選  幸宏
 
山の主華になりけり牡丹鍋     究
  入選  ジロー、草径、カエル堂
鮟鱇を捌くその手に躊躇なし
  入選  カエル堂、うにょ
熱燗や漢の愚痴に頷いて
  入選  幸宏
大寒や風の艦隊耐寒す
 
蒼天を機影切り裂く枯野かな   としお
  入選  鈴鹿
大寒や窓べに白き万華鏡
  入選  鈴鹿
風一過かさこそかさと枯葎
大寒や一椀の湯を手に包む
しもやけに息吹きかけし時ありき
 
一列に並んで鴎春を待つ     うにょ
一夜明け白いベレーの冬椿
 
年立つも時の動かぬ御所の庭   樋山
  特選  としお
  入選  誠
熱燗や和らぎ水で喉さます
よき夢を願いつ一気に寝酒干す
 
寒暁に老いし手合わす一・一七  誠
  特選  カエル堂
  入選  草径、幸宏
大寒や寝う寝うと呼ぶこたつむり
  特選  還水
寒月の映えて水面の小舟かな
水面飛ぶ冬鳥タッチアンドゴー
 
大寒や切腹はさぞ痛かろう     還水
  特選  突波
寄せ鍋は良いから人の話し聞け
  入選  うにょ
寒雀宝の山を見つけたり
新成人スマホ猫背の晴着かな
酒を断つ前に鰭酒あと一杯
 
冬満月被災の街を照らしけり    白水
  特選  草径
容疑者Xの慟哭冬ざるる
  入選  突波
割れることないじゃろ、公魚でも釣るか
暗殺者は黒いコートを着ている
大寒の光り差し込む喫茶店
  

句会レポート

2019-12-29 14:19:17 | ふらんす座

12月22日(日)

  参加者  喜哉、突波、ジロー、鈴鹿
       究、としお、うにょ、誠
  通信参加 還水、白水、カエル堂、樋
       山、ナンC、良子
 
それぞれに散りて落葉のフィロソフィー   喜哉
   特選  還水
小さき飾りには小さき願聖樹
   入選  樋山
このままで居てこのままで十二月
   入選  突波
沢山のひかり豊かに山眠る
クリスマスケーキ御予約賜り[]
 
山眠る灯レンブラント色     突波
   特選  喜哉
   入選  鈴鹿、究、としお
目を見ずにマフラーを巻く返事かな
   特選  究
   入選  ジロー
冬靄の湯気立つ水場菜を洗ふ
   入選  誠
君は今友の妻なり冬渚
   入選  ジロー
牡蠣啜る留学生の日本語
 
冬夕焼あと一息の逆上がり      ジロー
   特選  としお
   入選  還、
凍星に鳴る廃品のオルゴール
   入選  還水、鈴鹿、としお
レノン忌の指で登りし乳房かな
   入選  喜哉、突波、究
古井戸に思ひの丈を山眠る
 
聞こしめす国の幸々新嘗祭    鈴鹿
   特選  樋山
   入選  白水
鷹一羽のための冬空ただ蒼く
   特選  白水
   入選  還水
師走の顔皆やはらげり喫茶室
信号が次々に青師走中
外面は乞食となりて山眠る
 
錆び付いたベンチを残し山眠る    究
   入選  カエル堂
寒月や酒買う我をあわれなむ
   入選  樋山
蕎麦湯飲みほっと一息山眠る
   入選  誠
懐炉貼る母の手のひら冷めたくて
スキヤキを食べたいがため卵買う
 
摩耶という浮城ありし山眠る    としお
   特選  突波、ジロー
   入選  鈴鹿、究、カエル堂、うにょ
想ひ出や火鉢の灰に書きし名は
   特選  カエル堂
   入選  樋山、誠、白水
ちゃんちゃんこ羽織りていざや鎌倉へ
残るひとついづこに貼らむ紙懐炉
 
聖歌降る街のさざめき万華鏡     うにょ
   入選  喜哉
一年の喧騒抱きて山眠る
ほてほてと歩くハチワレ冬ぬくし
焼き鳥の誘い文句に負けました
 
かくも良い冬月一人見て眠る    誠
鍋囲む顔は赤らむ窓くもる
入り陽さす道の枯木に影ひとつ
 
敵味方みな風となり山眠る     還水
   入選  カエル堂、としお
微税吏冬の星座を語る時
じいちゃんの赤いマフラークリスマス
仏塔を逆さに映し紅葉の夜
 
掛軸に李白の一行山眠る      白水
   特選  誠
冬の夜にはたくさんの夢がある
   入選  突波、ジロー
狐訪ふ家おまえもさびしいのか
 
予報より我が身が知らす雪催    カエル堂
   特選  うにょ
顎上げて牡蠣吸う君が愛おしい
   入選  うにょ
待ち人来ず氷雨に頬嬲らせる
布引や歌仙と共に山眠る
口喧嘩拗ねて見上げる冬の月
夕時雨暖簾の奥へ背中押す
   特選  鈴鹿
寒柝の音が近づきつ道譲る
   入選  うにょ
杉玉に杜氏の涙垂る雪
叡山の伽藍に捧ぐ寒椿
子守唄比叡の加持に山眠る
 
冬の雨そっと隣に寄り添い降る    ナンC
   入選  喜哉
吐息越し見る鉢伏の山眠る
出来たよとパパンパンパン飛ぶ銀杏
山眠るブラインド越しのビル影
車道だよ命がけぎんなん拾う
 
山眠る生きる意気込み学ぼうか   良子
寄せ鍋はそれぞれ持ち寄りはなやかに
 
 

句会レポート

2019-11-30 16:03:01 | ふらんす座

11月24日(日)

 参加者   喜哉、突波、ジロー、鈴鹿、白水、草径、究、としお、うにょ

   通信参加   カエル堂、ナンC、樋山、佳代

 

 互選句

敷藁の乾きに転ぶ冬の空                      喜哉

     特選   樋山

     入選   鈴鹿

セーターのまるごと全部君がいい

     特選   ジロー

セーターの胸に渡せるれもんかな

     入選   ジロー

文机に夜の載り居て灯の寒し

     入選   鈴鹿

人妻と小春の船に載り合はす

 

冬眠しますと本屋からの手紙                    突波

     特選   草径、究

     入選   喜哉

薄紅葉去来の墓の十五寸 

     特選   鈴鹿

木莬にルビふる夜の静かなり

     入選   喜哉、ジロー

出会いと別れ同じマフラー巻いて

星々が月の裸を見てをりぬ

 

珈琲に渦巻くミルク冬に入る                    ジロー

     特選   白水

     入選   究

罅割れし画面でメール冬銀河

     特選   カエル堂

     入選   白水、草径、究

寝板より女整備士冬あをぞら

     入選   突波、としお

階段をなさぬ階段冬あをぞら

     入選   突波

目印のセーターを着て漂へり

 

風に乗る霜月神楽の音の遠く                  鈴鹿

     特選   としお

     入選   うにょ

冬の雲山越えてきぬ仰がるる

     入選   カエル堂

老若笑まひ大根炊きをふるまはる

下り来るブルーのセーター北野坂 

 

奥さま冬薔薇が届いております                 白水

     特選   喜哉、突波

馬の背に初霜降りしあさぼらけ

立冬やわが立つ杣に響く斧

わたしという白木美しい紅葉

断捨離や手編みのセーター捨てられぬ

 

綿虫を見失しなひたる羅漢かな                 草径

     入選   鈴鹿、カエル堂、樋山

嶺を越え雲に送られ神の旅

     入選   白水、カエル堂

鳥の影冬噴水の折れて落つ

     入選   カエル堂、樋山

セーターを編みつつ背中に当ててをり

     入選   白水、うにょ

木曽谷の石置く屋根や霰打つ

 

栗色に蒸し上がっている雀たち                 究

     特選   うにょ

     入選   突波

熱燗をセーターの袖で挟む君

     入選   突波、ジロー、草径

帰り道手に残っているすだちの香

     入選   うにょ

ばあちゃんにセーターの穴頼み込み

 

セーターにうづめし頸に叱り声                 としお

     入選   究

為すこともなくセーターの毛玉摘む

陋巷をさまよふに好しじふいちぐわつ

茫茫と異次元にをり日向ぼこ

ナフタリンのかをり残れるコートかな

 

初氷わざわざ確かめに戻る                    うにょ

冷蔵庫隅にはいつもブロツコリ

季節など素知らぬ顔の飼兎

 

冷ややかに項見下ろす花八手                カエル堂

山眠る下弦の月に眼伏せ

小走りに家路を急ぐ打田姫

 

手袋はまだよまだよとグッパッグッパす           ナンC

     入選   喜哉

バンザイし脱がすセーター鼻にかかる

はつ冬やくっつくスカート恥ずかしや

初冬や見つからないよ着たい服

 

褞袍着の肩すぼませし通り庭                 樋山

霙舞い揺らめく華燭タワーの灯

お十夜会堂宇に月光降りそそぐ

寒造芳香誘う角打ちへ

 

セーターに残るぬくもり抱きしめて              佳代     

  


句会レポート

2019-11-02 13:42:03 | ふらんす座

10月27日(日)

  参加者  喜哉、突波、ジロー、鈴鹿、白水、草径、究、カエル堂、としお、うにょ、良子、樋山

 

 互選句

新米を炊く畏みて押す釦                        喜哉

     特選   カエル堂、良子

     入選   ジロー、究

里芋の転げ真っ赤な夕日の中

     入選   鈴鹿

恋みくじアブラカタブラ神無月

     入選   白水

百舌鳴けりいきなり逃げる机上の日

ひよどりのピーヨピーヨに思い馳せ

 

地下鉄の卵管抜けて澄む秋へ                     突波

     特選   ジロー、としお

残る虫夜を縫い続けをり

     入選   鈴鹿、良子

斜字体にポルチーニ茸秋の燭 

     入選   白水

秋とふに玻璃空わすれな草色

とろろ汁白秋の恋千春の恋

 

品書きの端切れてゐる十三夜                     ジロー

      特選   究

      入選   草径、カエル堂、としお

レジを待つ三分の恋花カンナ

      特選   白水

      入選   喜哉、突波

新しき連衆桜紅葉かな   

      特選   突波

門限を過ぎ木犀の闇匂ふ

      入選   鈴鹿、良子

 

海に向く杜に風巻く神の旅                       鈴鹿

      特選   喜哉

秋たけて飛行機雲の真直ぐなる

道曲がれば金木犀の香の流る

木犀が金の香放つ路地の朝

 

振り向けばきみがいる晩秋の夜                    白水

晩秋や電話するだけで楽しい

きみと金木犀の香があればいい

メーテルのやうな人ゐて神無月

 

柿紅葉頬に憂ひの思惟像                       草径

      特選   樋山

保津峡の錐もみの舟渓紅葉

      入選   喜哉、カエル堂

石の斧冷たき山の響き持つ

      入選   としお

茅葺に放水銃を秋桜

      入選   喜哉

碑の恋の一首や実むらさき

 

往く手に一つ星手探りの恋                       カエル堂

      入選   ジロー

言うことを聞かぬ身体で悟る秋

曲がる背伸ばし歩く街角の秋

耳打ちをしてもされても星は降る

月夜茸悪女入門ファムファタル

 

酢橘をね絞る指先愛おしく                       究

      入選   突波

秋風が指の間に渦を巻く

      入選   カエル堂

恋かもな恋かも知れぬ赤とんぼ

      入選   ジロー

松茸にちょこんと座るすだちかな

 

色鳥の飛び去りて醒む恋の夢                    としお

      特選   草径

熟年の恋の吐息や萩の風

      入選   草径、良子

ぬくめ酒恋の語らひ背に聞きて

      入選   樋山

     

行き逝きしかのひと写す照葉かな

 

街灯のぽつりぽつりと冬隣                       うにょ

      特選   鈴鹿

夜寒にて今日はちろりを出しましょう

      入選   突波

果てしなき引力秘める胸の恋

 

アラカルト出してあげたい秋なすび                  良子

      入選   樋山

この世ではみんな恋してパラダイス

宵まつり読経に合わせる虫の声

 

濁り酒舐めて啜りて先斗町                       樋山

      入選   ジロー

秋の暮ふたたび燃やす恋の草

      入選   白水

秋麗輪郭あわき東山

長き夜は邪恋の闇へまっしぐら

幽天にゴルフボールを喧嘩さす