ふらんす座への招待

俳句をあそぼう

じたばた

2008-10-20 15:47:54 | ジロー
 「死ぬ瞬間」の著作で有名な精神科医は、そのなかで死の受容のプロセスを科学的に検証しています。  いろいろな患者とのインタビューや臨床例をもとにプロセスモデルを作ったり、彼女自身、臨死体験をしたことがあるということからも多くの読者を獲得しているようです。
その彼女の臨終間際のことが事細かに書かれていますが、モデルのようにはいかず、最後までまわりのスタッフに悪態をついていたらしい。
それを読んで私は彼女を批判するというより、ある種人間的な振る舞いに感動のようなものを覚えました。
死を前にした人がじたばたするのは当たり前だし、がまんしてかっこつける必要なんてないと、言外に言っているような気がして。


 何があっても動じないこころというのは一見男らしいようだけれども、つまらないものかもしれない。
「もののあわれ」というのは本来、こころが動く状態をさす言葉で、本居宣長さんは、そいうふうに使っていたと記憶しています。
普通に言われている、時の移ろいゆくはかなさのような限定された意味ではなく、動かされるこころの総体をさしています。  そういった意味で「源氏物語」を読み返してみると、もっと面白いかもしれません。
身分が違えば言葉さえろくに交わせない時代に、本音を言える、こころを伝える「うた」という伝達手段があり、恋を告白したり、恨み言を言ったりと、楽しいじゃないですか。  「源氏物語」がうたものがたりと言われている所以でしょうね。


 少し脱線しましたが、人は危機的状況になると、概ね、じたばたするということです。  慣れている人は別ですが、例えば、けんかに慣れているとか、お金が無いのになれているとか、何回も死んでいるとか・・・。
健さんもあんな顔をして、内心では寅さんのように、始終じたばた、おろおろしているのではないでしょうか。


もうそろそろ、じたばたしないようにと、じたばたするのは止めにしようよ。   え!


 次回の句会は27日(月曜日)です。


      りんどうやまだ童顔の郵便夫

2008-10-14 10:56:00 | ジロー
 酒を飲んだ翌朝とか、仕事でストレスがたまった次の日など、身体がだるくてなかなか仕事モードにならない時があります。  簡単なストレッチをして開店をするわけですが、身体にたまったストレスを宥めながら、また営業のストレスに身を任せるわけです。  そうすると不思議なことに、乾燥した若布がふやけていくように身体がほぐれてきます。
店のなかでの自然なリズムというものがあって、そのリズムに乗っかると癒されてゆくのでしょう。  だから何年も続けてられるんだと思います。


俳句も続いていますね。  句作するのは営業中、詩想を持ち帰って机上で呻吟するということはしないです。  なかなか句にはならず、あれやこれやと考えていると頭が痛くなってくることがある。   何でこんなことをしてるんやろ、ということですが、仕事に気を入れることにして、ふと思いつくはからいのない言葉を得たりするとすごくうれしいものです。  だから止められない。



 あるサックス奏者は息つぎもなく延々と吹き続けることができるという。  吹きながら同時に息を吸い込んでいるらしい。  本当かな?



映画「ラウンド・ミッドナイト」に出演したディクスター・ゴードンは孤高のサックス奏者。  映画のなかでアドリブ演奏をする時の苦しさを訥々と語っています。  そのあとテンションの高い演奏を聴くことができますが、時に恍惚とした表情を見せています。



 私たちは地平線に向かって延々とドライブしている。  大地と空の細長いすき間に向かって。  そして、だんだん空に近づいてゆくんだと思う。
何のことやら・・・


     
      綻びをつくろふ金糸十三夜

市場  続き・・・

2008-10-06 22:23:17 | ジロー
 あの時は本当に困ってしまいました。
ドアをどんどん叩いて人を呼べば大騒ぎになるだろうし、それだけは避けたい。 かといって、一日屋上にいれば、誰か上がってくるという期待も持てないし、このまま連絡が取れないと、現地の添乗員が失踪扱いにし、警察が動くという事態になるかもしれない。(注:ボクは以前から・・・そして現在も携帯電話は持ってませ~ん!!)
気落ちしてしゃがんでいると、隣のビルの屋上広告が目に入りました。 何か漢字ばかりがつながっている、 つながっている!! 隣のビルを見れば、同じ高さで間隔もないぐらいにつながっている。  両方に有刺鉄線のようなものがあるが、あれぐらいなら跨いでゆけるかもしれない。 自然と体が柵の方に動いてゆきました。 柵の高さと向こうの屋上の状態を調べて、その時、  ボクはジャッキー・チェンになる決心をしました。

カバンを持っていたので、もう一度そこに戻るべく残して、柵を登り、跨いで、隣の屋上へ。 それからはすばやく、屋上の守衛室のような所に人がいたのですが、気づかれないように、階下へと降り、同じビルをまた登り、屋上のドアを開け、気をつけてカバンを取り、事なきをえました。  やれやれ・・

この話を何人かに面白おかしく話したことがあります。 ひとつ間違えば大変なことになっていたことを考えれば、恥ずかしい限りです。


いつからだろう、沢木耕太郎のような自分探しの旅がメジャーになったのは。 そこにコマーシャルも乗っかり、若者向けアジアツアーのCMがテレビで流れたりした。 俗悪なおやじツアーではなくて、もっと違う何かを求めて旅立ったりしましたが、多くは類似コロニアルな気分に浸るだけの旅だったように思います。  私もその中のひとりです。

知り合いに変わり者がいてチベットで五体投地をしたくて中国へ行った者がいます。  しかし、聖地には入れてもらえず、うろうろしているところ、近辺の子供達が親しげに話しかけてきた。  彼も身振り手振りで話しかけていると、いろいろ案内してくれるということらしい。  うれしくなって、つぃて行くうちに気を許してしまい、いつのまにか子供達がいなくなったと思うと、彼の持ち物全部もなくなっていた、という話を聞きました。
結局、彼の身柄を引き取るために親が中国まで出向くことになったらしい。
情報もなく、中国の辺境を旅するなんてナイーブすぎる話ですが、少なくとも私などよりは真摯に旅に向き合っていたように思います。  だから現実に遭遇したりしたのでしょう。



 梁石日の「闇の子供たち」読了。  タイのバンコクにおける幼児売買、幼児売買春の実態をたんねんに描き上げた小説です。  アフリカのみならず、近隣のアジア諸国にも悲惨な現実があり、私達の想像を超える強度を持っている、そのことを改めて認識させられました。



 時給800円、でも熟練の出稼ぎインド人は時給700円・・・おかしいね
経済格差があるのだから、賃金の格差は当然だと、当たり前の話を当たり前に言うのではなくて、子供のように疑問を持つことからしか、彼らとの本当の意味でのコミュニケーションは成り立たないんでしょうね。



     反りかえる電信柱星明り 

句会レポート

2008-10-06 21:51:40 | ふらんす座
9月28日 6名参加
手鏡の裏のうるしや望の月(M氏)
りんどうという白拍子京五条(O氏)
おむすびの風のたわむれ紅葉かな(T嬢)
月白に鰡も月見る音のして(Y氏)
月のもと子どもら靴を脱ぎちらかし(S氏)
りんどうのバルンスカート目をうばう(A)
以上今月の注目句(^o^)
・・・って句会のレポートを任されたものの。前回までのレポートは心引き込まれる文章付き・・・よし♪私もと作文を試みたけど、どうも向き不向きがあるらしい
文章考えてレポートが遅れるってのも本末転倒だし、ここはひとつレポートを私に任せたあたりが人選ミスだと思っていただくこととして☆
ただ、俳句のことはまだ全然わからないけど毎回目からウロコなディープな日本語教えてもらえて面白いです

つたないレポートですんませんm(_ _)m
文責:暁 
人選ミス:M氏