ふらんす座への招待

俳句をあそぼう

句会レポート

2013-10-30 15:25:18 | ふらんす座
 10月26日(土)

   参加者  たかし、突波、喜哉、ジロー、還水、白水、さとこ


 突波さんが来てくれました。8月、9月と参加予定だったのが用事が重なって来られず、久しぶりのお目見えでした。
淀から近くはない距離をわざわざお越しいただいているのに、いつも愛想のないことになってしまっていて申し訳なく思っています。
でも非常にありがたい。
突波さんが来ると句もさることながら、選句の幅が広がるように想う。
句会中突波さんが指摘されたように、突波さん、白水さん、さとこちゃんの3人が揃って選んだ句が2句あって、その2句を見てみると全く趣きの違う句だった。というように誰がどの組み合わせで誰の句を選んでいるか調べれば面白い。
また喜哉さんはいつも挨拶がわりにやさしく新人の句を選んでいるのですが、今回さとこちゃんの句を1つ選ぶところがもう1つ選んでいます。
といわけで今回、点の入った句すべてと誰が点を入れたか全部お見せします。


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 互選句

 風と来て入相の鐘冬隣           (たかし)
  並ージロー、還水
 晴天の百舌の高鳴き空を裂く        (たかし)
  特ーさとこ        
 ぐい飲みの蛇の目が睨む温め酒       (たかし)
  並ー白水
 十三夜解くワイシャツの袖釦        (突波)
  特ージロー、白水  並ーさとこ
 灯を消せば眠れぬ星に囲まるる       (突波)
  特ー還水  並ー白水
 「あの頃」という駅に降り神無月      (突波)
  特ー喜哉  並ー還水  
 十月の涙の色を素と答ふ          (突波)
  並ー喜哉、ジロー
 父の皿母の皿酢橘絞りやる         (突波)
  並ー喜哉
 ハロウィンはモンスター日本は八百万    (喜哉)
  並ー突波
 ふし穴のむかうに神無月来たる       (喜哉)
  並ージロー
 月下の猫ひらりと神無月始まる       (喜哉)
  並ーたかし
 桔梗やなぜか噂のたたぬひと        (ジロー)
  特ー突波、たかし
 偶然に出会ふ確率秋ざくら         (ジロー)
  並ー突波、還水、さとこ
 林檎置く机に彫刻刀の創          (ジロー)
  並ー突波、白水、さとこ
 覗き見るネットの小部屋神無月       (ジロー)
  並ー突波、喜哉
 少年の素振りはげしき秋の暮        (ジロー)
  並ーたかし、さとこ
 金取って聞かせる芸か放屁虫        (還水)
  並ー突波、白水、さとこ
 秋風がカランカランと鳴らすもの      (還水)
  並ー白水
 神無月不在の空の青きかな         (還水)
  並ーさとこ
 ピンキリもうつし世のこと温め酒      (還水)
  並ー白水
 神無月ゲートボールに寿老人        (白水)
  並ーたかし、突波、ジロー
 秋寒や新聞にある針の穴          (白水)
  並ーたかし、ジロー
 朝日さす林檎は赤く垂れてゐる       (白水)
  並ー還水
 階段に菊の籬や舞踏会           (白水)
  並ー還水
 夕映えに子盗り手招く芒かな        (白水)
  並ーたかし
 冬支度干した毛布で一眠り         (さとこ)
  並ーたかし、ジロー
 窓越しにふと見上げれば秋の空       (さとこ)
  並ー喜哉
 肌寒しつい肩すくめ秋感ず         (さとこ)
  並ー喜哉
   

句会レポート

2013-10-02 17:26:12 | ふらんす座
9月28日(土)

 参加者―たかし、喜哉、ジロー、烈、鈴鹿、白水、
     突波、還水(通信参加)

 句会に限らず何かの集まりにおいて、メンバーのなかの誰かが抜けると盛り上がりに欠けたものになってしまうことは多々あります。それは個人的にも言えることで、メンバーの出欠によってうれしかったりさびしかったりします。
先日テレビドラマを見ていると同じようなシュチュエーションがあって、パーティーを開く。気の合わなそうなメンバーがおずおずと始めるが、予想とは裏腹に新しいコミュニケーションに盛りあがるという一コマがありました。
始めてみないとわからない。自分の好みではなく偶然集まったメンバーで始めてみれば、新鮮な驚きに満ちたものになったとは俳句的なことのように思われます。

この日は3名抜けて6名の句会
 
今回は突波さんの要望もあって点の入った句全てを掲載します。


互選句

名月を貨物列車は置いて行き            (たかし)
十三で降りて気付きし後の月            (たかし)
鶏頭の襟貧乏の子沢山               (喜哉)
風の思ひ出竜胆の濃紫               (喜哉)
りんだうの言葉にゆるる風にゆるる         (喜哉)
せつせつと椎茸を焼く恋無き日           (突波)
妻の眼に月が浮かんでをりました          (突波)
鶏頭やヘップバーンの細き頸            (突波)
童話より甘き葡萄を啜りけり            (突波)
馬追の声しか馳走できません            (突波)
玄関に靴わらわらと望の月             (ジロー)
入口も出口も同じ秋の風              (ジロー)
座蒲団に寡婦の温もり鶏頭花            (ジロー)
ひと色の空の暗黒曼珠沙華             (ジロー)
秋雨に濡れゐて秋の服匂ふ             (ジロー)
名月が泳ぐ我が杯の内               (還水)
鉄柵の斜めの影も秋思かな             (還水)
クロールの息継ぐやうに西瓜喰ふ          (烈)
顔面を崩して拭ふ残暑かな             (烈)
稔る日をほめて欲しげに案山子かな         (鈴鹿)
彼岸花逃げも隠れもできぬ畔            (鈴鹿)
正座して猫も見るなり望の月            (鈴鹿)
望の月懺悔する気になりにけり           (白水)
病床に落日燃えて鶏頭花              (白水)
曼珠沙華印相に似て畏まる             (白水)
秋彼岸それから門へ行く人よ            (白水)



「せつせつと椎茸を焼く恋無き日」     (突波)

 ジロー―特選    喜哉―並選

せつせつと、とはタリ活用の形容動詞「切切たり」の連用形。思いや感情などがこもっているさま。
この日は特選をとった句にも批判がいくつかなされたが、この句もせつせつとという副詞は普通、椎茸を焼く行為には用いられないというものだった。
しかし、作者はせつせつと祈るとかではなく、だだ乾燥した椎茸を焼くということにあえてこの言葉を用いているように思われる。
この一種間抜けた表現のなかに、せつせつと、は主情をはなれ言葉本来の輝きを取り戻す。  何か椎茸がいとおしいものに思えてくる。これが詩ではないだろうか。

「彼岸花逃げも隠れもできぬ畔」      (鈴鹿)

  喜哉―並選    白水―並選

彼岸花は畑の傍らや墓地など人里に近い所に群生する。
どこか帰郷した遊び女を連想させる―なじみの客だった脱走兵をかくまっているとかいうような、身にふりかかる不幸をそのまま受け入れているような
逃げも隠れもできぬという主観的表現が、彼岸花によって連想をふくらませる。季語が利いている。