かりなと飼い主のあいだ

テレビの歌番組で、中島みゆきの「空と君のあいだ」が流れた。

ご存知のように、テレビドラマ「家なき子」の主題歌だ。

相棒犬「りゅう」の主人公「すず」に対する想いを詩にした歌らしい。

そんな事を聞いた覚えはあったのだが、改めて歌の内容を聴いてみて、かりながもし、こんな事を考えていたらと思うとジワーっと来た。

♪君が涙の時には僕はポプラの枝になる♪

　…悲しい時、かりなはポプラの枝になって

　くれるんだな…良くわかんないけど…（涙）

♪孤独な人につけこむようなことは言えなくて♪

　…つけこまないんだな…（涙涙）

♪君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた♪

　…うん、うん（泣）

♪引き止めた僕を君は振り払った遠い夜♪

　…振り払わないよぉ（泣）

♪ここにいるよ愛はまだ、ここにいるよ、いつまでも♪

　…いつまでもそばにいてね（号泣）

♪空と君とのあいだにはいつも冷たい雨が降る。君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる♪

　…悪はダメー！かりなぁぁぁ（嗚咽）　

　　　　　　　　　　　

　
何も考えてないな。

黒猫

かりなのお散歩コースは、車が二台擦れ違える位の道だ。

お散歩の途中、その道の先で、黒い塊が道路の真ん中に転がっていた。

優雅に朝のジョギング中の２人の女性が

「嫌だぁ、あれ、轢かれてるのよねぇ」

と、話しながら私たちを追い越して行った。

女性たちは、その塊を追い越し際、少し走るスピードを落として、またすぐに走り抜けて行った。

最近、新しい家が増えたからか、カーナビの普及のせいか、近道になったその道は、通勤ラッシュ時にはスピードを出して走って行く車が増えた。

どんどん近づくにつれ、黒猫である事がわかった。

時々、この近くで前を横切る黒猫かなぁ？

…最近、黒猫がよく横切るんだよ…と、母に話したばかりだった。

かりなは、いつもの足取りで歩いて行く。

何台もの車がその塊を避けて通って行く。

その度にまた轢かれるかも…とヒヤヒヤする。

近づくと、一匹の銀ブチの猫が、轢かれている黒猫を覗き込んでいる。その猫は、車が通る度路肩に避けて、行きすぎるとまた近寄ってくる。

親か子か兄弟姉妹か？

出来たら生きてて欲しかったが、口から大量の血が流れていた。多分、頭からぶつかったのであろう。近寄るにつれ、段々と怖くなる。

その時、長いしっぽが動いた気がした。

私の足は、今来た道を引き返していた。

黒猫を生きてるかどうか確かめる事も、道の真ん中から路肩へと避けてやる事も出来ないで、私の足は引き返していた。猫以下だ。

…轢いた奴が責任を持つべきだ…

自分の店の前で轢かれた血だらけの野良犬を、泣きながら抱き抱えて動物病院に運んだ知り合いのおばさんや、轢かれた野良猫を見つけたら、路肩に避けてやる友達のお母さんを知っている。

「かりながいたから何も出来ない…仕方がないもん」

気がつくと、そんな独り言を繰り返していた。

超能力犬⁈ かりな

きっと、あの時のＵＦＯのせいだ！

あれから、かりなが時々人間のフリをする。

こちらにとっては楽なのだけど…

ＵＦＯを見た気がした。

きっと、引きこもり過ぎたのだと気のせいにした。現実逃避しようと、変な事を考えたのだ。

そうに違いない。

お散歩から帰った私は、いつものように嫌々かりなの足を拭こうと抱え上げようとした。

すると、かりなは二本足で立ち上がり、玄関の上がり口に座り、濡れティッシュで足を拭った。

「ちょい待ち！」

かりなの勝手な振る舞いに、私は怒った。

犬の癖に生意気だと思ったのだ（怒る所が何か違う）

「さっき、ウンチしたやろ？お尻から拭かんかい‼︎」

かりなは私を少し見つめ、ため息をついた。

足は拭けてもお尻は手が届かないらしい。

やっぱり私は、重たいかりなを抱え上げ、部屋へ連れて行き、お尻と足を拭いた。

さっき、かりなが勝手に立ったり座ったり足を拭いたりしたのは、やっぱり引きこもり過ぎた私の妄想だったのだ。

いかん、いかん。相当参ってる。

部屋に離したかりなを見つめた。

ギャルかり

かりなの大食漢はいつも書いている通りである。

ちゃんと餌をあげてるのに、いやしく人の物を欲しがる。

それも何でも欲しがる。

満腹中枢がイカれてるのか、お腹がくちくなると言うことがない。

餌を食べた後も、何か食べている人の隣に座ってねだる。

しつこくねだる。

無視をすると鳴く、喚く、暴れる。

怒ると、何故かケージに入り鳴き喚く。

人間が食べ終わるまで、この戦いは続くのである。

躾がなってないのは、重々承知してます。

が、あの食欲は異常でしかない。

まだまだ次の獲物を狙うかりなさん