原題 Hacksaw Ridge
アリオ上田シネマにて。
最初、この題名を聞いたときは、一体これはどういう意味?ということで、映画の内容がよくわりませんでした。が、宣伝などで、1人のアメリカ人の衛生兵が沖縄の戦いで、多くの兵士を助けたという話だという事を聞き、見にいってみようかな、と。
衛生兵、第二次世界大戦そして沖縄という事で見に行きました。
恥ずかしながら、私は沖縄戦の詳しい内容はほとんど知りませんでした。ひめゆりの塔などはよく知っているフレーズですが、では一体沖縄のどこでどのような戦いが繰り広げられたのかという知識は全くのゼロ。
今回の映画で、沖縄の地理的な知識を得る事が出来たと思います。
HacksawRidgeとは、沖縄の浦添市に存在する前田高地というところの北側にある切り立った崖のようなところで、鋸の歯が切り立ったように立っているような景観から、アメリカ軍が名付けたという事です。
このあたりの地理的なことや当時の戦闘に対しては、浦添市のホームページにあり、大変わかりやすいです。地理的な事が頭に入ってないと、映画の内容も理解しにくい。
浦添市ホームページ
戦争前もですが、現在の浦添市のこのあたりは普通の住宅街が広がっています。また、70年という年月を経て、緑に覆われているHacksawRidge。とてもここで激しい戦闘があったなんて信じられませんが、70年前はそうだったんですね。
映画を見ているときはよくわからなかった現実感が、浦添市のホームページなどからその現実感がわかったような気がします。
さてその映画の内容はというと、前半部分は若干眠くなりそう、、というか大きなエピソードがあまり無いので、淡々と過ぎていく感じ。
しかし、主人公が軍隊に入隊する頃からテンポが上がって行きます。
また「良心的兵役拒否者」という言葉を初めて知りました。そしてそれでありながら、戦後、名誉勲章を授けられています。
第一、軍隊に入りながら鉄砲持ちたく無いとか言っていたら普通除隊でしょ?その辺りのこと、この映画では見る人がわかりやすいように描いています。
戦闘シーンは結構リアル。爆弾で吹き飛ばされた酷い死体もそのまま描いているところが多いです。
戦場での衛生兵って結局やることは限られていると思います。止血処置って言ってもガーゼ当てたり止血剤撒いたり、あとはモルヒネ打ったりだけ。でも重要なのは、傷ついた兵士を1人でも戦場から救出し後方の医療班に渡すこと。これを、一人で行ったのがこの映画の主人公です。
「ワンモア、ワンモア」と言いながら。それも、日本兵の銃撃にさらされながら。本人すらも絶体絶命の時に。
このあたりは見応えがありました。
でも戦闘の最後あたりで、多くの日本兵が地下壕から飛び出してくるシーンがあったのですが、あれだけの戦闘の後で、そんなに大勢の日本兵がまだ残っていたのかちょっと❓状態でした。
主人公が日本軍の地下壕に迷い込み、日本兵の止血処置をしたようなシーンがありましたが、どこかでこういうシーン見たような気がします。日本映画かなあ。
また、映画に沖縄の表記がされていないようなことを文句を言っている人もいるようですが、この映画は沖縄戦にフォーカスしているのではなく、一人の青年にフォーカスしているわけですから、それは問題ないと私は思います。
年月がたつにつれて、戦争のことは色褪せて行きます。若い世代にも、沖縄戦の情報を与えてくれたのにはこの映画は良いきっかけになったのでは❓
ということで評価は
🍎🍎🍎
です。
監督はメル・ギブソン。そのためか、彼が出演した映画に似たような雰囲気をこの映画でも感じます。
『ハクソー・リッジ』本予告編