ブルゴーニュにうってつけの日/ANGEL'S SHARE

世の中にワインと称するお酒は数あれど
やっぱりブルゴーニュに勝る銘醸地は無しと
思うワイン日記

『春の雪』が映画化だって!?

2005年04月07日 | Weblog
喫茶店で時間を潰すのはあまり好きではなく、時間があれば始終立ち読みしているが、今日立ち寄った出先で本屋を覗いたら新刊の積み棚に三島由紀夫の『春の雪』が並べられたのでめずらしいなと思って手に取り掛けたら帯の文字が目に入って思わずのけぞった。妻夫木聡、竹内結子主演行定勲監督で映画化決定、今秋公開とあるじゃない。行定マジかよ、『北の零年』に続いて三島作品とは、まさか一作目が好評だったら『天人五衰』までシリーズ化なんて事はありえんわな。春の雪だけは舞台化された事もあるらしいからその路線で脚本作るのだろう。但しそれじゃ全くつまらん。せめてエンドクレジットには豊饒の海(一)完といれてくれないとね。高校生の夏休み『豊饒の海』を二日かけて徹夜で読んだことを思い出す。それから折りに触れて10回ぐらいは読み返したかなぁ。最初の頃は『奔馬』と『天人五衰』の冒頭の海の描写が好きだった。その頃は『春の雪』と『暁の寺』の後半部分があまり好きではなかったが、その時々で好みは変ったりした。この作品は三島畢生の大作だが非常に評論家連中からは受けが悪い。輪廻転生についての衒学的部分は特に批判されている。最終巻の『天人五衰』の中盤は三島の現実的な生に追われて作品の完成を急いだ事情がありどうしても端折った感じがあり物語が未消化なところがある。それでもこれだけの作品を残せた作家はそういないんじゃないかな。没後三十五年経って、その間事件の方ばかり関心が寄せられとても正当な評価を受けてきたといえない三島作品が今回の映画化を機に再評価されるといいのだが。とにかく45年の生涯で長編、中篇、短編であれほど沢山の作品を残したのはこの人以外いない。好き嫌いは別にして天才作家というのは日本においては三島にだけ相応しい称号だと思う。そういえば文学好きで売っているサトエリがどこかの雑誌のコラムで豊饒の海を取り上げていてホぉーと思った。