テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

「離縁せよ」~家康のキャラ設定

2011-04-19 19:25:37 | 大河ドラマ
今週の『江』、タイトルから見ても分かるように先週の続編みたいなもの。さほど新たな展開はない。目立ったのは秀吉の腹黒さと、織田信雄や羽柴秀次のバカ殿っぷりくらいかな



先週、「新婚初夜のために」と18禁の枕絵を見せられ失神してしまった江。今週になってもそのショックは抜けず、祝言の席上でまたしても失神してしまう。何処までショック引き摺るんだか…。
新郎の佐治一成は「そなたに心構えが出来るまでHなことはしないよ~」と江を優しく介抱する。安心した江はほどなく快復。いつもの無邪気さを取り戻す。
新郎新婦ともども、主君信雄のところへ挨拶へ行った先で家康と再会。本能寺の変の直後、共に必死の逃避行をして以来の再会に喜ぶ江。ところが、秀吉との戦が近いと知るや「秀吉側には姉達が~!」と訴えるも「左様なこと此処で申すでない!」と信雄に一喝され敢えなく却下。

「そなたの敵を討つ」との一成の言葉にも不安を隠せない江。一方、秀吉側に残された茶々、初の姉妹も何とか戦を止めさせようと文を書くことを決意。次女の初が、母お市の方から「(茶々と江の)二人の間に何かあらば、絆となって繋ぎ止めよ」とトモダチ作戦を依頼された場面が回想シーンとして流れる。終盤で豊臣方と徳川方とに分かれて争う状況に陥った時、尼となった初が両者の和解のために奔走することになる、その伏線みたいなものだろう。これらの動き空しく、後に小牧・長久手の合戦と称される戦が勃発。秀吉と家康が激突するわけだが、肝心の合戦シーンは僅か10秒ほど。しかも過去の大河の使い回し。予算の関係もあろうし、血生臭い合戦シーンはファンタジー大河にそぐわないのかも知れないけど、戦国時代を描きながら合戦シーンをほぼスルーってどういうこと? 賤ヶ岳の合戦の時もそうだったし。織田と浅井が戦った姉川の合戦はかなり大きく描いてたけど、まああれは準主役お市の方の婚家と実家の争いだから、スルーするわけにはいかなかったんだろう。これからの関ヶ原の合戦シーンは『葵 徳川三代』の、大坂の陣のシ
ーンは『天地人』のを、それぞれ使い回すのかな?

秀吉側の圧倒的優位で始まった合戦だったが、戦巧者の家康に翻弄されて大苦戦。苛つく秀吉のもとへ二通の書状が届く。側室の龍子からの書状は「こんなもん読めるかっ!」てな態度で封も開けずに放り投げるが、もう一通が茶々からのものと分かるや態度をコロッと変え、うやうやしく掲げてから封を開ける。こういう演出が如何にもコントじみてるんだけどなぁ…。で、戦を止めて下さいとの文面に「可愛いのぉ~」とデレデレにやにさがる秀吉。「でも戦を止めるわけにはいかんのですよ~」と呟きながら文に顔を埋め「いい香りじゃ~」って、洗濯用洗剤のCMかいっ! と、思わずツッコミを入れたくなってしまった。空気を読めない三成は「この墨に使われた香木はさぞ銘木でしょうねぇ」と的外れなコメント。呆れた秀吉が「お主は女にモテんだろなあ」という皮肉にも意味が分からずキョトンとする三成。ドスケベ匂いフェチの秀吉とクソまじめ三成のやり取りは、これまたコント。ほんと、全編コントばっかりだなあ(x_x;)

そこへ突如として陣へ乗り込んできたのは甥の秀次。「家康の裏をかく作戦を考えました。どうか私に指揮を取らせて下され!」と秀吉に直訴する。いずれ羽柴の跡を継ぐ身だし、何事も経験だから思う存分やってみよ! という秀吉の言葉に勇気百倍。「オーッ! オーッ!」と勇ましく鬨の声を張り上げて出陣したものの、こんな思い付きの作戦が家康に通じるわけもなく呆気なく敗退。対する信雄は、戦勝に気をよくし宴を催して高笑い。「まだ戦はこれから」との一成の忠告にも耳を貸さない。その様子を見た家康が「信雄は危うい」と呟く。出過ぎた秀吉の頭を叩くっていう本来の目的を忘れ、目先の勝利に酔ってる信雄に対する危惧を露にする。

一方、秀吉の陣では戦に負けた秀次が平謝り。「思わぬ待ち伏せを受けて…」と言い訳する秀次に「それが徳川家康という男よ…」と静かに囁きかけたかと思うと、たちまち激昂。「この大馬鹿たれがぁぁ~! 今から敵陣に斬り込んで死ね。戦って死ね、死ね、死んでまいれぇぇ~!」と罵詈雑言を浴びせながら殴る蹴るの嵐。この辺りも、のちに秀吉が秀次に対して切腹を命じる伏線になってるような気がする。

秀吉は継戦困難と悟り、和睦の道を探ることに。ここで秀吉は本領を発揮する。交渉の相手は難敵の家康ではなくバカ殿の信雄。外堀を埋め、家康が戦を続ける大義名分をなくしてしまおうという作戦。これは上手い。史実にも沿ってる。ただ、信雄の描かれ方があまりにもバカ殿すぎてマンガチックそのもの。似た者同士の秀次もそうだけど、こんな極端なキャラに描いてしまうと物語が薄っぺらくなってしまう。両者を演じてる山崎裕太や北村有起哉はなかなかの名演だとは思うが。

戦の行方を憂う江は、どちらが勝っても負けても困ると、侍女に思いをぶつける。その席へ初からの書状が…。「元気にしてる? こちらは二人だけど、そちらは一人でさぞ寂しいでしょうね。猿は憎いけど、今さらそんなこと言ってもしょうがない。また会って一緒にお菓子でも食べたいね…」って、またお菓子か。この姉妹はお菓子のネタばっかりだなぁ。

さて、信雄の陣中へ和議の使者として訪れたのは秀吉の軍師、黒田官兵衛。 戦で取った城も全部返してあげるよ、秀吉が朝廷に働きかけて、高~い官位にも就けてあげるよ、っていう美味しいエサを投げ掛けられた信雄は、一も二もなく食い付く。「それでは秀吉の思うツボ!」という一成の進言も無視し和議に同意してしまう。
(こいつはダボハゼじゃのう。ちょっとエサをちらつかせただけで直ぐに食い付いてきおったわい。噂以上のバカ殿じゃ。チョロい、チョロい)…てな官兵衛の本音が聞こえてきそうな感じ。柴俊夫はベテラン俳優である上、大河の出演も数多いから、表情や雰囲気に真意を漂わせる演技もお手の物だ。

和睦の知らせを受けた家康はあっさり陣を引き上げる。「信雄様を落とすとは猿らしい」と感心する家康。尾張・大野城で夫の留守を預かる江も和議が成ったとの報に安堵する。
茶々と初の姉妹は、出来たてホヤホヤ、成金趣味丸出しの大坂城に招かれる。待ち構える秀吉。なぜ江の婚家を攻めたかと問い詰める姉妹の言葉をはぐらかし「お二人には此処で住んでもらう」と一方的に申し渡す。自室へ戻った秀吉は南蛮渡来?の天涯付きベッドに寝そべりながら「豪勢な城も建てたし、戦も勝ったも同然なのに何やら面白くないのぉ」とおねに向かって愚痴る。「(江は)姉上様たちにお逢いしたいでしょうよ!」との、おねの言葉にヒントを得た秀吉は悪企みを思い付く。(そうだ、離縁させてやろう)。そういえば江の婚姻も、おねの言葉からヒントを得たものだったなあ。婚姻も離縁も、おねの言葉が思わぬヒントになったなんて、おねはとんだ道化扱いをされたものだ。大竹しのぶも上野樹里と同じく天然キャラ女優ではあるけれど、年季の違いからか大竹の方が遥かに演技には深みがある。

茶々の部屋を訪れ、秀吉の非を詫びるおね。「おね様のお顔を見ると何も言えなくなってしまいます」と微笑む茶々。この二人に確執が生じるなんて現時点では想像も付かないけど、その心境の変化をどう演じるか、大竹しのぶと宮沢りえの演技力の見せ所になりそう。

江のもとへは戦を終えた一成が帰還する。「そろそろ夫婦の契りを結ばない?」という一成の提案に、恥ずかしがって俯く江。そこへ突然、大坂からの報せが! 茶々が急病だと告げる初からの書状を見た江は急遽、大坂城へと旅立つ。
哀れ江は、初夜を迎えることなく一成と今生の別れを迎えることとなってしまった(>_<)

大坂城に着いた江は豪華絢爛な城には目もくれず、一直線に茶々の部屋へ。姉の姿を探す江。すると中庭から何やら楽しげな笑い声が。障子を開けるとそこには雪遊びに興じる茶々と初の二人がいるではないか!「外になど出てよいのですか!?」との江の問いかけに、「病気? 文? 何のことじゃ?」。事情が分からない二人はちんぷんかんぷん。

すると目の前の障子が「バーン!」と開け放たれ「ハハハハハッ!」と悪代官のように高笑いしながら秀吉が現れた。「茶々が病気というのはウソだぴょ~ん。文を書いたのもワシだぴょ~ん」とあっさり白状。「こんな金キラキンの城、品の欠片もないっ!」と叫んで雪玉を投げつけようとする江の手首を掴み、秀吉は更なる追い打ちを掛ける。
「一成とは離縁してもらう。あの者の領地は召し上げた。城からも追放した!」
国許へ逃げる家康を助けたからじゃ、とトンデモない言い掛かりを付ける秀吉に向かい「味方を助けるのは当たり前。なんでそんな勝手なことをー!」と詰め寄る江に、秀吉は傲慢に言い放つ。「ワシが父だからじゃ。そなたはワシの養女になった」。悔しがって次から次へと雪玉を投げつける江。バカ笑いし、おどけながら逃げ回る秀吉。でも秀吉ってこんなに腹黒い人間だったんだろうか? ドスケベな上に腹黒いなんて、随分と酷い描かれようだ。

大河における秀吉の描かれ方って、定番というかお約束みたいなものがある。木下藤吉郎や羽柴秀吉の時代は、底抜けに明るく庶民的で人懐っこい人物として描かれ、天下人、すなわち豊臣秀吉となってからは一転、傲慢で冷酷な権力亡者として描かれる、というパターンだ。今回のように天下人になる前から腹黒さ満点の人物として描かれるパターンは見た記憶がない。これで天下人になったら、どんな悪人キャラになるんだろう? 案外、今と同じように描かれ、変化がなかったりするんだろうか? 間違っても善人キャラになったりはしないだろうけど

今週の、というか大河ドラマ全般におけるツボが徳川家康の描かれ方だ。家康の描かれ方は、秀吉のように一様ではない。家康自身が主役であったり、主役が家康に近い立場の人物であった場合、家康は温厚な人格者として描かれることが多い。今回はまさにこのパターン。江にとって家康は将来の舅。だからであろう、北大路演じる家康は申し分ない人格者だ。秀吉とは違い、腹黒さなんて全然ない。

では主役が、家康と敵対する立場であった場合はどうか? この場合、家康は徹底した悪人キャラとして描かれる。最近の大河では一昨年の『天地人』がその典型例。松方弘樹演じる家康は、狸親父を通り越して悪の大魔王みたいな人物として描かれていた。あんな強欲で身勝手な人間が人望を集めるのは本当に不思議だったが、今回は秀吉に対して同じ感想を抱いてる。

今後、秀吉はますます悪人キャラに、その対比で家康は更なる善人キャラとして描かれるようになっていきそうな予感がする。極悪人ような秀吉と、聖人君子のような家康。どちらのキャラ設定もどうかなあとは思うけどね

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