goo blog サービス終了のお知らせ 

明日は明日の風が吹くのだ

人生いつでも波瀾万丈

中級ライディング番外編。~ウイリーしすぎて困る~

2011-09-30 20:39:37 | 中級ライディング

B23さんからいただいたコメントに対する返答ですが、同じような悩みを抱えていらっしゃる方は他にもありそうなので記事としてアップ。

B23さんの場合、ウイリーからの着地失敗で痛い目に遭われたわけですが、となると転けないためにはまず「ウイリーさせないこと」、次いで「ウイリーしたらうまく着地させること」の2段階の対策があるかと思います。うまく着地させる話は、こちらの記事を御覧ください。

立ち上がりでウイリーしすぎる原因にはいくつかあるんですね。筆者はDukeでトミン1コーナーを2速で立ち上がる際、例外なく毎回ウイリーしていました。最初のうちは毎回ステップに立ち上がって前に体を移動してウイリーを潰していたくらいです。ところが、最近はまずウイリーしませんし、もちろんステップに立ち上がることもありません。だからといって、以前より加速を緩めたわけでもないんです。原因は、操作にありました(パワー落ちたんじゃね?という突っ込みは今回ナシの方向で...苦笑)。んで、筆者の場合は

1) 引き起こし動作で切り増しを行っていて、しかも雑。
2) 結果、引き起こしのローリング速度が速すぎで、舵角も不適切。

これらに気づいてから、全然ウイリーしなくなりました。

バイクがフルバンクしているところから引き起こすにあたり、多くのライダーが無意識にステアリングをインに切り込んでいると思います。この切り増し操作によって素早くバイクを引き起こすことが出来るのですが、やり過ぎるとフロントが「びよーん」と跳ね上がります。跳ね上がるまでは行かなくても、そのタイミングでアクセルオンすればいとも簡単にウイリーしてしまいます。

当たり前の話ですが、バイクの重心は真上から見ると前後タイヤの接地点の間にあり、かつ真横から見ると前後タイヤの接地点よりも上方にあります。バイクを真横から見れば、フルバンクから素早く起こすと、倒し込みで地面近くに低く下がった重心が「トスを挙げるように」急激に高く上がろうとすることは容易に理解できます。重心はリヤタイヤよりも前方にあるわけで、重心がそれなりの速度を持って垂直方向に上昇している最中にフルパワーをかければ簡単にウイリー、となるわけです。

加えて、引き起こしの最中に切り増しを続けることで、引き起こし方向のロール速度はどんどん速くなるわけですから、なおさらウイリーを助長するわけですね。

ではどうしたかというと、

a) 切り増し操作を弱く、最小限にして引き起こしのロール速度を落とす。
b) バイクが起きてくる速度に同調して、進行方向に対する適切なステアリング
 舵角を与え続ける。

の2つを心がけるようにしました。

(a)のためには、以前よりも緩徐に引き起こしてもいいように、それ以前の段階でよりしっかりと向きを変え終わっていなければなりません。なので、これまでよりもコンパクトな旋回を行う必要があるでしょう。

(b)のためには、セルフステア任せにしないで、「このライン上なら本来のセルフステア位置はこの辺りのはず」とライダーが判断して、自分の手でステアリングをその位置にアジャストしてやります。脱力でのセルフステアでなく、いわば「アクティブステア」で走行ラインに合わせた自然な舵角を整えてあげるわけです。これは、加速でフロント荷重が軽くなってくるとフロント接地点のグリップが低下するので、バイク任せだとスリップアングルが大きくなるだけでセルフステアがつきにくいことが理由です。また、ラインに沿った適切なステアリング蛇角を丁寧に維持するようにしてやると、リフトしてしまった場合でも舵角は正しく進行方向に向いているので、着地で暴れたりしないというメリットもあります。

これら(a)(b)の2つの操作によって、ウイリーはほとんど解消しましたし、着地で暴れることはなくなりました。落とした瞬間に「トスン」というだけです。わずかに舵角が狂うことはありますが、その場合でも小さく一瞬「プルッ」と震えるだけで一発で収まります。もちろん、Dukeにはステダンは未装着です。

さて、(a)(b)実現のために必要なのは、耳タコですが「セルフステア」のマスターです。まず、自分がステアリングをどう操作しているのか分からなければ、対応のしようがないですからね。基準となる「ゼロ位置」がセルフステアですから、セルフステアのマスターなしに自分がいまどの程度の入力で逆操舵しているのか切り増ししているのかハッキリ自覚することは困難です。もちろん、セルフステアをマスターしていないとアクティブステアで「セルフステア位置をライダーが作り出す」ことは不可能です。

私見ですが、トミンスポーツ走行の動画をいくつか見ていると、600SSで27秒中盤くらいまでなら、セルフステア未習得でフロントタイヤのグリップをコントロール出来ていないライダーでも、ハイグリップタイヤを履けば到達可能のようです。もちろん、それらの操作が出来ている人のほうが多いけれど、出来てなくても勢い次第で出せる可能性があるってことです。最近のタイヤはとっても高性能なので、グリップのコントロールが出来ない人でも逆操舵でムリヤリ寝かせつけて「うりゃあ」と曲がり、切り込みで叩き起こしてアクセルガチ開けって感じでもタイムはそれなりに出ちゃうんですよ。滑らないと信じてタイミングとバンク角さえ合わせりゃ出せるって勢いで。でも、そういうライダーは、そこからタイムが縮むに従っていずれ転倒の頻度が増してきますから、その延長線上で26秒台や25秒台に入って行くことはないでしょう(また敵を増やしそうな文章だな…)。

さて、B23さんの実際の走りを一度も見たこともないのに、想像でモノを言うのは大変失礼に当たるとは思いますが、敢えて仮定の話をするならば、B23さんはおそらくまだセルフステアはしっかりマスターされていないと思います。これは、ウイリーの着地で大きく振られたことをその根拠として考えています。

左コーナー進入で転倒したなら、最初の振れではまずフロントタイヤの接地点が右に弾かれ、同時にバイクは左にロールしたんじゃないでしょうか。速度が低いだけに、その最初の一発でひっくり返った可能性も高いようにも思います。そうだとしたら、右コーナーである「2コーナー(帝王)」の立ち上がりで比較的大きな力でイン側にハンドルを切り込んでいたでしょうし、フロントがリフトしてからも腕に力が入ったままハンドルバーにぶら下がっていたでしょう。当然、ステアリングは2コーナーからバイクを引き起こそうとした入力のままに右に切れているはず。そのまま着地したらどうなるかというと、ステアリングが完全にフリーになっていれば着地と同時に急速にステアリング蛇角が進行方向に戻ってくれるところを、両手でハンドルがしっかり固定されちゃってるもんだから、接地した瞬間に接地面に大きな力が働いて、バイクが吹っ飛ばされるわけです。

…とか見てきたように書いてハズレてたらかなり失礼&格好悪いな(苦笑)。

ところが、セルフステアを活かしたライディングを心がけていると、リフトしたときの舵角のズレが生じにくいんです。ウイリー中でも上半身にはゆとりがありますので、空中で舵角を整えることも出来ます。また、着地の時まで上半身からは脱力したままでいられますから、着地でフロントタイヤが振られても、振れがフロントタイヤからフォークまでで収まって、車体やライダーの体幹に伝わる量が最小限で済みます。ステアリングと腕だけを勝手に振れさせておく感じですね(この辺は前回コメントのリンク先を御覧ください)。

そうそう、筆者は立ち上がりでは結構体を起こしたり伏せたりしています。このやり方がDuke以外のビッグバイク、特にSSで正しいのかどうかは今後の検証が必要ですが、アクセルを開け始める瞬間は比較的体を起こして後輪荷重し、リヤタイヤの喰いつきを助けています。リヤが喰いついたと思ったらアクセルを大きく開き始める一方、体を低く前傾してウイリーを抑えるようにしています。先日参加した9月梨塾の動画もそのうち公式HPにアップされるとは思いますが、RSV4にまだ慣れていなくて上手く出来てないと思いますから、その辺は突っ込みなしでご容赦を(苦笑)。

パワーのあるバイクに筆者が乗る場合、コーナリング中には頭はステアリングポストの延長線上か、あるいは少しインに入れた軽いリーンインの姿勢を取るようにしています(そのバイクに慣れないうちはリーンアウト気味になりがちですが)。コーナリングの後半部分からはだんだんと頭がステアリングポストに垂直、あるいはややアウトの位置まで出てくるのだけれど、いよいよ立ち上がり操作に入ったところでバイクだけ起こして人間はインの低い位置になるような感じにしていますね。パワーのないバイクでは、逆操舵して敢えてバンク角を深めに維持したままパワーをかけて立ち上がるケースが多いです。いずれの操作でも、ウイリーを防ぐ方向に働きます。

ステアリングの使い方についてはちょっと注文をつけちゃいましたが、B23さんの場合、おそらく加速時のリヤタイヤの使い方は相当のレベルに達しているだろうと思います。でないと、ナンダカンダ言ってもなかなか27秒台って出ないですからね。今年の1月に免許を取って、わずか8ヶ月で27秒台に到達したというのは、二輪免許歴20ウン年、サーキット走行歴5年の自分から見れば驚異的です。これからもどんどん伸びて行かれるのは間違いないと思いますんで、B23さんに質問されたことがあるのがいずれ筆者の自慢になるように(笑)、怪我のないよう今後も楽しんでくださいね。転倒や怪我さえなければどんどん速くなれるはずですから。またコースでお目にかかったらよろしくです。

・・・あ。ステダンの話するの忘れてた。まず、ステアリングダンパーについての筆者の考え方をご紹介。

ステアリングダンパーは、基本的に「振れを押え込んで防いでくれるものではなく、起こった振れを出来るだけ早く収束させる、あるいは収束しなくても小さくするためのもの」と考えています。なので、ステダンをつけたからといってウイリーからの着地での振れがなくなったりはしないでしょう。着地での振れの場合、一発目の振れの大きさはバイクの進行方向との舵角のズレ具合でほとんど決まってしまいます。コケなければその後何回かバウンドしながら収束しますが、その収束を早めてくれるのがステダンということですね。

一方、明らかにステアリングダンパーがあると有り難いのは、高速域での振られですかね。「ワナワナワナッ」とステアリングが揺すられるタイプの振れには効果があると思っています。直近の例では、RSV4でこの恩恵にあずかってます。

ステアリングダンパーがあると邪魔なのは、低速コーナーの多いコースです。セルフステアでの舵角のツキがどうしても遅れるので、慣れないと乗りにくいですね。もちろん、舵角が素早く入らないと実行できないV字的なクイックな旋回は難しくなります。

それと、強めのステダンがあるとセルフステアの働きがわかりにくいので、セルフステアをしっかりマスターしていないうちはつけない方が良いです。ステダンがない場合に逆操舵からハンドル入力をフリーにすると、自然に切れ込んでセルフステア位置が出た瞬間にステアリングの動きがピタリと止まるのが分かるのですが、ステダンが強いとその瞬間が分かりづらくなります。もちろん、セルフステアを既にマスターした人なら「ピタリ」がなくても位置が出たのは分かるんですが、習得途上の人には向きません。

そういうことを総合して考えて、前回いただいたコメントには「トミンでCBR600RRならステダンは要らないはず」と書きました。ただし、最近自分はトミンを600SSで走っていませんし、超速な皆さんが「トミンでもステダンが有効」と仰っているようならば勿論そちらの意見の方が正しいので、自分の意見は聞き流していただいて結構ですよ。

中級ライディング INDEX


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わざわざ私の為にありがとうございます。 (B23)
2011-09-30 22:46:00
わざわざ私の為にありがとうございます。
まさにおっしゃる通りです。
まずセルフステアは意識したことはないですね。
進入では逆ハンなどは使ってはいないですが、タイヤのグリップ任せにエイッっと曲がってますね。
脱出は早く起こしたいのでイン側に意識してハンドルを切ってます。
その方がアクセルを開けれると思ってました。
タイヤのグリップ頼りの進入と気合いの脱出で27秒3まではいきましたが、もちろんその先までいきたいので今回転倒して初めてライディングを考える機会になったと思ってます。
今までも感覚で着地時のハンドルの向きで振られ方が違うのは感じてましたので意識して真っ直ぐにタイヤが向くようにしてましたが、引き起こしのローリング速度なんて想像すらしなかったです。
先日トミンでCBR600RR(07)に乗る機会がありましたが、07は電子制御のスレダンが装着されてましたが、倒しこみが遅くスパッっと寝なく(逆に安定とも感じましたが)これがもしかしたらステダンの悪影響?とも感じました。
今回教えて頂いたことを意識して走行してみます。
ありがとうございます。
いつかお会いできるのを楽しみにしております。
返信する
今回の記事で自分もまだセルフステア習得には時間... (げる)
2011-10-01 18:09:25
今回の記事で自分もまだセルフステア習得には時間が掛かりそうだなと思いました(汗)
練習あるのみ!ですね。
返信する
B23さん> (Broccobird)
2011-10-01 23:43:36
B23さん>

予想が大きく外れてはいなかったようで、安心しました(苦笑)。今回いただいたコメントで、状況がよりわかりやすくなりました。またまた長文の返信を書きましたんで(苦笑)、別記事で。お返事は気になさらず、適当に読み流してくださいまし。
返信する
げるさん> (Broccobird)
2011-10-01 23:54:36
げるさん>

いえいえ、セルフステアの習得にはそんなに時間がかかるもんではなくて、「運」です。しつこく練習していれば、たまたま腕の力が抜けたまんまで奇麗に回れちゃう「マグレ当たり」が出ますから、そのチャンスを逃がさずその場で繰り返して体に叩き込めばOKです。ただし、宝くじは最初の1枚で当たるかもしれないし、1万枚買ってようやく当たりを引くかもしれないわけで、たくさん買った方が当たりが出やすいのも事実ですから、当たりが出るまで根気よく練習あるのみってのは仰る通りではあります。そんな高等テクニックではなく、自転車の手放し運転と一緒で、一度体感出来れば「なーんだ」って感じになると思いますので、お気楽に頑張りましょう(笑)。

あ、「ピタリ」についてはそんなにこだわらなくて大丈夫ですよ。逆操舵を使わないブレーキリリースだけでの倒し込みだと、ブレーキリリースが終わったところでセルフステア位置が出ていますので、「ピタリ感」は小さいです。逆操舵からセルフステアに持ち込むと、ステアリングが大きく動きますのでわかりやすいんですよ。
返信する

コメントを投稿