そうなのである。分かっている人は分かっているであろうが、敢えて言おう、力はベクトルであると!
以前の日記「バイクの初心者の実情?」で、「前ブレーキ(右手)を掛けることで、バイクを固定しバイクは軽く左に傾斜させると同時に、左右両手、腕、胴体、左足を棒のごとくして、バイクを突っかえ棒で支えるようなイメージでバイクの前後輪と人体で三脚(三点支持)を形成し固定すれば、右足を上げてもブレず、立ちごけしない」と書いたのを解説してみます。
バイクの模式図:
緑の丸は、タイヤの接地点。
橙色の丸は、ハンドル(面倒だから横棒にしていません)。
黒丸は、バイクの重心。
サイドスタンドが掛ったバイクを真っ直ぐに起こそうとすると、赤矢印の方向に力を加えないといけません。反作用として手は青矢印の方向に押される。
バイクが真っ直ぐに立てば、赤矢印の力も青矢印の力も0になる。傾けば傾いただけ、大きく力を掛けないと、重心が地球に引っ張られるのでバランスがとれない。
バイクに跨る際には、あまりに真っ直ぐに立てるとちょっとの力が掛かってしまってもフラフラとバイクの右か左かに倒れ始めてしまうので、普通の人は若干自分の立っている方の左側に少し傾けて、それを支えつつ跨るでしょう。
そう「支えつつ」なんですよ。
けれど跨る動作でその支える力がブレることはあるわけで、結果として先ほどの「真っ直ぐ立てた」場合と同じで、結構バイクがフラフラしてしまう人も多いのでは。
これは力の掛け方によって、緩和できます。
図の「上」からの図を見ていただくと、斜めに出ている長い赤い矢印が描かれています。
こういう方向にハンドルに力を掛ければ、力ベクトルの分解をしてみると、バイクを前方に押す力と横に押す力に分解され、横に押す力が赤い短い矢印です。
矢印の長さが力の大きさなので、手でバイクを押す力のうちバイクを横に押す力は小さいことがわかります。
これは主に長い矢印の方向に押していれば、バイクを押す力が跨る際の動作などでブレてもバイクを横に押す力のブレは少なくなることを説明しております。
またバランスとるために力加減をするにしても、横に力を加えるより大雑把にやれることの説明にもなります。
ようするにバイクを支えるのにハンドルを斜め前に押すと、あまり繊細に力をコントロールする必要はなくなるわけです。
けれど!けれどですが、バイクのブレーキを掛けていない、もしくはエンジンを止めて駐車するさいにギアをローに入れていない場合は、バイクは前に進んでしまって横向きの力がすかされてしまいます。
逆に言えば、ギアをローに入れず、ブレーキも掛けずに跨ろうとする人は、横向きの力だけでバイクを支えざる得ないので、不安定になりやすいわけです。
これを避けるために「ブレーキを掛けて跨れ」なんですね。
こうすればハンドルを斜め前に押してバイクを支えられるので、バイクを支える力が多少ブレてもすぐにバイクがふらつくことが無いので、コケずに跨れますよということです。
バイクを突っかえ棒で支えるのが、簡単になるのです。