葬式には香典がつきものなわけであるが、いずれ香典返しで全額とは言わなくても返すのにという疑問があった。単なる儀礼的なものだろうかと。
しかし、今回葬式をやる身になって、痛切に理解したのである。
あれは一時的に可処分所得・使える現ナマを増やす手段なのである。
例えば、働き盛りの夫婦で子供もいるとなると、そこそこ稼いではいてもいざというときに都合できる現ナマは少ないはずなのである。
そこで例えば家族の誰かに突然不幸がありとなったときに、待ったなしに葬式・火葬まで持ち込まないといけない怒涛の展開が襲い掛かるわけである。当然それにはお金が掛かる。襲い掛かるのは家計にも襲い掛かるのである。
その際に融通できる現ナマを調達する手段と考えると香典は案外有用なのだと。明確に返済する期日も決まっていない借金と考えると、優れたシステムなのである。
ということに気がついたのであった。