【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

探検家・冒険家 シリーズ 29-⑩

2013-07-24 13:19:48 | 冒険記譜・挑戦者達

海洋・学術冒険家= 生態学者 ゼブ・ホーガン博士=

Stefan Lovgren in Chilliwack, Canada  ~

  1990年代半ば、カナダのブリティッシュ・コロンビア州を流れるフレーザー川の沿岸に大量のシロチョウザメの死骸が打ち上げられるようになった。 この北アメリカ最大の淡水魚が絶滅に向かってしまうのではないかと恐れる人もいた。  

 かつてはフレーザー川にあふれていたチョウザメの生息数は4万匹を下回るまでに減少したが、大量死の原因、またその性別がほとんどメスに限られる理由は専門家でも解明できなかった。 

 これを機にチョウザメ保護のため、政府機関、環境保護団体、先住民族、漁業関係者、スポーツフィッシングを行う遊漁者が結集して協力体制が築かれた。 それ以降、フレーザー川下流に生息するチョウザメの個体数は順調に回復を示していった。 最新の推測値によると、生息数はおよそ5万匹にまで増えている。  

  「このような成功物語は非常に珍しいケースだ」。 巨大魚保護プロジェクトのリーダーであり、チョウザメについても研究しているゼブ・ホーガン氏は語る。 

 「世界中で、巨大淡水魚の大半の種が近い将来に絶滅する恐れがある。 この地のシロチョウザメは、中国の揚子江にすむハシナガチョウザメや、絶滅寸前に陥っているメコン川のメコンオオナマズに迫る過酷な運命を避けることができたようだ」。  

 しかし、ホーガン氏は、「カナダで成功した保護プログラムの協力体制を、世界のほかの場所で求めることは難しいだろう。 例えば、(東南アジアの)メコン川は6つの国にまたがっており、それぞれの政府、6000万人の漁業関係者、科学者、旅行者が別々のグループを形成している」とも指摘している。

 

最も健全な生息地 

 カナダのシロチョウザメ保護運動は、下半身不随のアスリート、リック・ハンセン氏の構想によって生まれた。 ハンセン氏はカナダの国民的ヒーローで、1980年代に車イスで世界中を周る「マン・イン・モーション」と名付けたツアーを行い有名になった人物である。 

 「チョウザメに何が起こっているのか知られていなかった」とハンセン氏は話す。 ハンセン氏は1997年にフレーザー川チョウザメ保護協会を設立した。 「私たちが目指したのは、人々にボランティアとして川に浸かりながらタグ付けした魚を放流するまでを経験してもらうことだった。 また、そのボランティア活動の成果が一流の科学研究につながるように努めた」。 

 また、保護の取り組みの中で、自らを「ファーストネーション」と呼ぶカナダの先住民族がチョウザメの捕獲をやめるよう呼びかけた。 その活動が功を奏し、スポーツフィッシングに対しては厳格な“キャッチアンドリリース”の規制が課せられた。 政府主導の調査プログラムでもボランティアによるタグ付け作業が促進され、およそ3万5000匹のチョウザメにタグが付けられた。 ただし、チョウザメの死因は現在でも不明のままである。

 フレーザー川は全長約1400キロ、その流れをダムでさえぎられることなくブリティッシュ・コロンビア州を下りバンクーバー付近で太平洋に流れ込む。 今日、フレーザー川の下流域は、野性のシロチョウザメが生息する世界で唯一の場所となっている。 

 チョウザメは回遊性が非常に高く、ライフサイクル全体を通じて自由に移動し放卵する。 フレーザー川流域は、シロチョウザメに残された最後の聖域なのだ。 

 バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア州環境省に勤務する水産生物学者、スティーブ・マカダム氏は、「ここはブリティッシュ・コロンビア州の中で最も健全な生息地だ。 ただし、都市化や生息環境の悪化による影響は現在でも大きい」と話す。 同州ではコロンビア川、ネチャコ川、クートネー川にもシロチョウザメが生息しているが、同じような幸運には恵まれず、2006年にカナダの絶滅危惧種リストに追加された。 

壮観なジャンプ 

 レクリエーション目的の遊漁者も、ボランティアの一員として最も熱心に保護活動を行うようになった。商業漁業の禁止に伴い、フレーザー川ではチョウザメのスポーツフィッシングが盛んになった。 

 2億年前の先史時代から存在するチョウザメは、地球上に生息する最大級の魚類であり、釣り針にかかったときには水面から壮観なジャンプを披露することで知られている。 

 また未確認情報だが、全長6メートル、体重680キロ以上のシロチョウザメも存在するという。ただし、フレーザー川ではそこまで巨大なチョウザメはこの数十年間捕獲されていない。 

 2008年の夏、雨が降る日曜日の朝、前出のホーガン氏は、熟練したチョウザメ漁師のフレッド・ヘルマー氏の船でフレーザー川を猛スピードで下っていった。 ヘルマー氏はスポーツフィッシングのガイドも務めている。 近年急成長しているスポーツフィッシング産業にはヘルマー氏のようなガイドが200人以上携わっており、産業規模は2000万ドルに達すると推定されている。 

 「スポーツフィッシングはすべての釣果でキャッチアンドリリースが求められるが、いまが一番良い状況だろう」とヘルマー氏は話す。 

 川底で暮らすチョウザメは触鬚(しょくしゅ)と呼ばれるヒゲのような器官を4本持っており、それでエサを検知する。 エサはサケがほとんどである。 歯はなく、掃除機のように口でエサを吸い込む。漁師はチョウザメを捕まえるとき、サケの卵をパンティーストッキングに詰め込んで塊にしたものか、現地で「フーリガン」と呼ばれるキュウリウオの一種をエサにする。 

 さて、ホーガン氏とヘルマー氏が急いだ先にはスポーツフィッシング愛好家のスチュー・ラブ氏が待っていた。 ラブ氏はブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー郊外にあるミッション市からフレーザー川の下流に出たところで、大きなチョウザメを釣り上げていた。 計測したところ、全長は2.7メートル、体重はおよそ136キロあった。 

 リールで引き寄せるのに2時間かかり、その間水面から魚体が完全に躍り出るようなジャンプを2度みせたという。 「釣りざおの先にこれほど大きな魚がいるのがわかったときは、かなりおびえた」とラブ氏は話す。 

 ヘルマー氏は、以前にタグが付けられていないかどうか、おとなしくなったメスのチョウザメを丹念に調べた。「タグはなく、初めて捕獲されたものだった」。 ヘルマー氏は確認した後、小さなタグをチョウザメの頭蓋骨板の後ろに差し込んだ。そして、巨大な釣果の写真を数枚撮影し、フレーザー川のにごった水面に再びリリースした。 

 捕魚車 

 フレーザー川チョウザメ保護協会は、フレーザー川流域に住む先住民族と密接な協力関係を築いている。この地の先住民族は歴史的にも文化的にもチョウザメと深いつながりを持っている。 

 保護協会でファーストネーションとのコーディネーターを務めるラルフ・ロバーツ氏は、「シロチョウザメはファーストネーションの人々にとって神のような存在だ。 チョウザメを保護しなければならないという主張を断固として譲らない。 法的にはチョウザメの捕獲は認められているが、彼らは自主的に捕獲を一時停止しており、それを忠実に守っている」と話す。 

 しかし、毎年数千匹のシロチョウザメがファーストネーションの仕掛けた刺し網によって捕らえられ、多くの場合死んでしまう。 この刺し網は上流に遡上するサケを途中で捕らえようとするものだが、チョウザメがそれに巻き込まれてしまうのだ。 

 現在、水産管理専門家の指導の下、刺し網から別の漁法への移行が始まっている。 例えば、「インディアン水車」とも呼ばれる捕魚車の利用が進められている。これは水車の羽根部分にカゴを並べて備え付けたもので、川底近くまで届いて魚をすくい上げる仕組みになっている。 

 保護協会所属の水産生物学者カール・イングリッシュ氏は、「チョウザメが網に巻き込まれる問題に関しては、捕魚車を用いることが一番容易な解決法だろう。 豊富に生息する魚はそのまま捕獲し、希少な魚は逃がすことができる」と話す。

 

 

 

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