◆ 乃木希典が明治天皇に殉じて、奥さんを道連れにセカンドインパクトを起こす(1912年)。 ◆ 千里の山から流れていた三波春夫の歌声がこの日を限りに千秋楽となる(1970年=大阪万博が閉幕)。 ◆ 毛沢東同志に取って代わろうとしたNo.2反革命分子の林彪が、家族・側近らとソ連に逃げようとするも途中ゴビ砂漠で墜落死、力尽きる(1971年)。
◎ ◎ 創刊120年以上の“ナショジオ”が綴る【 そうだったのか! 】 =第1回= ◎ ◎
1901-1920期 « 明治の日本(1/2) »
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・・・2015.05.01 / 文=Brian Clark Howard/訳=堀込泰三・・・・
1905年というと、みなさんは何を思い浮かべますか?
そう、アインシュタインが特殊相対性理論を発表した記念すべき年ですね。 なんてハナシは、すみません、まったく関係ありません。まあ、日本で初めてデパートで福引き大売出しが行われた、というよりは全然マシだとは思いますが。
夏目漱石が月刊誌『ホトトギス』で『吾輩は猫である』の連載を始めたこと? それなら少しは関係あるかも。どうだろう……。
サンクトペテルブルクで軍隊が民衆に発砲して皇帝がすっかり信頼を失った「血の日曜日事件」? を思い出す人は少数派でしょうけれど、これは重要です。 1905年、明治38年といえば、日本がロシアを屈服させて、日露戦争が終わった年でした。 これは世界的にみても大ニュースでした。
そのせいでしょうか。日露戦争の前後で『ナショナル ジオグラフィック』に日本の記事がたくさん掲載されています。 列強の仲間入りをしつつあった米国で、グロブナーが協会のために必死になって奮闘していた一方で、今回は少し目先を変えて、『ナショナル ジオグラフィック』に掲載された当時の日本関連の記事をざっとながめてみましょう。
『ナショナル ジオグラフィック』にはじめて日本に関する記事が掲載されたのは1894年。日清戦争に突入した年でした。著者は、戦争へ突き進む日本の立場を諸外国に説明するために、日本政府が米国から招いた「お雇い外国人」のひとりです。
次は第2章第4回で紹介した「明治三陸津波」のレポート=後述=です。 以降は1901年までに計4本の記事が掲載されました。そのひとつは1898年10月にグラハム・ベルが日本を訪問したときの手記です。
「日本の過去25年間の目覚しい発展ぶりをみると……将来さらに成長を遂げる可能性が高い」とベルは結んでいます。 1901年までは8年間で計6本でした。 対して、1904~05年では2年間で計7本もの記事が掲載されます。 1902~03年は何もありませんでしたから、やはり日露戦争で相当注目されていたのでしょう。
記事の内容は、和紙や漁業など日本の産業に関するものから、一等書記官だった日置益(ひおき えき)が書いた「日英同盟の目的」までさまざまでした。
なかでも、ハーバード大学を卒業し、セオドア・ルーズベルト大統領とも知り合いだった金子堅太郎の「日本人の特性(The Characteristics of the Japanese People)」という講演録は別格だったようです。 1905年3月号の巻頭に掲載されました。 厳密にいえば、本人が書いたものではありませんが、これは日本人初の寄稿です。
1906~12年は6年間で9本。 日本と外国との関係を扱ったものと、純粋に日本についての記事とがほぼ半々です。 ただ、数こそ減りますが、内容は高野山(“KOYASAN”という単語をはじめて見たとき誰のことかと思いました!)、 日光、捕鯨漁法、そして、日本流シンプルライフという具合に、より具体的なテーマを深く掘り下げた記事になっていきます。
これらの記事のなかから、興味深いくだりをいくつか引用してみましょう。 まずは1904年5月号「日本から学ぶこと(Lessons from Japan)」から。1903年に日本を訪れたアメリカの農業視察団によるレポートです。 「日本の家屋は紙と木でできているといわれる。 確かにその通りで、部屋の仕切りには木の枠に紙を貼った障子が使われている。
これに使われるのは薄い和紙で、光は通すが熱は遮断するという紙のもつ素晴らしい性質を利用したものだ」 「油紙にも注目させられた。 軽くて丈夫で、しかも安いというその特性を改めて見直したものである。 われわれが使っているタールを塗ったシートと同じくらい柔らかだし、女性用の薄手のレインコートより軽い……
日本の人力車の車夫たちは、雨の日はみんなこの油紙でできたレインコートを着て仕事をしている……
普通に使えば1年以上はもつと言う」 エコが求められるいまこそ油紙を使ったほうがいいかもしれません。 続いて1905年5月号「日本の漁業(The Fisheries of Japan)」。 「漁業に従事している日本人の数はおよそ300万人。 これは米国の21万5000人をはるかに上回る。
日本の漁業従事者は全人口の約16分の1で、米国の場合は500分の1だ。 水産業全体の売上高は年間約3000万ドルに達し、米国や英国のほぼ倍に当たる」 ちなみに、農林水産省の統計によれば、平成22年の日本の漁業従事者数は20万3000人でした。 「欧米人にとっては奇妙としか思えない海産物もある。東京の下町の店先で見つけたフグを干して作ったちょうちんもその一つ」 「日本の水産物養殖産業は年々盛んになるばかりだ。養殖するのはウナギ、コイ、金魚、サケ、マスなど様々」
明日 “ 901-1920期 « 明治の日本(2/2) »“ に続く・・・・・
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