☆ カスティーリャの女王イサベル1世とアラゴンの王太子フェルナンドが、自らの国を持参金代わりに結婚(1469年)。かくてスペイン王国が成立。 ☆ 盛況だった株価が一遍に大暴落し、ウォール街全体が憂鬱になった暗黒の月曜日(1987年=ブラックマンデー)。 ☆ 西武ライオンズが、ロッテオリオンズの協力によって近鉄バファローズを下してリーグ優勝(1988年)。
◎ ◎ 創刊120年以上の“ナショジオ”が綴る【 そうだったのか! 】 =第 14 回= ◎ ◎
1921-1956期 追考 « ナショジオが見た戦前の日本 » 1/2
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2012年7月11日 / (Web編集部)
このところ第二次世界大戦中の話をしてきましたが、少し時間を巻き戻して、今回から2回にわたり、戦争が始まる前の日本の記事を紹介します。ホントは19回でやるべきだったのに、中の人がうっかりしてました。どうもすみません。
前に大正時代について書いたため、ここでは昭和に入ってから第二次世界大戦が始まるまでをとりあげます。しかも、1924年に関東大震災と桜島噴火のレポートが掲載されて以降、1930年まで日本がメインの記事はなかったので、すべて1930年代の記事になります。 前にも書いたように、1930年代は世界恐慌に始まり、第二次世界大戦とともに終わる散々な10年間でした。それは日本も同じことでした。
年号は昭和5年から昭和14年。まず世界恐慌のあおりを受けて戦前ではもっとも深刻な不況だった昭和恐慌があり、そして満州事変。国際連盟の脱退、日中全面戦争、太平洋戦争……。ざっと見渡せば、暗雲は厚くなるばかり。
その一方で、1930年代はナショジオが精力的に世界の各地へ飛び出した黄金時代でもありました。元大統領から貧乏旅行を楽しむ若者まで、日本にも多くの筆者が訪れて、さまざまなレポートを掲載しています。そんな記事のなかから年代順にばらばらとピックアップしてみましょう。
1930年5月号では、元大統領のウィリアム・ハワード・タフトが「15万マイルの旅の断章(Some Impressions of 150,000 Miles of Travel)」と題し、1900年から5度も訪れた日本の印象を振り返りました。基本的には回想ですが、将来の日米関係について書いた部分が印象的です。
「日本は私たちが考える以上に大衆政治の国である。日本の政治家が米国との戦争を望んでいるとは考えられない。それは彼らにとって最後の手段だろう。 経済的には決して豊かとはいえない日本は、対米貿易を重視せざるをえない。日本は貿易戦争を戦いはしても、米国の領土に野心を抱くようなことはないだろう。
米日戦争、あるいは日本軍のカリフォルニアへの侵攻の可能性を口にする人がいるが、軍隊を太平洋を越えて送り込むというのは空想でしかなく、現実的ではない」 “日本が私たちが考える以上に大衆政治の国である”なんて、戦前から日本はそうだったのか! などと中の人は思ってしまうのですが、みなさんはどう思われますか?
また、当時の米国に、日本がカリフォルニアに侵攻すると考えていた人がいたんですね。カリフォルニアという場所についてもそうですが、真珠湾攻撃の10年以上前からそういう危惧があったことにもオドロキました。
1932年2月号では、駐日大使を務めた米国国務次官のウィリアム・R・キャッスルが、関東大震災から復興した東京の様子をレポートしています。タイトルは「東京なう(Tokyo Today)」。
「10年前の東京は、狭く曲がりくねった道と茅葺屋根の平屋が立ち並ぶ古びた町だったが……新しい東京は、旅行者が魅力を感じる街ではない。通りは幅広く真っ直ぐで、かつての姿は跡形もない。広い道が火の手の広がりを防ぐことを過去の苦い経験から学び、新しい衛生学から公衆衛生には光と風が必要なことを知ったからだ」
「人々の生活はどうだろう。豊かな人々の家は新しい洋風建築だが、必ず和室がある。畳敷きの和室には、ごたごたと並べられた家具も絵画もない」
「東京の自転車乗りは、欧米のサーカス団よりも巧みに自転車を操る。ソバ屋の出前は、人ごみを縫うように走り、しかもスープいっぱいの丼を載せた盆を3段に重ねて走る。こんな光景を東京ではよく見かける」
「大銀行の建物は立派だ。行員はすべて日本人。“日本人は信用できないから、金銭を扱うのは中国人に限る”と、米国ではよく言われるが、そんな話は取るに足らない。民族に対するはなはだしい侮辱だ」
「東京にはパリのカフェを模した珈琲店がいくつもあり、いつでも“モボ”や“モガ”で込み合っている。モボはモダンボーイ、モガはモダンガール。日本人は略語好きだ。洋服に身を包み、開放的な欧風の習慣を取り入れようとするモガやモボは、東京の最も現代的な一面だ」
洋風建築には必ず和室。そして、スマホにラノベにAKB……「日本人は略語好きだ」には思わずニヤリとしてしまいました。変わらないんですね、やっぱり。あっ、「ナショジオ」も! などなど、日本が西洋のものをたくみに吸収していることを例に挙げ、最後は日本が新境地を開いたことを指摘して締めくくっています。
「英国の作家キプリングは、西と東がまみえることはないと言ったが、それは誤りだ。東京では両者が出合い、その理想が融合し、新たな文化が発展したのだから」
・・・・・・・・明日に続く・・・・・
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