大林監督の事務所でもある映画製作会社PSCへ行ってきました。
アノ映画もコノ映画も始まりはココ、ここから送り出されたわけです。
プロデューサー兼社長さんでもある恭子夫人直々の応対に恐縮しつつ、スタッフルームにて待たせていただきました。
パネル張りされた、赤と緑のコントラストの印象的な「HOUSE ハウス」の3シートポスターが出迎えてくれます。
うわ~!…またまたいろんなことを思い出しちゃいました。
高校時分は観たい旧作があると隣町の品揃えの豊富なビデオレンタル店まで自転車で借りに行ってました。
田んぼの中の一本道。純朴な、ニキビづらの、お金のない高校生、走るの巻。もとい、漕ぐの巻。
当時は一週間レンタルなんてなかったから休日にごっそり借りてきては寝ずに見続け、翌日また自転車で返しに行く、そんな感じでした。
「HOUSE」は、“A MOVIE”から始まる大林映画の第1作目。ならばと借りてきたのが高1の時。
大林映画って特に感情移入しやすくて記憶が実生活とゴチャ混ぜになっちゃってます。
当時好きだった子が大場久美子似だったり。絶対違うんだけど…このビデオ借りてきた日に何かあったか?
記憶が混濁するほど境い目なくどっぷり浸かっていた大林映画です。
“A MOVIE”でスイッチが入って瞬間、気分は「尾美くん」です。
僕らは(転校生の)カズオであり(時かけの)ゴロちゃんであり(さびしんぼうの)ヒロキです。
傍らには瀬戸内の海、路地と坂道。嗚呼、我が古里、尾道!(…気分)
…大林監督、ベランダから登場。
あっ!ど、どぼじで…どうもだすぅさっ作ぃ品ん仕上がりぃましたのぢぇ、お持ちしました~ぅ
と、大人の挨拶ができません。我ながら情けないかぎりです。
でもそれは今に始まったことじゃなし、仕方ない。ゴソゴソと作品を引っぱり出します。
思いの丈は、この一枚が語ってくれる。
…喜んでいただけたと思いますけど、どうだったかな。
要らぬことをたくさん話しちゃった気もします。
映画同様、とっても優しい眼差しのお二人。
帰り際、尾道の食べ物をたくさん頂きました。何しに行ったかってぐらいに。
「せっかく尾道を描いてくれたんだから」って恭子さんが持たせてくれて。ホロホロホロ…
ありがとうございますぅ…
(了)
追記)2014-1-11 「美術手帖 2013年5月号」より
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