私と彼の秘密 今思うこと

彼とのLINEは、いつか消した方がいい。
それは、残された人のために…



最後の夜

2023-04-18 08:44:00 | 日記

彼のトークルームを開いてみた。

さかのぼると、

私のメッセージばかりが連なって、

既読がついてるけど、

返信がない。

淋しい。

それでも、やっぱり、何度も何度も、

LINEを送りたくなる。

結果は、また同じだろうと思うから、思いとどまってきたけど、

今日は、彼への最後のお願いをLINEに込めた。




私をブロックして下さい。



やがて、

仕事に行く時間になって、

そのままスマホをカバンにしまった。



次に、スマホを開けるのが怖くて仕方なかった。

仕事の間に、彼がそれを読むのはわかっている。

もう、

これから先、私からは、LINEが送れなくなるのだから、

そう思ったら、後悔もする。

けど、

彼に嫌われるぐらいなら、その方がマシだと思った。





仕事が終わって、

犬の散歩に出た。

日は長くなったけど、まだこの時間は暗い。

明るくなる季節は、もうすぐ訪れる。

あの頃、ビデオ通話で、顔を見ながら話をしていたのは、この時間が明るかったから。

そんな季節が、もうすぐやって来るんだなあ。と思った。





私は、スマホを手に取って、恐々、LINEを開いた。


彼からの返信はちゃんと来ていた。


メッセージを読む。

犬は、お構いなしに、私を引っ張りながら、

いつものコースを歩いてくれていた。






LINEの画面の向こう側で、

彼は、私の申し出を、いつものように笑い、

そして、さりげなく寄り添い、

こうなったのは、自分に技量がないからだと、

私を戒めることなく、

無下に人を切り捨てる人間にはなりたくないからと、ブロックはしないと言った。

私たちは、普通の関係になるだけ。

優しくて、温かくて、彼の人柄が、
そのままだった。

暗がりの中、何度も何度も、読み返した。






普通の関係になろうとする彼に、私は追いつけるだろうか?

普通の関係を望む彼に、今後、用事なんてあるだろうか?

自分で考えて、行動するなんて、ちゃんとできるだろうか?

彼の言う通り、

悩む時間は、確かに無駄だ。

私だけでなく、あなたの時間も無駄にする。

だったら早く、立ち直らないと。

クヨクヨ悩むのは、望んでいない。




彼のエールがそこにはあった。

思えばいつも、そうだった。



私は、彼の思いを受け止めたことと、最後にありがとうの言葉を送った。


そしたらすぐに、スタンプ一つだけ、返ってきた。

彼もきっと、今、犬を連れて散歩しているんだと思った。

片手に、ビールの缶を持ちながら、

心地よい時間を過ごしているんだと感じた。





神様、私は、この人に出会えて良かったです。
感謝します。

夜空を見上げると、星がたくさん輝いていた。






私たちは、ちょうど一年前の今日、ここで出会ったんだ。


終わり。



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