私が家に帰るなり、
夫は、怒鳴った。
私は、なにも身に覚えがなくて、ポカンとすると、
私が、バリスタが入っていた箱の中身を捨てたと言う。
確かに、午前中、
庭を掃除して、段ボールの整理をしたけど、
バリスタの箱は、
中の詰め物も、一切出さずに物置になおした。
よく似たものといえば、メロンが入っていた箱の中身。
へこんだ形をしていて、それがクッションになっている。
私は、その部分を取り出して、燃えるゴミの袋に入れた。
夫は、きっと、それと勘違いをしているのだ。
弾丸のように、暴言攻めされて、その途切れた合間に、必死に説明をした。
怖くて、声が出ない。
震える。
そして夫は、納得してくれたけど、謝ることはなかった。
私は、トイレに入って、心臓がバクバク鳴っているのを落ち着かせようとした。
それも束の間、
夫に呼ばれた。
返事した声は、とてもか細かった。
朝、彼と話したことを思い出した。
この時期の草は、刈っても刈ってもキリがない。だから大変。
草も発情期だね。
必死に種をつけて、子孫を残そうとしている。
きみも、草になっちゃえ。
そしたら、俺が刈ってやる。
彼のその言葉を聞いた時、
何だか知らないけど、
私は、彼に刈られたくなった。
それは、彼に身を委ねることだと、解釈すると、とても心地よかった。
草は、刈った後、放置するのが1番いけないんだよ。
確かに、
彼ならきっと、その後も、綺麗に掃除して終わらせるだろう。
決して、ほったらかしにはしない。
私は、雑草になりたい。
暴言を吐かれるより、踏まれる方がマシ。
そして、何度も何度も、
枯れるまで、彼に刈られたいと思った。
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