The Blueswalk の Blues&Jazz的日々

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Bluenote  ~Jackie McLean

2012-02-25 13:21:13 | 変態ベース

Bluenote         Jackie McLean

                     By 変態ベース
 アルトサックスは、よほどコントロールの難しい楽器と見えて、音程の悪い人が記憶に残っている。実際はアルトだけでなく、テナーや他の楽器にも音程のひどい人はいると思うがそんなに気にならない。アルトサックスはピッチのくるいがばれやすいという事なのだろう。チャーリー パーカー、 オーネット コールマン、 キャノンボール アダレイ、 リー コニッツ、 ナベサダ。そうそうたるメンバーが総倒れ。その中でも、ディフェンディング チャンピオンとでも言うべき存在が、我らがジャッキー マクリーンなのだ。あのズレ方が気持ち悪くて、どうにもこうにもマクリーンだけは好きになれないという方もおられるかも。しかし彼の粘り気のある音色とグル―ヴィーな節まわしは、それをおぎなってあまりある。そんなマクリーンにはまる人も多いのだ。
 さて、パーカー亡き後は、常にトップアルトのひとりとして、ジャズ界に君臨してきたマクリーンだが、はじめて脚光を浴びたのは50年代の初頭、マイルスのグループに抜擢されてからだ。それ以降はプレスティッジにレコーディングを行ったが、マクリーン初期のねちっこい演奏が聴かれるのはこの頃だ。ブルーノートに初めてお目見えしたのは、有名な『Cool Struttin’』(58年1月5日)のセッションだ。マル ウォルドロンの『Left Alone』もこの少し後だ(59年2月24日)。彼の人気を決定付けた録音だ。それ以降60年代を通し、ブルーノートの看板ジャズマンのひとりとして、自己のリーダー作は勿論のこと、ドナルド バード、フレディー レッド、 リー モーガン、 ジミー スミスなどのセッションにも頻繁に客演したのだ。


 最初にブルーノートに対してリーダーセッションを持ったのは、59年1月。その日の録音は『Jackie’s Bag』に収められた。マクリーンのリーダー作の中で私が最も頻繁に聴くアルバムだ。茶色い紙製の書類入れに見立てたジャケットが意表を突く。私はCDを持っているが、LPの方が実感があっていいだろう。前半は盟友ドナルド バードの入ったクインテット、後半はブルー ミッチェル、 ティナ ブルックス等を含む6tet(60年9月)。ハードバップ期の代表的な演奏のひとつである。マクリーンも絶好調を保っているし、各メンバーのソロも熱い。この時期のブルーノート盤は聴き逃せないものが多いのだが、このアルバムもハードバップファンは是非ともコレクションに加えるべきだ。マクリーンのコンポジション(作曲)には独特のあく強さがある。そのメロディラインを聴き慣れるまでは、少し時間が必要かもしれない。Appointment in Ghanaなどはその典型で、如何にもマクリーンらしい奇怪かつ魅力あふれるナンバーだ。


 59~61年の期間はマクリーンにとって最も充実した時期だ。7枚のリーダーアルバムを立て続けに録音したのだから想像がつくだろう。その全てがハードバップ期を代表する良質な作品なのだが、なかんずく『Swing Swang Swingin'』はひときわ人気が高い。ブルーノートには珍しくワンホーンカルテット、それもスタンダード集となったから人目を引く。ウォルター ビショップトリオの強力な後押しもあって、タイトル通りのスインギーでストレートな演奏を満喫できる。大変ノリがよく、聴きやすい演奏だ。かつてはジャズ喫茶の定番であったようだ。マクリーンが苦手な人は、これから入ると良いと思うが、これが駄目ならマクリーンとは縁がなかったということだ。

 さて好調をキープしてきたマクリーンも60年代中頃に差し掛かると、雲行きがあやしくなる。アート ペッパーもそうだったが、時代の波をモロにかぶり、本来の立ち位置を見失ってしまったのでは。同じベテランでもソニー スティットのように全くペースを崩さない人もいる。マクリーンなんかは不器用なくせに、ひといちばい前進願望が強い。そんな人間の方が周囲の影響を受けやすい。その兆候が見え始めたのは、62年の『Let Freedom Ring』あたりからだろう。Melody for Melonaeは、如何にもマクリーンらしいおどろおどろしい不思議なテーマだ。ソロの途中から突然リードを噛んだようなキィーキィー音が出るところは、「もう、昨日までの僕ではないんだ」的宣言をしたような感じだ。そういえば晩年のペッパーも突然演奏の脈絡に関係なくキィーキィー音を発したりしたものだ。嗚呼マクリーン、アンタもかよと嘆かれる諸兄も気を確かに、もう少し忍耐をもってお聴き頂きたい。まだまだこのアルバムなんかは序の口。ちゃんとまともに吹いているし、よく聴けば中々の名演奏なのだ。


 63年4月30日の『One Step Beyond』もモードに取り組んだ意欲的な作品。グレシャン モンカーⅢ(tb)、ボビー ハッチャーソン(vib)の加入。サウンド的にもこの辺りになるとぼちぼち往年のマクリーンファンには限界、拒絶反応をしめし始める。でもこのアルバムもなかなかどうして興味深い。ドラマーのトニー ウィリアムスは、マクリーンが地方巡業で見つけてきた逸材。彼をニューヨークに引っ張って来たのもマクリーン。この録音はそのウィリアムスが叩いている。17歳の天才の出現に、周囲は唖然としたに違いない。マイルスのクインテットに引き抜かれたのもこの前後の話だ。マイルスの人さらい術も素早いが、さっさと持って行かれたマクリーンもトロイ。おかげでマイルスは幾多の名演を発表できたのだから、ジャズ界全体を俯瞰すればそれだけでもマクリーンは役割を果たしたことになるのかな?さてウィリアムスの入った『One Step Beyond』はやはり演奏の切れが違う。実はこの直前(4月1日)、ケニー ドーハムの『Una Mas』にもウィリアムスは参加している。17歳の若造だが存在感が半端ではない。いつもは野暮ったい感じのするドーハムの作品が、なんと引き締まって聴こえることか。本当に末おそろしいガキだったんだな、アンソニーは。ちなみに、Satuaday and Sundayもどこか変な曲。内容はまともだが。
 この後の数作も、新主流派~モード派的な作品が数作続く。出来具合が多少でこぼこはあるが、とても聴けないなんて難物はない。但し、ご注意と言うか、アブナイというか、普通ではないのが、『New and Old Gospel』(67年3月)。何故かこのアルバム、トランペッターとしてオーネット コールマンが加わっている。全くもって意味不明。はっきり言ってコールマンのトランペットなんて下手の見本のようなもの。無茶苦茶鳴らしているだけで聴く価値なし。どうせならツインアルトにでもすれば、もっと興味もわいただろうに。演奏はそんなにしっちゃかめっちゃかではない。意図が見えない。
もうひとつついでに『Bout Soul』(67年9月)も中途半端な印象。ソウルジャズとフリージャズを混合ミックスしたようなアルバムだ。アルバート アイラーの作風にどこか似ているが、マクリーン先生、申し訳ないが全く板についてない。新しいものに手を出すのもそこそこにしたほうが賢明だった。
 この後マクリーンはブルーノートとの契約を終了し渡欧した。デンマークに拠点を据え、72年にスティープル チェイス レーベルから復帰を果たした。ハードバップのリヴァイバルブームに乗って、晩年の諸作はかつてのマクリーン節が堪能できる。ちょうど彼の復帰作『Live at Montmartre』がジャズ喫茶で鳴り響き始めた頃、私も恐る恐るジャズへの扉を押し開けたのだ。何とも懐かしい、マクリーンのアルト。それまで彼も幾つもの扉をくぐり抜けてきたのだ。


この春 2012

2012-02-16 23:28:12 | 変態ベース

この春 2012 
                           By 変態 ベース
 いやあ楽しかったな、近年まれに見る愉快な例会だった。おいしい料理と高級な御酒。MOさんと奥さま御嬢さんには、準備や後片付けにお手間をとらせましたが、お陰さまで初めて訪ねるお宅とは思えないくらいリラックスして、ワイワイガヤガヤ。時のたつのも忘れ、また近所迷惑も顧みず、遊ばせて貰いました。本当に有難うございました。
 それにしても大変なオーディオセットだった。噂には聞いていたが、実際にこの目で見て納得。JBL、アルテック、マッキントッシュにプレイヤーはどこのだったか忘れたが、高級セットが3組も勢ぞろい。それとかわいらしいCDのミニコンポも。MTさんのおうちを訪ねた時もあのシステムに度肝を抜かれたけれど、ある処にはあるものだ。道楽と言えばそれまでだが、あそこまで散財してしまうきっぷの良さは真似できない。
 でもやっぱりJBLは良いなあ。私の座っていた後、床の間の置き物代わりになっていた4311。正面の4343(でよかったかな?)に比べると、まるでおもちゃのように見えるが実力は充分。音があでやかで躍動感がある。ジャズにはやはりJBLが似合っている。6帖の和室で聴かせて頂いて、今更ながら認識を新たにした。私もあと数年たって60歳になったら真剣に考えてみようかな。でももったいないし。いらなくなったらあの小さい方、安価で譲ってください。(ミニコンポじゃないですよ)

 2月の例会は放出のディアロードだ。オープンして3カ月余り。今のところは順調に客足も伸びているようだ。されどしょせんがジャズ喫茶、ウハウハ儲かるほど世の中あまくはないぞ。今までのジャズ喫茶と云えば、マスターはたいていオヤジだった。苦虫を噛み潰したような面で、平気で客にがん飛ばすけしからんオヤジでも、経営が成り立ったからジャズ喫茶ってのは不思議な商売だ。いやむしろ寺島某のように威張り散らしている方が、客がヘコヘコ集まってくるのだから意味が分からない。でもそんな店、これからは流行らないだろう。
 そこへいくとディアロードは本当に気が安らぐ。オーナーが女性でこれがまたにこやかで、話がお好きで、こちらも気持ち良く過ごせる。すごーく得した気分になる。リピーターも自然に増えるというものだ。これがオーナーの旦那であるSK君がカウンターに入っていて、むっつり顔でアルバート アイラーでも掛けやがったひには、二度と来るかこんな店という具合になるのだ。これからもお客さんが集まるよう、精進して頂きたい。

 さて2月のテーマは「ヴァレンタイン」だ。中々好いテーマだなと思ったが、いざ考えてみると何も浮かばない。これでMy Funny Valentineを禁止したら、何を持っていけばよいのかみんな困るだろうなあ。ウィキペディアでヴァレンタインを調べていると、ステイシー・ヴァレンタインというポルノ女優のページにたどりついた。見るも汚らわしい画像がいっぱい出てきて大変嬉しかったのだが、後からヘンな請求書がこないだろうか。少し心配だ。
 ヴァレンタインデイについて調べてみると、各国それぞれ風習が違う。3月14日ホワイトデイ、つまり男性から女性にお返しをするのは日本だけの習わしだがこれはご存知だろう。4月14日はオレンジデイと言う。恋人どうしがお互いにオレンジを送り愛情を確かめる。そんなの聞いたこともない。おおよそ全米サンキストオレンジ販売促進協会の策謀だろう。お隣韓国では4月14日をブラックデイと言う。恋人のできなかった男女が黒い装束で集まりジャージャー麺をすする?マジですか。さて皆様、何かの参考になりましたかな。


1月度例会報告

2012-02-14 21:36:01 | KJS_Report

1月度例会報告
                         By The Blueswalk

【テーマ】ハイエンド・オーディオで楽しもう!!


 今月は正月早々、MOさん宅でのアナログ大会となりました。MOさん初め、奥様、お嬢様、場所のご提供と美味しいご馳走の数々、ありがとうございました。遅まきながらこの場を借りてお礼申し上げます。

 参加された皆さんには、例会の出し物よりもMOさんご自慢のオーディオに興味があると思われますので、もう一度ご紹介したいと思います。オーディオは3セットございました。まずは、オーディオファンならずとも垂涎の的となったヴィンテージ・コレクターズ・アイテムで、まあ、大半の会員の方々には無縁の逸物であろう【セット1】のど迫力には参りました。

  

【セット1】写真上(このスピーカーをオーディオショップに4-5年も引き取らずに置きっぱなしにしていたなんて、もったいない)
パワーアンプ:マッキントッシュ275(真空管)
プリアンプ:マッキントッシュC22
ターンテーブル:ガラード401
カートリッジ:オルトフォン
スピーカー:JBL4343


【セット2】写真上(LPがCDのように小さく見えます)
プリメインアンプ:ラックスマンL505u
      ターンテーブル:ソニーT5000
      スピーカー:アルテック 型番不明

【セット3】写真なし(これがKJS会員の水準でしょう)
プリメインアンプ:サンスイ
      ターンテーブル:デンオン
      スピーカー:JBL4311


Real Jazz Café

2012-02-11 17:07:17 | KJS_Report

Real Jazz Café 
                                      The Blueswalk
 変態ベースさんのお知り合いが放出駅前にJazz喫茶『ディアロード』を開店され、2月の例会に利用させていただくことになったのはお知らせの通りです。私も3回ほど行きました。その折、本会の入会案内のハガキを置かせていただいておりました。また本会代表の塚本さんの紹介で、ママさんがWAY OUT WESTへ店の広告を載せられました。こういうお話が昨年末本会の話題として一つありました。
 話は変わって、私が住む大阪市・淀川区の地下鉄・御堂筋線・東三国駅近くに、昨年7月30日、Jazz喫茶『Real Jazz Café』がオープンし、地元の情報誌【淀川散歩】に大きく紹介されました。私もその記事を読んで、自転車で5分くらいの近くなので一度寄らせていただこうと思っていたのですが、昨年中はそれが実現できずにいました。普通なら2つの話はそこで終わってしまうのですが、この話が繋がって、今回紹介の記事になったという訳です。
 事の経緯は、今年になって『Real Jazz Café』のマスターの影山さんがWAY OUT WESTの広告を見て、1月5日に『ディアロード』を訪問されました。そこで、私が置いた本会の入会案内のハガキを見て、住所が近くということもあり私へメールとハガキでの挨拶を下さり、私が『Real Jazz Café』を訪れたという事であります。世間は広くて狭いのですね。


 『Real Jazz Café』は東三国駅・北出口から2~3分の所、近くを新御堂筋が走っていますが、至って閑静な住宅街にあります。『HOT JAZZ PLAZA』という外装はレンガ造り3階建ての建物で、1階が『PINKEY DISCORD』という貸しスタジオ、2階がJAZZ喫茶『Real Jazz Café』となっています。どちらも影山さんが経営されておられます。1階では今日もドラムの先生をされているという方が練習をされていました。影山さんは私より数歳若い世代、変態ベースさんと同年代で、昨年まで教職をされていたという経歴の持ち主です。

陰山さんは“サッチモおたく”だということで、アメリカから買ってきたサッチモのフィギュアがカウンターに2体(左写真の左の大きめなやつと、右下のラッパのアサガオの先)とコルネットがそれを表わしています。店内は窓から日が差し込む明るい感じで、そう広くない店内に所狭しと影山さんのコレクションであるレコード、CD、蔵書が置かれてあります。KJSの皆さん、楽器を練習する場として利用するもよし、好きなジャズを心行くまで楽しむもよし、是非ご利用ください。例会の場としても『ディアロード』ともども検討させて頂きたいと思います。


 以下、陰山さんの案内のコメントをいただきました。


∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞ Real Jazz Café ∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞§∞
~大人の隠れ家的空間~
去年の7月30日にオープンしました。 リアルジャズ(ディキシーからモダンまで)を大音量で聴かせます。 また、LPレコードもかけています。 店内には、ジャズ関係の書籍&DVDなどいろいろ置いています。 店内、無線LANでインターネット繋がります。 各テーブルの側にコンセントが有りますので、携帯電話の充電も出来ます。 なお、夜のバータイム(7PM~)でも、コーヒー飲めますので、アルコールが苦手な方も遠慮なくご来店ください。 木曜日のみ完全休業日です。
皆様のご来店をお待ち申し上げます。