一枚の絵

　私の部屋には一枚の絵が飾ってある。写真の絵だ。私が机に座り目線を上げるところに飾ってある。私には絵の良さはわからない。ピカソの絵の見ても、ウチの小学５年生になる下の息子の絵を見ても、さほど大差は感じない。だから私は絵には興味がない。私の部屋にある絵はこの一枚だけだ。しかもこの絵は買った絵ではない。何年前になるのか覚えていないが、武田鉄矢さんのゴルフコンペで確か３位だかの賞品だったものだ。だから値段は知らない。見当も付かないが…。

　私の母の趣味は絵の収集だった。随分とお金もかけて○○万円の絵とかを何枚も購入していた。結構な数だった。学生時代に実家に帰ると、とにかくその絵の数々を褒め上げた。すると母は、「東京の部屋に飾りなさい」と言って何かしらの絵を一枚手渡してくれた。私はその絵を渋谷にある画商に売り捌いていた。結構なお金になった。生きている内に白状は出来なかった。もとより白状はしていなかったと思うが、今更ながら、「亡き母上様、私の親不孝をどうぞお許し下さい」

　その罰が今頃来たのか、今日８日は先週やった内視鏡検査の結果の出る日だ。ネガティブな私は、既に黒（胃ガン）と決めつけている。そうなるとどこまでも悲観的になる。机の上に飾ってあるこのゴルフ場の絵を見ながら、「今週はマスターズウイークか！？私の一番好きなテレビ番組だ。これを観られるのも今年で最後かな！？生きている内に一度は行きたかったオーガスタだけど、それも叶わぬ夢となってしまうのかな！？」と自問自答だ。あ～あ、病院に行くの…嫌だなぁ（涙）。