「人口と日本経済」
吉川洋著、中公新書、2016年8月
タイトルは「人口と日本経済」ですが、
世界の経済学・経済史に触れつつ、日本についても述べています。
人口と経済にまつわる統計データが随所に出てきて、
それらを眺めるだけでも参考になります。
第1章
世界の人口推移とマルサス、ケインズなどの経済学者が人口をどう捉えてきたか
日本の人口は明治から大正にかけて4~5000万人でしたが、
当時は過剰人口が問題になってきたそうです。
第2章
前半は少子高齢化の悪影響を主に財政面から見ています。
後半は経済成長、労働生産性、イノベーションについて。
先進国の経済成長は、人の数で決まるものではなく、
イノベーションによって引き起こされる、との主張を展開しています
第3章
戦前は平均寿命は延びなかったが戦後寿命が延びた事実をデータで示し、
理由として経済成長、医学の進歩、皆保険の3点を挙げています。
第4章
まとめの章で、ミルの「ゼロ成長論」など著者とは異なる理論にも触れつつ、
先の世代のことを考えると経済成長は必要で、
その源泉となるイノベーションについて述べて締めています。
ただ、これまでのイノベーションは具体的に書かれているのですが、
これからのイノベーションについてはそれほど具体的には書かれていません。
それが分かれば苦労しないですね。