「2025年を制覇する破壊的企業」
山本康正著、SB新書、2020年11月
著者が考える世界最先端11社を分析して2025年のトレンドを予測し、
企業・個人はどうしたらよいかを考える本。
11社は以下の通り。
01.グーグル
02.アマゾン
03.フェイスブック
04.アップル
05.ネットフリックス
06.マイクロソフト
07.テスラ
08.インポッシブル・フーズ
09.ロビンフッド
10.クラウドストライク
11.ショッピファイ
知らない会社があったり、知ってる会社でも「そこまでやっているのか」ということがあって参考になりました。
最近話題の投資アプリの会社、ロビンフッドも取り上げられています。
各社主要事業は異なりますが、共通するのは、
・業種の区分にとらわれない
・顧客の体験を重視する
・データを収集・活用する
点です。
大きな流れとしてはここ最近言われていることです。
5年後に破壊される業界は中間業者や高品質だけを売りにした製造業など。
多かれ少なかれほとんどの日本企業が当てはまってしまうのではないでしょうか。
5年後必須のスキルも以前から言われていることとさほど変わりません。
全体的に従来から言われていることをベースに、
著者が得た情報、経験から培った考え方を加えた印象です。
アメリカ企業を礼賛していますが、
著者はシリコンバレーを拠点として活動されているようなので、
ポジショントークの部分もある気がします。
世界を制覇するような企業にアメリカの企業が多いのは確かですが、
他国の企業が世界制覇しそうになると政治的圧力をかけるのもアメリカですよね。
最後にどういう人材になるべきかということで
「ストラクチュアル・ホール」という言葉を挙げています。
ただ著者自身「無理になる必要はない」と書いている通り、
あとは自分も含めた読者の仕事観、人生観によると思います。
上述の企業がある分野で収益源を持っていて、
それ以外の分野は顧客体験の向上やデータ収集と割り切って、
無料あるいは格安でビジネスを展開したら、
太刀打ちできる企業や個人はほとんどなさそうです。
サービスが無料あるいは格安で提供されるのは労働者としては脅威ですが、消費者としては嬉しいです。
アマゾン不動産なんて記述もありましたが、
もし個人データを提供する代わりに衣食住を無料または格安で提供してくれたら、
メリット・デメリットを比較したうえではありますが、
収入が少なくなってもその分支出も減らせればやっていけるので、乗ってしまうかも。
ただ、無料あるいは格安で提供されていたサービスが急に値上げされたら、
収入が少ない状態ではお手上げです。
特定の企業に依存するのはリスクが高いです。
など、色々なケースをシミュレーションしてしまいました。
本書の最大の驚きは「あとがき」で、
著者はご尊父を1985年の日航機墜落事故で亡くされたそうです。
このことを先に知っていたら本書の感じ方もまた変わったと思いますが、
著者が読者に先入観を持たれることを嫌って、
あとがきまで書かなかったのかもしれません。