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株式投資、映画鑑賞、野球観戦、読書
このブログは2025年11月18日に自動的に消滅する。

ほんとうの定年後

2022-12-26 21:10:00 | 読書
「ほんとうの定年後」
坂本貴志著、講談社現代新書、2022年8月





データとインタビューから定年後の仕事の実態を明らかにすることで、
漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか考える
きっかけを与えてくれる本。

3部構成で、第1部では、
・高齢になると収入も減るが支出も減る
・年金に加えて月10万円ほどの収入があれば家計は十分に回る
ことをデータを用いて示し、
「社会に一定の貢献をしながら、自身の幸せな生活と仕事を両立させていく方法を考えていく必要もあるだろう」
と述べています。

それなりに納得感があり、不安も和らぎます。

ただ、使用されているデータはコロナ禍前の2019年のものが中心で、コロナ禍で大きく変動したとのことです。

景気や年金支給年齢・額などは今後も変化するはずですので、
何が起こるか分からないという心の準備は必要と思います。


第2部では定年前後の仕事・家計・心境等の変化をインタビュー。

定年後の仕事として本書で挙げられている中では、施設の管理人が気になりました。

運転手をされている方もいらっしゃいましたが、
昨今の中高年の自動車事故や、煽り煽られのニュースを目にすると、
運転に自信がある方ではない自分にはリスクが大きく感じます。


第3部は労働市場全般について。

日本の消費者か安価で質の高いサービスを求め過ぎで、小さな仕事で働き続ける人に適正な対価を支払う覚悟が必要と述べています。

理想はそう思いますが適正な対価の線引きか難しいです。


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コメント力

2022-12-10 10:20:00 | 読書
「コメント力」
齋藤孝著、ちくま文庫、2007年6月





著名人や漫画などのコメントから、コメントを求められたときに、
一言、二言で端的に自分の感じたことや考えたことを表現する力を磨く本。

コメントを引用されている著名人は、
アーノルド・シュワルツェネッガー、古今亭志ん朝、寅さんら。
漫画は、エースをねらえ、天才バカボン、スヌーピーなど。

人のコメントを紹介して本にできるなんていいなあと思う反面、
引用したコメントに対するコメントに、
大学教授やテレビのコメンテーターとして活躍する著者ならではの巧みさを感じました。

日本のビジネスシーンで使うと、引かれたり呆れられたりするコメントも多いです。
日常会話でなら使えそうです。

「映画に対する1行コメントを考えてみる」(P.42)
「自分がそれをできたのかという観点でコメントをすると謙虚になれる」(P.155)
この辺りは、この本を最初に読んだときに意識しようと思ったのかは忘れましたが、
当ブログでなんとなく実践しています。

2007年に出版された本ですが、P.155の文章の続きは、2022年のいま読んでもタイムリーです。
「そうしないと、テレビでサッカーを見ていても、日本代表のプレイをボロカスに言ってしまうことになる」



関連エントリ:
原稿用紙10枚を書く力


現代語訳 学問のすすめ


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働かないアリに意義がある

2022-12-02 07:25:00 | 読書
「働かないアリに意義がある」
長谷川英祐著、メディアファクトリー新書、2010年12月



生物学者がアリの集団の生態を観察した本。

「働かないアリがいるからアリの集団が長続きする。これは人間社会にも当てはまるのではないか」
ということで、社会学や組織論などで、本書の研究成果が頻繁に引用されていた時期がありました。

実際のところ、本書はアリの観察の話が中心で、アリと人間を毎度毎度比較している訳ではありません。

アリと人間は個体レベルではそんなに似ているところはないので、比較してもしょうがないですが、
集団の成り立ちという点では、たしかに人間社会と通じる部分もあるのかなあとは思いました。

また、いまの時代こういう分野の研究で予算が取れるのかなあ、というのは率直に感じました。
予算を取るために、こじつけでもいいから人類に役立ちそうに見せる必要があるのかもしれません。


本書で気になった記述(各章末のポイントより引用)

・7割ほどのアリは巣の中で何もしていない
・仕事が増えると働かないアリも働くようになる
・疲労という宿命があると、働かないアリのいる非効率的なシステムのほうが長期間存続できる
・フリーライダーが増えすぎると、そのコロニー(集団)は滅びる
・生物が群れをつくると、自分が食べられる確率がさがる「捕食回避」効果がある
・理想的なはずのクローン社会が多数派にならないのは、多様性がないと伝染病に弱く、分業もスムーズにいかないためらしい




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物語 ウクライナの歴史

2022-11-26 09:30:00 | 読書
「物語 ウクライナの歴史」
黒川祐次著、中公新書、2002年8月



ロシアのウクライナ軍事侵攻以降話題の書籍を、
今更ながら手に取りました。

2002年に初版が発行されていますが、
254ページから「ウクライナの将来性」という項があり、

・大国になりうる潜在力
・地政学的な重要性

を挙げています。

この2点が、まさにロシアがウクライナに侵攻した大きな理由なのではないかと感じました。


その前の章では第一次世界大戦、第二次世界大戦に触れています。
ウクライナの視点で2つの大戦を振り返ることがなかったので新鮮。

中世以前の歴史のページに関しては、
地名・人名はじめ聞き慣れない単語ばかりで、
読むのに苦労しました。




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地面師

2022-10-17 21:35:00 | 読書
「地面師」
森功著、講談社文庫、2022年9月





土地の持主や代理人になりすまし、大手企業に嘘の不動産取引を持ちかけて金を騙し取る、
「地面師」による事件を追ったノンフィクション。

2017年、積水ハウスが五反田の旅館の不動産取引で55億円の詐欺被害に遭った事件は、
日経新聞でも大きく取り上げられた記憶があります。

この事件をはじめ、地面師による複数の事件の経緯を、当事者にも接触して明かしています。

騙す側に元不動産会社社員、弁護士、司法書士などもいて手口が巧妙ですが、
「そんなので騙される?」と思うやり方で騙されてしまうケースもあり。

取引の流れが複雑だったり、騙される側も欲に目が眩んだりで、
本当の被害者が誰なのか分かりづらい面もあるようです。

自分に大きな不動産取引をする計画はありませんが、
騙す側はそこまでやるんだということを知ることで、
詐欺全般の被害に遭うことを未然に防ぐ役には立ったかなと感じました。



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「会社四季報」業界地図 2023年版

2022-10-08 09:50:00 | 読書


「「会社四季報」業界地図 2023年版」
東洋経済新報社、2022年9月

毎年9月に発行され毎年買っています。

2023年版、2022年版の巻頭「注目業界」を見てみます。

■2023年版
01.メタバース
02.脱炭素
03.米国
04.GAFAM
05.NFT
06.エネルギー地政学
07.ESG
08.次世代自動車
09.MaaS
10.サイバーセキュリティー
11.パワー半導体
12.空飛ぶクルマ
13.宇宙開発
14.代替食
15.ユーチューバー
16.先端医薬ベンチャー
17.DX
18.コンサルティング
19.プログラミング
20.木材

■2022年版
01.脱炭素
02.GAFA
03.DX
04.中央省庁
05.5G
06.半導体
07.次世代自動車
08.MaaS
09.リチウムイオン電池
10.先端技術材料
11.全固体電池
12.ベンチャー・VC
13.キャッシュレス
14.宇宙開発
15.量子コンピューター
16.副業・学び直し
17.CRO、臨床検査・薬
18.オンライン医療
19.ユーチューバー
20.eスポーツ
21.ペット
22.中食・宅配


2023年版単年で見ると車・IT関連の似たような単語が多いです。
また、2023年版と2022年版の比較で見ても、同じ単語、似たような単語が多いです。

各業界・企業・用語の解説も、2023年版と2022年版とで全く同じものもちらほら。

コロナのような異常なことがなければ、1年くらいでは大きく変わらないのかもしれません。
だとすると、毎年購読することもないのかな?と思ってしまいました。

日経なども同類の書籍を発行しています。
気が早いですが、東洋経済と日経、隔年での購読を検討中です。



2022年版までは、購読者特典としてWebでも同じ内容が見られたのですが、
2023年版からなくなってしまいました。
実質値上げ?



「会社四季報」業界地図 2022年版

「会社四季報」業界地図 2021年版


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母性(書籍)

2022-09-23 07:25:00 | 読書
「母性」
湊かなえ著、新潮文庫、2015年7月



娘が自殺を図った真相を、母の手記と娘の回想から浮かび上がらせる長編ミステリー。

文庫化された2015年に購読。
今年11月映画が公開されるのに先立ち、読み返してみました。

一つの事象を複数人の視点で異なる角度から描くことで様相が全く違って見える、
湊かなえお得意の手法が用いられています。

映画の公式サイトには役名が出ていますが、
原作では母娘の名前が最後の方まで出てこないところが、不安感をさらに駆り立てます。

昨年テレビドラマで警官コンビを演じていた戸田恵梨香と永野芽郁が、
本作では心がすれ違う母娘を演じるのが興味深いです。

映画『母性』オフィシャルサイト



関連エントリ:

望郷(書籍)

未来

境遇

往復書簡

夜行観覧車

告白(書籍)


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「名コーチ」は教えない

2022-09-12 21:00:00 | 読書
「「名コーチ」は教えない」
高橋安幸著、集英社新書、2022年7月





プロ野球選手・コーチとして複数球団に在籍経験のあるコーチ6名への取材から、「名コーチ」の条件を探究した書籍。

取り上げられているコーチは以下の面々。
石井琢朗、鳥越裕介、橋上秀樹、吉井理人、平井正史、大村巌。

野球ファンであれば知っている名前ですが、
野球に興味がない人には馴染みのない名前かもしれません。

「押し付ける」のではなく、選手本人に気づかせるのが、
今のコーチの主流ということを主張しています。

ただ、序章で触れている、中西太や林義一といった昔のコーチも押し付けないコーチだったようですし、
巨人、ロッテから米メジャーリーグに移った沢村拓一らによれば、現代も押し付け型のコーチがいるようです。
今も昔も両方のタイプのコーチがいて、今の方が押し付けないタイプが増えてきた、ということかなと解釈しました。

本書で取り上げられた指導論は野球界だけでなく、
一般社会でも通じるものがあると思います。


各コーチの章でメモしておきたい言葉:

■石井琢朗
・得点につながる凡打をしっかり評価する
・横浜に愛着はあるが、横浜を出て広島でプレーしたことで視野が広がった

■鳥越裕介
・選手のことを知るために、冗談を言うことから始めた
・選手にはあいさつやゴミ拾いなど普通のことができる人間であってほしい

■橋上秀樹
・自分自身の特徴を突き詰めて考え、チーム内での役割を認識する。その上で目標を設定すれば、おのずと練習方法は違うものになるはず

■吉井理人
・コーチは指導してはダメ。サポートする
・最初は雑談みたいな感じ
・理想は、選手から話が始まり、選手同士だけで話が進んでいくこと
・ポジティブな話から入る
・選手が遠慮して本当のことを言えない、という関係を取っ払って信頼関係を築く

■平井正史
・選手が自主的に動けるよううながす

■大村巌
・選手のタイプや現状によって自分自身がいろんな人間に変化する
・選手に聞くことから始めた


また日本ハムとDeNAではコーチの研修にかなり時間をかけているそうです。



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22世紀の民主主義

2022-09-03 09:00:00 | 読書
「22世紀の民主主義」
成田悠輔著、SB新書、2022年7月





各種メディアに引っ張りだこの成田悠輔氏が民主主義の今後を予測(断言?)した本。

気にはなっていたものの様子見でしたが、mac68615さんのブログ記事に後押しされて購読しました。

サブタイトルは「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」。
これだけだと何のことだか分かりませんが、本書で著者が言いたいことはこの短い文章に集約されます。

言い換えると「無意識データ民主主義」。
インターネットや監視カメラが捉える会議や街中・家の中での言葉、表情やリアクション心拍数や安眠度合いなど、
選挙に限らない無数のデータ源や、各種統計指標からアルゴリズムが意思決定を行うというもの。

これによりいちいち選挙を行う必要はなくなり、いまでもお飾りであったりバッシングの対象でしかない政治家は、
ネコやバーチャルになると説いています。

プライバシーへの配慮、アルゴリズムの公開は必要とも述べています。

自分は選挙の投票はしていますが、投票した政党や議員の政策を隅から隅まで理解しているわけではありません。
また、投票した政党や議員が自分が望む政策を推進してくれているとも言えません。

政党や議員による自身や自身に近い組織・団体への利益誘導ばかりが目立つのであれば、
アルゴリズムによる政策決定もありかなと感じました。

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ハケンアニメ!(書籍)

2022-08-21 09:35:00 | 読書
「ハケンアニメ!」
辻村深月著、マガジンハウス文庫、2017年9月





アニメ業界でハケン(覇権)を目指して奮闘する人々を描いた小説。

映画版を見たかったのですが、自分がよく行く映画館の上映スケジュールと合わず、小説を読んでみました。

読んでなおさら映画が見たくなりました。



小説で描かれている登場人物の人物像と映画のキャストのイメージがピッタリ。

特に王子千晴の冷静に突飛な言動を取り、
時に熱かったり慌てたりするキャラは、
中村倫也をイメージして本を書いたのではないかと思うほどで、
映画を見ていないのに、王子千晴のセリフが中村倫也のしゃべり方で脳内再生されます。

次にハマっていると思ったのが、小野花梨演じるアニメオタクの並澤和奈。
映画の相関図を見ると脇役扱いのようですが、
割り当てページ数や、これまで何作か読んだ
辻村深月の登場人物設定から考えると、本書では主役。

不器用で熱い監督の斎藤瞳を演じるのが吉岡里帆。
性格はMで明るくて、自分に対する異性の想いに鈍感なプロデューサーの有科香屋子を演じるのが尾野真知子。
この2人もイメージ通り。



小説では王子千晴と有科香屋子との掛け合いが多いですが、これを中村倫也と尾野真知子が演じているのかと思うとかなり興味深いです。

劇場鑑賞は間に合わなそうなので、DVDかテレビで見ます。



関連エントリ:

神様の罠

ツナグ

朝が来る(書籍)


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奇跡のバックホーム

2022-08-05 07:15:00 | 読書
「奇跡のバックホーム」
横田慎太郎著、幻冬舎文庫、2022年7月





高校卒業後阪神タイガースに入団。
4年目に脳腫瘍と診断され、在籍6年で退団した横田慎太郎外野手の自伝ノンフィクション。

横田の闘病生活と二軍戦引退試合でのセンターからのバックホームの送球は、
テレビのドキュメンタリー番組で取り上げられたこともあり、
今年3月には間宮祥太朗主演のドラマが放送され、バックホームのシーンは実際の映像が使われました。

あの場面だけでも感動しますが、本書を読んで横田本人の苦労、
家族や阪神の首脳陣・選手の支援などを知った上でバックホームの映像を見ると、一段と感動します。


(0:50から)

大病で体は衰えるかもしれませんが、人間的には成長しますね。
そうは言っても大病には罹りたくないですけど。

脳腫瘍の症状や手術・治療・リハビリなど闘病生活がよく分かります。
掛布・平田・金本・矢野・田中秀太ら阪神関係者のサポートを知ると、
阪神が調子悪かったり、何かあっても、安易に彼らを批判できなくなります。

単行本が出版されたのは2021年5月。
その数ヶ月前に脳腫瘍が再発し、再び治ったそうです。
単行本には再発の話は書いておらず、今回の文庫版で新章として加筆されています。



【関連エントリ】
考える虎
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望郷(書籍)

2022-07-30 08:30:00 | 読書
「望郷」
湊かなえ著、文春文庫、2016年1月





瀬戸内海に浮かぶ島を舞台にした6編の連作短編集。

小説の中では「白綱島」という架空の島名ですが、
著者の故郷「因島」がモデルだそうです。

6編のタイトルは
「みかんの花」「夢の国」「海の星」「雲の糸」「石の十字架」「光の航路」。

どの作品も島の生活が息苦しかったり、肩身が狭かったりする人たちの立場から描いており、
悲哀が漂いますが、所々光も差しています。

「望郷」のタイトルで映画化されています。
映画は「夢の国」「光の航路」2話の連作形式。

映画のレビューを読むと、今回本を読んだのとだいたい同じ感想でした。

望郷(映画)


なんでこの2話が映画化されたのだろうと思って検索してみると、
映画化の前に「みかんの花」「海の星」「雲の糸」の3話がテレビドラマ化されていました。

【ドラマスペシャル】湊かなえサスペンス『望郷』:テレビ東京


唯一映像化されていない「石の十字架」は、他の話に比べて少し分かりづらかったです。



関連エントリ:

望郷(映画)

未来

境遇

往復書簡

夜行観覧車

告白(書籍)



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サラ金の歴史

2022-07-23 08:30:00 | 読書
「サラ金の歴史」
小島庸平著、中公新書、2021年2月





自分は幸いにもサラ金(消費者金融)のお世話になったことはなく、
サラ金との関係は、駅前で配っていたポケットティッシュをもらっていたくらいです。

明るいイメージのテレビCMが多かったですが、
利用者の不幸や会社の不祥事などが定期的にニュースになっていたため、
良いイメージはなかったです。


本書はサラ金のはじまりから繁栄、衰退までを、
「罪」の部分だけでなく、「功」の部分も取り上げて振り返っています。

中間的な立場のように見えましたが、「おわりに」に
著者が学生時代、プロミスの創業者が運営する農場に招待され接待されたとあります。

したがって、業者寄りのバイアスがかかっていることを前提に読んだほうがよいと感じました。

著者が接待を受けた事実を正直に書いているのは良いことと思います。


個別のトピックで興味深かったのは、

・1920年代ににサラリーマンの手軽が副業として、貸金業が広く推奨されていたそうで、
 100年も前から副業ってあったんだと思いました。

・貸金業の貸出先は
  会社の同僚→団地妻→上場企業従業員・公務員→非正規労働者→SNS上の顔の見えない個人
 と推移しており、その裏には金融・与信技術の発展があるようです。

・貸金を現金の「月賦販売」「出前」「通信販売」「自動販売機」などと言い換える言葉選びは
 おもしろいと感じました。

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知らないと恥をかく世界の大問題13

2022-07-02 08:35:00 | 読書


「知らないと恥をかく世界の大問題13」
池上彰著、角川新書、2022年6月

「知らないと恥をかく世界の大問題」第13弾。
2009年から毎年発行されており、全冊買っています。

構成は例年、

1.アメリカ
2.EU
3.中東
4.東アジア
5.その年の話題
6.日本

の順。

今年「13」もほぼ同じです。

1.アメリカ
2.ヨーロッパ
3.ユーラシア
4.中国
5.中国・ロシア
6.日本

全編に渡ってロシアについて触れています。

一方昨年は紙面の多くを割いていたコロナウイルスについての記述は大幅に減少。

プロローグの10ページに渡る図も例年と同じ。
近現代の各国の関係を理解するのに役立ちます。



本編各章の概要は以下の通り。

1.アメリカ
バイデン政権とアフガニスタン

2.ヨーロッパ
ロシアとウクライナの歴史

3.ユーラシア
ロシア、カザフスタン、イランとアメリカの思惑

4.中国
習近平の長期独裁政権

5.中国・ロシア
改めて中国・ロシアの危険性

6.日本
上がらない給料と物価高


1年後に世界がどうなっているか分かりませんが、
本書のネタには事欠かなさそうです。



関連エントリ:
知らないと恥をかく世界の大問題12

知らないと恥をかく世界の大問題11


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不道徳な経済学

2022-06-16 07:25:00 | 読書
「不道徳な経済学」
ウォルター・ブロック著、橘玲訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2020年1月





サブタイトルは「転売屋は社会に役立つ」。
経済学者でリバタリアン(自由原理主義者)の著者が、
世間から「不道徳」と見られる人を経済学の理論を用いて擁護する本。

原題は「Defending The Undefendable」。
「擁護できないものを擁護する」という意味でしょうか。
著者も無理を承知で擁護しています。


訳者の橘玲氏があとがきで触れていますが、
著者の論理には手を加えていないものの、橘氏が意訳・超訳しています。
原書は1976年にアメリカで出版されていますが、現代的・日本的な具体例が多いです。

擁護の対象として、

・ツイッター
・ホリエモン
・ダフ屋

など。

また、事例として、ドラえもん、相撲、県名などが出てきます。

マイケル・サンデル著
「それをお金で買いますか 市場主義の限界」
をより過激にしたような内容です。



関連エントリ:
【マイケル・サンデル著書】
それをお金で買いますか 市場主義の限界

これからの「正義」の話をしよう


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