内なる声

深夜に激しく言い争う声で目が覚めました。声はすぐ近くから聞こえてきますが、部屋には私ひとりしかいません。あぁやだなー。霊だよー。かかわり合いたくないなー。そう思って寝たふりを続けているうちに眠気が戻ってきました。

ところがまたしても同じ声に起こされてしまったのです。今度は「ねぇ、そうでしょう？」「そうでしょう？」「でしょう？」と、しきりに私に同意を求めてきます。あまりにもしつこいので、つい相手が霊だということも忘れて「知らんがな！」と怒鳴りつけました。

自分の怒鳴り声ですっかり目が覚めて、頭もはっきりしてきたので冷静になって考えているうちにハッと気がつきました。ふとんをめくってみたら「ぐぅじゅるじゅちゅ～」とあり得ないくらい大きな音を立ててお腹が鳴っています。「ぐぅじゅるじゅちゅ～」すなわち「ねぇ、そうでしょう？」のリズムです。どうやら私は自分の腹の虫と会話していたようです。

この二日間ほど胃の調子が最悪で、何も食べずにずっと横になっていましたが、やっとのことで胃が正常に動き出したようです。もちろんこんな大音量で長時間お腹が鳴るのは初めての経験です。たまらず大笑いしたら元気が出ました。