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ぽよ熊さんのテレビ観戦記

活字好きはどうぞ!「昭和後期」(新命名)にTVと蜜月期を送った元女の子(笑)で、かつてのバブル世代が死語満載で送ります

たったひとつの恋 第8話

2006年12月03日 | たったひとつの恋
あーよかった。
何がよかった、って、あたしは今回、まだ第7話だと勘違いしてました。
あとまだ3回も、これ見なくちゃいけないのお?(ま、一応自分の意思で見ている訳ですが・・・)。
と愕然としていたら、例によってあたしの勘違いで、もう第8話でした。
ってことは、あと2回見りゃいいということ。
あーほっとした・・・。

というのが、番組関係者にはほんとに申し訳ないけど、本音でして。
なら、見るのやめれば、ということなんだけど、一応ここまで見てきたんだし、乗りかかった船だし。

まあここまで見てきたということは、文句を言うだけの手ごたえもあったのだ、とも言えますが。
でも今回は、いろいろはっきり言っちゃうぞ。
いっつもそうじゃあ、あーりませんか、とこのブログをお読みいただいている方は思うかもしれないが、今日はそんなもんじゃありませんので。
ご不快に思われる方は、どうぞ今のうちに席を立って、貴重なお時間をもっと有効にお使いくださるよう。

でも最初に断っておくと、あたしが文句を言いたい相手は、カメラを回している人でも、音楽をつけている人でも、演じる人たちでもない。
あたしは、このドラマの映像は悪くないなと思っている。
特に光の使い方がとてもいい(ちなみにHPの写真も、アクセスする時間に合わせて朝、夕、夜と変わる)。
今回、冒頭の船上での場面も、朝らしく晴れやかでさわやかだったな。
まだ二十歳前後の出演者たちの、若さとみずみずしさが感じられた。
その一方で、どのシーン、とはっきり覚えてないけど、全体にソーダ水のかかったような、ちょっと詩的な趣が時折、醸し出されて。
ナオトが指輪を海中に捨てた時の、指輪のきらめきと水の反射も、まるでCMのワンカットのよう。
ちょっと誇張されすぎかもしれないけど、カメラクルーの力の入りようが伝わってきた。

美術さんも、とても凝っているよね。
クリスマス・プレゼントに作られたクジラの置物は、驚くほどきれい。
もともと、ヒロトの家の台所もヒロトの部屋も、ナオの家のリビング(ちょっとキッチンの鍋が新品同様に輝きすぎてるけど)も、よく造形してある。
特にナオの家のリビングは、これも光の効果をうまく取り入れた部屋づくりで、そのカラーリングのセンスといい、インテリアのお手本だと思います。
映像作りと美術は、「ちょっと寓話的な二十歳の恋物語」というコンセプトで、きれいにつながってる感じ。

音楽はもちろん、安定している。俳優も頑張っているんじゃないかな。
田中好子はますます好演だし、綾瀬はるかもよく演じていて、他の脇役陣も持ち味が生かされてるような。
主演の亀梨和也も、(第3話について書いた時も触れたけど)、基本アイドルでまだ二十歳そこそこにしては、好投していると言っていいと思う。
今後もっといろいろな役柄に挑戦するべきかも。
二枚目路線じゃなく個性派でいけば、他の凡百のイケメンとは違うタイプになれるんじゃないかな。
ニヒル(古語です)なところがあるから、たぶん年とった方がこの人はいいんだろうけど。よく擬せられるけど、そこがキムタクと違う点かもね。

ということで、うすうすおわかりだと思うけど、今回あたしが文句を言いたいのは、脚本の北川悦吏子です(プラス、このドラマの方向を一緒に決めたらしいプロデューサー)。
あたしがこのドラマを見たもともとの理由の一つに、北川さんの脚本ということがあった。
40代になり、若者の恋愛の形とはもはや遠のいたところにいると思われる彼女が、今どんな脚本を書くのか興味があった。
これまでの感想では、脚本のできるだけいい点も拾い上げようとしてきたけど、もう限界だ。
同性・同世代のひいき目で見ることなく、率直に言うことにする。

たくさんあるので箇条書きにします。
①人物造形が浅いので、極端な設定じゃないと話が進まない
②イマドキのポップな感覚に欠ける
③ユーモアのセンスが致命的にない
④40代でいまだにお嬢さん感覚。バブル時代のぶりっこのナルシスを捨てられない
⑤そのため変なウブさがあるのか、見せ場が作れない

でも、一番問題なのは、
⑥数百キロ離れていてもコミュニケートするクジラの話は取り上げるくせに、今の二十歳ぐらいの人の心に響く恋愛がどんなものか、彼らに直接聞いたり観察したりして、知ろうとする気持ちは(たぶん)ない
その結果、
⑦自分の考える恋愛の枠を二十歳の子たちに押しつけ、不自然な言葉を言わせて、それをおかしいと思っていない
⑧おそらく自分が十代の頃に知っている(またはかつてのトレンディドラマにもあった)、超アナクロな設定を持ち出して、それが今の若者に通じるものとして押し通す

以下概要(長くなるので①~⑤まで)。
まず①ですが、特にこのドラマでは目立ってる。
”身分違い”の恋というあまりにかたくなな設定なので、登場人物がのびのび動けない、というより、うまく人物描写ができないので設定に頼っている、という感じ。
②は、たとえば今クールの「のだめカンタービレ」や「アンナさんのおまめ」のような、若い子に受ける今の突き抜けたポップな感覚が当然ながら・・・ない。
オリコンの秋ドラマ放送直後・満足度ランキングで、ナオやアユタの年代である専門学校生・大学生の間では、このドラマがベストテンにすら入っていない現状をよく考えては。

③は、これまでもあたしをさんざんあきれさせてきたけど、例えば第6話の感想でも書いたように、バブルの頃の何テンポもずれた逸話を大真面目で出してくる。
第3話の感想を書いた頃は、まだまさかと思っていたので「家来」「農民」「お姫さま」といった言葉遣いに腹をかかえて笑っていたけど、やがてこの人はほんとにマジメに、こうした語彙を使って、それに疑問を感じていないことに気づいた。
④は③と連携しているけど、今回も「女の子はみんな(指輪を)ほしいんだよ」「お嬢さんなのにナオは強いな」とか、たぶん40代になっても頭の中には、いまだにこうしたぶりっこ感覚の言葉がこだましているんだろうな、というようなセリフ。
あたしでも、このブログで女の子という語彙を使う時は、一応「カッコ笑い」のトーンで書いてますけど(笑)。

⑤の見せ場づくり、ということでいうなら、まず今回冒頭の朝のシーン。
指輪をナオがほしがるところからみても、おそらく二人は、最初の夜を共に過ごしたのではないかと推測される。
このドラマ一番の見せ場の一つをあっさりなくしてしまったのは、ジャニーズ事務所からベッド・シーンなど許しません、というお達しが来たせいかもしれないけど。
でも別に露骨な絵を撮らなくても、セリフとアクションはむしろ抑えて、カメラワークと音楽だけで、情感のこもった雰囲気のあるシーンはいくらでも作れる。
(視聴者はいくらでもそうしたシーンを海外や日本の映画で見てきています)。
そうしたら、この恋愛物語に感情移入する視聴者をもう少し増やせたはずだった。

どうも北川さん自身が、セリフ優先のドラマにしたかったんじゃないのか。
朝になって、ただナオとヒロトが軽口をたたいてじゃれあう展開にしていたけど、こうしたシーンが効くのは、その前に二人の感情が絡み合う情感のこもったシーンがあってこそ、じゃないだろうか。
だいたいこのドラマは、第5話の若者5人がみんなでドライブしてはしゃいでいた場面など、セリフがあまりない、絵を主体に撮ったシーンの方がずっと感じがよかった。

で、第8話の今回メインになったのは、家族と口論し、家を飛び出すナオ。
あの口論は、平凡ないしはアナクロな言葉の羅列で、視聴者をひきつける力はないです。
そして、母親がナオの父をゆすったと聞いて、簡単に「もうおしまいだ」とあきらめるヒロト。
レンが入院したときは血相を変えてナオを怒鳴っていたのに、母親相手に怒りもしない。ただ脱力するだけ。
前回までに既にまいてあった種を刈り取るだけの展開。
うーん、もう好きにやってくれ、って感じ。

だから次回の第9話が、突然3年後に話が飛んでしまったのも、さもありなん、という気もする。
「まだ子供の、力の足りない二十歳の恋」という設定じゃあ、これ以上展開のしようがないもの。
ナオとヒロトがもう少し大人になって、当初の北川さんの脚本の設定を崩すしかなかった。
でないと、少なからぬ視聴者がもうこの番組を見ないということに制作側が気づいたのではないだろうか。

このドラマを見る限り、北川悦吏子が今の二十歳ぐらいの若者の心に響く恋愛物語が書けないのは、はっきりしてしまった。
これからの恋愛ドラマの、メインの視聴者層となる世代だけど。

思うに、脚本家の仕事って、常に撮影、俳優、美術など多方面の人とコラボするしかない、その場、その時の水物の仕事。
過去の実績じゃなく、常に今何を作るかが問われてしまう。
自分一人で作品が完結でき、一度世界を確立したら、それである程度ファンがついてくる画家や小説家とは違う。
コワイ仕事だな、と思います。

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8 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ここまで書かれると・・・ (アンナ)
2006-12-03 19:38:44
正直、誰も何も言えません(笑)
すごいです♪

是非、制作者のひとりでもいいからココのぞいて
欲しいですね♪
乗りかかった船、最後まで見て感想書いて下さいね。
楽しみにしてまーす!
俳優さん達が気の毒なドラマだ~
で、HPの画面が昼間と夜で違うのは知らなかった。
夜しか見てないから。
今度、昼間見てみよう。。。
では、では。。。
返信する
アンナさんへ (beginners)
2006-12-03 23:01:33
アンナさん、こんにちは。

ははは・・・す、すいません。
書き出したら思わず止まらなくなっちゃって。

でも番組が終わったら、意外に残念だったりして。
これだけツッコめるドラマもなかなかないのかもしれません。

来クールは・・・よーく考えよー、番組選びは大事だよー、って感じで、もっと慎重に(?)見るドラマを選ぼうかなと思ってます。
返信する
いつもながら ()
2006-12-03 23:27:55
こんばんは♪
いつもながらの鋭い感想、言いたいことが凝縮されてます~!
脚本がもう少し…って何回思ったことか。^^:
あと二回でどう結末を付けるのか、こうなったら最後まで頑張って(?)付き合います!
返信する
翠さんへ (beginners)
2006-12-04 10:36:42
翠さん、こんにちはー!
いつも来てくださってありがとうございます。

>あと二回でどう結末を付けるのか、こうなったら最後まで頑張って(?)付き合います!

翠さんも、頑張って(?)付き合ってらっしゃるんですね。
同志よー。

まあ私の場合、このブログを書くようになって、(レビューを書くために)ちゃんとドラマを見るようになったので、ドラマさまさまってところもありますかね。
返信する
さすがに~ (ルル)
2006-12-05 21:28:56
こんばんは~。

う~むむむ
さすがに、ちょっと、、、
になってきました
二人が離れ離れになったのに
悲しくないんですもの
棚田のエピなんて、お涙頂戴どころか
ムカだけ

>だから次回の第9話が、突然3年後に話が飛んでしまったの

えっー!そうなんですか?
それが悲劇の結末ですかね?(苦笑)
返信する
ルルさん、こんにちは (beginners)
2006-12-06 10:19:38
ルルさん、こんにちは!

>二人が離れ離れになったのに
悲しくないんですもの

ほんと、その通りですねー。
ドラマに感情移入できません。
ラブストーリーなのにね。
あんなにたくさんの人たちがはまっている韓流ドラマなどで、話の運びをどうするかとか、もう少し研究されたらいいんじゃないんですかね。

>それが悲劇の結末ですかね?(苦笑)

苦笑されたくなるお気持ちはわかりますよー。
返信する
同感 (かまた)
2006-12-10 16:54:02
よくぞ書いてくださいました。思ってたこと全部かいてありました♪


ほんと製作者の一人でもこれみてくれたらいいのに。

もともと彼女はストーリーテラーじゃない。なんとなく台詞で雰囲気作ってただけよね。最初から結末がなんとなく見えてて恋愛の障害が病気とか、意地悪な友達とか。

もともとの設定も、台詞もパクリが多いし、発想自体が貧困。今回はプロデユーサーにも恵まれなかったのかな。
残念ながらとうとう馬脚を現したってことではないでしょうか。
返信する
かまたさんへ (beginners)
2006-12-11 11:35:34
こんにちは、かまたさん。
いろいろお詳しそうですね。
もしドラマのレビュー関係のブログをやってらっしゃるなら、教えていただけませんか。
よろしければお訪ねして、読ませていただきたいのですが。

わたしは実はそこまで北川ドラマを見たことはないので。
過去大当たりしたみたいですが、北川ドラマで、登場人物が障害者に設定してあるものなどは、もともと苦手。どうもあざとい気がして、見たことないのです。
そういう人々の大変さを知る、という点では意味あるのかもしれませんが、そうやってテレビドラマに「啓蒙」してもらうのはご勘弁願いたいと思っています。

>残念ながらとうとう馬脚を現したってことではないでしょうか

同性で同年代なので、頑張ってほしいという気持ちもあったのですが、やっぱり脚本家は「今何が作れるか」で評価されるのが相応だと思います。
厳しいことですが、やっぱり実力次第、ということで。
脚本家はアイドルとは違うので。
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