バリ島
はじめに
今回は、初めてインドネシアのバリ島に行くことになりました。
まずは言葉。
バリ島のあまり人の行かない村を歩いて、熱帯植物の観察をしながら、現地の人たちといろいろお話してみたいと思い、インドネシア語が話せるようにちょっと勉強してみようと思いたったのが、9月末。一日 1フレーズを覚えると、100フレースになり、まあ、これだけ、さっと口から出てくるようにしておけば、一歩踏み込んだ旅行ができるのではないかと思いました。
愚かなことに、そんなのどかな島を勝手に想像していたのです。
来てみると、「美しい南洋の島」とは程遠く、道路は車とバイクの群れで隙間なく埋め尽くされ、歩道もゴミや建築廃材で溢れかえり、あまつさえ頻繁に降る雨で、あちこちにできた水たまりの上を歩かされる始末でした。
私の旅行スタイルを押し通すと、バリの印象は、あまりよくなかったということになりますが、他の観光客のように、美しいビーチや、ウブドの高級リゾートホテルなどに泊まって、一日か二日、観光バスで、観光スポットを巡るというバリ島旅行なら、いいところだと思います。今思うと、少しはそういうこともすればよかったかなと思っています。
ともあれ、バリの人たちはみんなニコニコしていて親しみやすく、不愉快を感じることは一度もありませんでした。
本来の目的だった、植物の勉強は、残念ながらできませんでしたが、訪れた寺院などに付随している植え込みなどの写真を載せておきます。
(1) バリ博物館 (デンパサール)


にしている




運転手の話によれば、昔の宮殿を、あるいはそれをまねて博物館にしたものだそうです。
規模は小さいですが、一応古代からの歴史がわかるようになっています。自称ガイドみたいな人が勝手に見学者にすり寄ってきて、展示物の説明をしてくれるのですが、彼によると、マヤ文明が栄えていた時代、船でバリ島にやってきたマヤ人がいたそうで、展示されている土偶がバリで発掘された証拠品だそうです。説明文が一切なく、私の常識ではありえない話で、いい加減なガイドを野放しにしている博物館だなという印象を受けました。
(2) パジュラサンディーモニュメント
高い塔に登ると、周囲が一望できます。
館内は、インドネシアの歴史が、上手に作られたジオラマで、見学できました。特に近代史では、いろいろ苦難の歴史があったようで、オランダの支配下で抵抗している場面や、日本兵まで登場して、当時の人々は大変だったようです。
バリ島の人は、絵画や、彫刻に才能のある人が多く、この空中から眺めているようなジオラマも、そういう人たちの手を借りて制作されたのかなと思いました。
下の写真は、どこかの寺院の写真が混じっているかもしれません。寺院もいくつか行ったのですが、みんな同じに見え、後で見るとどれがどれだかわからなくなりました。








(3)ガルーダ・ウイセヌ・クンチャナ・カルチュラルセンター
聞くところによれば、世界一大きな彫像で、あまりにも高いその彫像は、遠く離れた空港からでも、見えたくらいです。三体あって、いずれもヒンズーの神様です。
これらの観光地巡りは、ホテルが、運転手付きの車を用意してくれ、行きたい所や、希望を伝えると、そこまで連れて行ってくれます。運転手は、私が見学したり、食事をしたりする間、駐車場で待っていてくれるので、時間など気にせず、自由に過ごすことができます。裏返せば、これ以外の方法でひとり旅をする手立ては、バリ島にはなさそうです。
運転手の話によると、神様といっても、いい神様もいれば、悪い神様もいるのですが、私にはわかる由もなく、容貌から何となく判断するくらいでした。
余談ながら、ヒンズーの神様は実は日本にもいて、七福神のうち何人かは、ヒンズーの神様だと聞いたことがあります。(純日本神様は、恵比寿様だけだそうです)
今回の旅では、行く先々で、ずいぶんたくさんの写真を撮ってもらいました。覚え立てのインドネシア語で、短い会話を楽しむには、「ちょっとすみません、写真を撮ってもらえませんか」と、切り出すのが一番自然でした。無論断られたことは一度もなく、中には頼みもしないのに自撮りで一緒写真に収まってくれた人もいました。
(4) ウルワツ寺院
島の南端の崖の上に建っているお寺があって、サルがあちこち走り回っている有名な観光スポットです。そのサルたちも、観光客のめがねを取ったり、帽子をとったり悪さをするらしく、注意を呼びかけていました。
寺院の敷地内に小規模なステージがあって、赤い夕陽と海をバックに例の有名なケチャダンスが毎晩催されるとのことです。
聞いたところによると、あれは近年になって観光用につくられた創作ダンスみたいなものだそうです。何か神事を司る、昔から踊り継がれてきたダンスを、旅行者が垣間見させてもらうくらいに思っていたのに、それを聞いてがっかりし、見る気も失せてしまいました。だいたい村のいい若者が大勢集まって、毎夜毎夜ダンスをするはずがないのです。
でも、今思うと、せっかくここまで来たのに、せめて新作ミュージカルでも見るような鷹揚な気持ちになれなかったのかと、少し後悔しています。
(5) モンキーフォレスト
もともとは、サルがたくさん住む森でしたが、ここだけ保護区にして自然が残してあるそうで、島のジャングルの姿が、よくわかる場所でもあります。渓谷もあっていいところでした。
入場者のほとんどは西洋の観光客で、バリ島観光ツアーで、2時間程寄っていくのだろうと想像しました。園内にはいたるところにサルがいて、近寄っても逃げないので、みんな写真を撮っていました。
森の中の植物を期待しましたが、特に目新しいものは何もなく、軽く一回りしてモンキーフォリストをあとにしました。
園の前の通りは、さながら観光客お土産通りみたいで、車から見る限り、木彫りの製品や、絵画のどが売られているようでした。軽装の西洋人観光客がぞろぞろと歩いていました。
(6) ライステラス
ウブドの街から伸びている街道を車で一時間ほど進むと、ライステラスが見られる場所があります。
距離としては近いのですが、何しろ車とバイクでちっとも進まず、やっとたどりついたところは、駐車場がいくつもある、まったく観光地化した、田舎でした。
道路沿いに立ち並ぶ食堂みたいなところで、コーヒーを飲んで眼下に広がる写真などでおなじみの棚田を見るのですが、ところどころにヤシが生えているので、ちょっとエキゾチックな絵になりますが、考えてみればただの段々畑で、それを上から見下ろすので、 なんとなく立体感のある風景になります。
写真だけ見ると、なんとのどかなところだろうと思いますが、写真を撮っている背中側にはたくさんの駐車場があり、大勢の観光客が上から写真を撮っています。
たぶん、ウブドの街から一番手前にあったので、みんなここに来ているだけで、この先もこういう風景が島中いたるところにあると思いました。
棚田に沿って、ちょっと歩いてみましたが、小さな蚊がいるのか腕がかゆくなり、今はやっているデング熱に罹ってもいけないので、思いとどまり引き返しました。
あとがき
そもそもの失敗は、バリのホテルの予約を、旅行会社に頼んだことです。私はバリに行くのは初めてなので、経験豊富な旅行社なら現地の事情に詳しい人が適当なホテルを選んでくれると思い、州都であるデンパサールの街の真ん中あたりをと、希望を伝えていました。真ん中なら、歩いてでもあちこち行くことが出来るからです。
予約してもらったのは、大きなホテルでとても快適だったのですが、場所がクタという地域で、デンパサールまでは、車の渋滞もあり小一時間はかかるところで、さらにそのクタの中心からも、離れた周囲に何もないところでした。
行った時期も悪かったです。ちょうど雨季で、最後の2日間は、終日雨でした。
暮れの忙しい時期、いろいろ準備、勉強不足でしたが、旅行社やガイドブックに頼らず、誰か行ったことのある人に、聞くのが一番だと痛感しました。
今は、また行きたいという気にはなりませんが、せっかく覚えたインドネシア語は無駄にしたくないなと、変なところに執着しています。よく考えてみると、日本語を話す人口はせいぜい1億人ですが、インドネシア語は、マレーシアも含めると、3億人くらいいるのではないかと思うと、今後世界でも重要な言語圏になるような気がします。
最後に街の様子を映した写真を載せておきます。
はじめに
今回は、初めてインドネシアのバリ島に行くことになりました。
まずは言葉。
バリ島のあまり人の行かない村を歩いて、熱帯植物の観察をしながら、現地の人たちといろいろお話してみたいと思い、インドネシア語が話せるようにちょっと勉強してみようと思いたったのが、9月末。一日 1フレーズを覚えると、100フレースになり、まあ、これだけ、さっと口から出てくるようにしておけば、一歩踏み込んだ旅行ができるのではないかと思いました。
愚かなことに、そんなのどかな島を勝手に想像していたのです。
来てみると、「美しい南洋の島」とは程遠く、道路は車とバイクの群れで隙間なく埋め尽くされ、歩道もゴミや建築廃材で溢れかえり、あまつさえ頻繁に降る雨で、あちこちにできた水たまりの上を歩かされる始末でした。
私の旅行スタイルを押し通すと、バリの印象は、あまりよくなかったということになりますが、他の観光客のように、美しいビーチや、ウブドの高級リゾートホテルなどに泊まって、一日か二日、観光バスで、観光スポットを巡るというバリ島旅行なら、いいところだと思います。今思うと、少しはそういうこともすればよかったかなと思っています。
ともあれ、バリの人たちはみんなニコニコしていて親しみやすく、不愉快を感じることは一度もありませんでした。
本来の目的だった、植物の勉強は、残念ながらできませんでしたが、訪れた寺院などに付随している植え込みなどの写真を載せておきます。
(1) バリ博物館 (デンパサール)







運転手の話によれば、昔の宮殿を、あるいはそれをまねて博物館にしたものだそうです。
規模は小さいですが、一応古代からの歴史がわかるようになっています。自称ガイドみたいな人が勝手に見学者にすり寄ってきて、展示物の説明をしてくれるのですが、彼によると、マヤ文明が栄えていた時代、船でバリ島にやってきたマヤ人がいたそうで、展示されている土偶がバリで発掘された証拠品だそうです。説明文が一切なく、私の常識ではありえない話で、いい加減なガイドを野放しにしている博物館だなという印象を受けました。
(2) パジュラサンディーモニュメント
高い塔に登ると、周囲が一望できます。
館内は、インドネシアの歴史が、上手に作られたジオラマで、見学できました。特に近代史では、いろいろ苦難の歴史があったようで、オランダの支配下で抵抗している場面や、日本兵まで登場して、当時の人々は大変だったようです。
バリ島の人は、絵画や、彫刻に才能のある人が多く、この空中から眺めているようなジオラマも、そういう人たちの手を借りて制作されたのかなと思いました。
下の写真は、どこかの寺院の写真が混じっているかもしれません。寺院もいくつか行ったのですが、みんな同じに見え、後で見るとどれがどれだかわからなくなりました。








(3)ガルーダ・ウイセヌ・クンチャナ・カルチュラルセンター
聞くところによれば、世界一大きな彫像で、あまりにも高いその彫像は、遠く離れた空港からでも、見えたくらいです。三体あって、いずれもヒンズーの神様です。
これらの観光地巡りは、ホテルが、運転手付きの車を用意してくれ、行きたい所や、希望を伝えると、そこまで連れて行ってくれます。運転手は、私が見学したり、食事をしたりする間、駐車場で待っていてくれるので、時間など気にせず、自由に過ごすことができます。裏返せば、これ以外の方法でひとり旅をする手立ては、バリ島にはなさそうです。
運転手の話によると、神様といっても、いい神様もいれば、悪い神様もいるのですが、私にはわかる由もなく、容貌から何となく判断するくらいでした。
余談ながら、ヒンズーの神様は実は日本にもいて、七福神のうち何人かは、ヒンズーの神様だと聞いたことがあります。(純日本神様は、恵比寿様だけだそうです)
今回の旅では、行く先々で、ずいぶんたくさんの写真を撮ってもらいました。覚え立てのインドネシア語で、短い会話を楽しむには、「ちょっとすみません、写真を撮ってもらえませんか」と、切り出すのが一番自然でした。無論断られたことは一度もなく、中には頼みもしないのに自撮りで一緒写真に収まってくれた人もいました。
(4) ウルワツ寺院
島の南端の崖の上に建っているお寺があって、サルがあちこち走り回っている有名な観光スポットです。そのサルたちも、観光客のめがねを取ったり、帽子をとったり悪さをするらしく、注意を呼びかけていました。
寺院の敷地内に小規模なステージがあって、赤い夕陽と海をバックに例の有名なケチャダンスが毎晩催されるとのことです。
聞いたところによると、あれは近年になって観光用につくられた創作ダンスみたいなものだそうです。何か神事を司る、昔から踊り継がれてきたダンスを、旅行者が垣間見させてもらうくらいに思っていたのに、それを聞いてがっかりし、見る気も失せてしまいました。だいたい村のいい若者が大勢集まって、毎夜毎夜ダンスをするはずがないのです。
でも、今思うと、せっかくここまで来たのに、せめて新作ミュージカルでも見るような鷹揚な気持ちになれなかったのかと、少し後悔しています。
(5) モンキーフォレスト
もともとは、サルがたくさん住む森でしたが、ここだけ保護区にして自然が残してあるそうで、島のジャングルの姿が、よくわかる場所でもあります。渓谷もあっていいところでした。
入場者のほとんどは西洋の観光客で、バリ島観光ツアーで、2時間程寄っていくのだろうと想像しました。園内にはいたるところにサルがいて、近寄っても逃げないので、みんな写真を撮っていました。
森の中の植物を期待しましたが、特に目新しいものは何もなく、軽く一回りしてモンキーフォリストをあとにしました。
園の前の通りは、さながら観光客お土産通りみたいで、車から見る限り、木彫りの製品や、絵画のどが売られているようでした。軽装の西洋人観光客がぞろぞろと歩いていました。
(6) ライステラス
ウブドの街から伸びている街道を車で一時間ほど進むと、ライステラスが見られる場所があります。
距離としては近いのですが、何しろ車とバイクでちっとも進まず、やっとたどりついたところは、駐車場がいくつもある、まったく観光地化した、田舎でした。
道路沿いに立ち並ぶ食堂みたいなところで、コーヒーを飲んで眼下に広がる写真などでおなじみの棚田を見るのですが、ところどころにヤシが生えているので、ちょっとエキゾチックな絵になりますが、考えてみればただの段々畑で、それを上から見下ろすので、 なんとなく立体感のある風景になります。
写真だけ見ると、なんとのどかなところだろうと思いますが、写真を撮っている背中側にはたくさんの駐車場があり、大勢の観光客が上から写真を撮っています。
たぶん、ウブドの街から一番手前にあったので、みんなここに来ているだけで、この先もこういう風景が島中いたるところにあると思いました。
棚田に沿って、ちょっと歩いてみましたが、小さな蚊がいるのか腕がかゆくなり、今はやっているデング熱に罹ってもいけないので、思いとどまり引き返しました。
あとがき
そもそもの失敗は、バリのホテルの予約を、旅行会社に頼んだことです。私はバリに行くのは初めてなので、経験豊富な旅行社なら現地の事情に詳しい人が適当なホテルを選んでくれると思い、州都であるデンパサールの街の真ん中あたりをと、希望を伝えていました。真ん中なら、歩いてでもあちこち行くことが出来るからです。
予約してもらったのは、大きなホテルでとても快適だったのですが、場所がクタという地域で、デンパサールまでは、車の渋滞もあり小一時間はかかるところで、さらにそのクタの中心からも、離れた周囲に何もないところでした。
行った時期も悪かったです。ちょうど雨季で、最後の2日間は、終日雨でした。
暮れの忙しい時期、いろいろ準備、勉強不足でしたが、旅行社やガイドブックに頼らず、誰か行ったことのある人に、聞くのが一番だと痛感しました。
今は、また行きたいという気にはなりませんが、せっかく覚えたインドネシア語は無駄にしたくないなと、変なところに執着しています。よく考えてみると、日本語を話す人口はせいぜい1億人ですが、インドネシア語は、マレーシアも含めると、3億人くらいいるのではないかと思うと、今後世界でも重要な言語圏になるような気がします。
最後に街の様子を映した写真を載せておきます。