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永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

ときつげどり【時告鳥】

2013年03月14日 | た行
鶏の異称。


 ニワトリを目覚まし時計がわりに。朝、起きられない人は、飼ってみてはいかがだろう。江戸時代は「時の鐘役」という役があり、『広辞苑』を引くと「各戸から鐘役銭を取って時の鐘をつき鳴らした」そうだ。

「時告鳥」と似た、「時つ鳥」「時の鳥」という言葉もある。ホトトギスのことだ。「時鳥(じちょう)」の訓読とある。同じ「時」でも、「時告鳥」の「時」と、「時つ鳥」の「時」とでは、ずいぶん違う。ニワトリが告げるのは毎朝の決まった時刻であり、ホトトギスが告げるのは春という季節だ。

「じちょう」を「慈鳥」と書けばカラスのこと、というのは以前も触れた。

 ニワトリには「家つ鳥」といういいかたもある。「野つ鳥」はキジのこと。

 ホトトギスには異称がたくさんある。たとえば、「古恋ふる鳥(いにしえこうふとり)」。春の訪れを告げる声が、遠い昔を懐かしむように聞えるのだろうか。「かけたかの鳥」は「ほんぞんかけたか」「てっぺんかけたか」と鳴くので、というけれども、ほんとにこんなふうに聞えるかな?