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永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

あおうなばら【青海原】

2012年08月21日 | あ行
青々とした広い海。大洋。

 内陸部で育ったので、子どものころ、海を見るのは年にいちどの海水浴のときぐらいだった。列車の窓から海が見えると「海だ!」と騒いだ。その気持ちはいまも変わらない。東京は海辺の町なのに、ふだんはちっともそういう感じがしない。羽田やお台場に向かうモノレールの窓から海が見えるたびに「海だ!」と心の中で叫ぶ。海辺で育った人は、海を見るとどんな気持ちになるのだろう。

 水は無色透明なのに、なぜ海は青いのか。青い空を映しているから、といいたいところだけど、じゃあ曇った日の海は白いのかといわれそう。実際は、太陽の光の反射のしかたで青く見える。海面の状態、海水の成分、海の底の状況など、いくつかの要素がからまりあっている……ということらしい。

「青海原」と発音も似ているし、意味もほとんど同じ「大海原」という言葉がある。

『広辞苑』で引くと「広々とした海。大海」とある。意味はほとんど同じでも、「大海原」より「青海原」のほうが好ましく感じる。「大きい」ことを「青」という色に置き換えているからだろう。青という色彩が、広さだけでなく海の深さをイメージさせる。