* naturally *

自称ライトオタ母さんの気まぐれつれづれ雑記。

脳死のこと。

2009-06-19 | 日記
 『脳死=人の死である』と言う法案が可決されましたね。

 臓器提供が必要な子供を持つ人々にとっては、とてもありがたいことでしょう。
 保険もきかない、言葉も通じない外国に、重病の子供を連れて渡るって一体どれだけ不安なんだろう。
 手術、断られるかもしれない。
 ドナーが見つからないかもしれない。
 失敗するかもしれない。
 お金、足りないかもしれない。
 それでもやるしかないのは、日本の法律と言う足枷があったから。
 日本国内で移植が受けられるなら、経済的にも精神的にも、子供の体にとってもそれが一番いいに決まってる。
 今回の可決によって、きっと沢山の命が救われることでしょう。

 一方、脳死状態の家族を持つ人々はどうなんでしょう。
 意識はない。
 場合によっては、自力で呼吸することも出来ない。
 だけど、髪は伸びる。
 爪も伸びる。
 子供だったら、背だって伸びる。
 本当に脳が完全に死んでるかどうかなんて、誰にも分からない。
 もしかして…もしかしたら、ある日目を覚ますかもしれない。
 なにより、温かい。
 こんなに温かいのに、脳が死んでたらもう死んでるって?
 この温もりさえ、認められないって言うのか。
 自分が生きていると信じている人を指して「その人は死んでます」って宣告されるなんて、まるで悪夢が正夢になったみたいじゃないでしょうか。


 私の父は、15年前に亡くなりました。
 脳溢血を起こして会社で倒れて、私たちが駆けつけた時にはもう全く意識のない状態でした。
 その後、脳死状態だと言うことを告げられて、母と弟、親子3人でいっぱい泣きました。
 だって、温かいんだもの。
 握った手が、温かいんだもの。
 よく分かんないチューブはいっぱいついてるけど、それを除けば本当にただ眠ってるだけみたいなんだもの。
 これで死んでるなんて。
 二度と目を覚まさないなんて。
 嘘でしょ?…って感じでした。

 心臓が止まれば、体の活動が止まって、脳に血が行かなくなって、やがて脳も死ぬ。
 だけど、脳が先に死んでしまった場合、現代医学なら体だけを生かしておくことは可能なんですよね。
 だから、ややこしくなる。
 家族にとっては、脳が死んでよーが意識がなかろーが、握った手が温かければそれで「生きてる」って思っちゃうでしょう。それを法的に正式に(?)「死んでる」と定義づけちゃうのは…果たしてどうなのかなぁ。


 賛否両論あるけど、もしも私があの場にいて、賛成か反対か投票しなきゃならない立場にいたら………どうしてた?
 分からない。
 とてもじゃないけど、決められない。
 だから、棄権した人の気持ちはとてもよく分かる。
 だから、賛成・反対を決めてキッパリと意思表示した人たちは、とても偉いと思う。

 この判断が正しいのかどうかは分からないけど……少なくとも、助けられる命が増えること自体は、いいことなんじゃないかなぁ…。
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