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心を洗われる音楽

2007-04-29 | 文化のこと
最近、ショパンづいてます。
「のだめ」の影響もあるかな?
前回のポリーニによるエチュードも本当に素晴らしい完璧な演奏なんですが、このルービンシュタインによるワルツ全集も素晴らしいのです。
こういう演奏を聴くと、ショパンという人が、一般に思われているようなナイーヴでデリケートな人という印象をあっけなく覆されてしまいます。
私は個人的には奥深い感情表現ということに関してはドビュッシーが白眉だと思っていますが、ショパンもスゴイです。
艶やかなメロディー、繊細なリズム、完璧に計算された和音の奥に、やっぱり諦観というか、人生への深い思索を感じます。
例えば第三番。
華麗なる円舞曲、作品34の2。
この短調の名曲のエレガンスはどうでしょう?
まるで桜を愛する日本人の情緒を表しているかのようです。
良く、日本人は虫の声や小川のせせらぎをも音楽のように感じるということが言われますが、ショパンも同じように、いえ、もっともっと繊細に、世界の音を聴きとっていたのではないでしょうか?
私には、そのように思えてならないのです。
短調の名曲では、第7番。作品64の2も日本人に広く愛されていますね。
ポーランド人の情緒って日本人のそれと似てるのかなー?と思うほど。そうですね。例えば山の中の源流から次第に海へ到る清流のような清々しい調べですね。
あるいは「別れのワルツ」作品69の1。
これもとても私たちの心性にフィットした名曲です。
長調の曲とはちょっと思えないくらい、哀切極まりない、そして素晴らしいのは、人生の悲しみといったものが、曲の奥深いところに、そっと隠されたような、まさに原罪を背負った人間の宿命とでも言うべきものが艶やかなメロディーの影で表現されているところ。
この辺は、まさにルービンシュタインの面目躍如たるところです。
ルービンユタインはユダヤ人ですが、この人の感性は、やはりただ者ではないですね。
ユダヤ人の音についての感受性というのも、ちょっと専門の方に伺いたいところです。
続く第10番、作品69の2も短調の名曲です。
なんでショパンの短調の曲ってこんなにも胸をうつのでしょうか?
勿論、巨匠の演奏が素晴らしいというのもありますが。
この曲を聴くと、明治維新から大東亜戦争へと雪崩のように流されていった日本の歴史を、ふと思ってしまいます。
第13番、作品70の3は長調の傑作です。
全ての苦しみを越えて、それでも人生の中に輝きを見出すような美しい曲です。
例えば空を翔ぶ小鳥の視点で美しい小島の森に満ち溢れる生命を愛でるような、繊細極まる表現。
遺作である第14番、ホ短調のワルツ(作品番号はありません)も素晴らしいです。
大和心に響く名曲ですよ。
演奏はもちろん完璧です。
こちらは短調の曲ながら、むしろ力強い表現ですね。
ちょっと元気が無い時に聴くと良いかも。
カンフル効果ありです。

結構、レンタルショップなどにもありますから、見かけたら是非、お聴きになって下さい。



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