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路上の宝石

日々の道すがら拾い集めた「宝石たち」の採集記録。
青山さんのダンスを原動力に歩き続けています。

◆『ボーイ・フロム・オズ』詳細レポ Ⅰ

2007-08-02 23:50:14 | ボーイ・フロム・オズ
♪Love Crazy 「ラブ・クレイジー」

アップルミントグリーンのビーチシャツに、バブルガムピンクを基調にした水着(ショートパンツ)、足元はブルーのショートソックスに、同じくピンクの靴(スリッポン型?)。こんないかにも60年代な匂いのする装いに身を包んで、アレン・ブラザースのバックダンサー役である青山さんは、オーストラリアのテレビ局の収録スタジオに現れます。その溌剌とした風貌には、TVスタジオという設定でありながら、大きなビーチボールを描いたスタジオセットと相まって、ビーチを吹き抜ける潮風を感じてしまいました。BW版では、カラフルでありながら、もっとクラシックな感じの衣装、確かスーツを着て踊っていたようですが、今回の日本版のセットと衣装は、私としてはLove Crazyのダンスにぴったり、はじけるようなポップさ、若さを作り出すには、もってこいの演出だったように思っています。

舞台向かって右側から、皆より一足遅れてご登場の青山さん@バックダンサー、ビーチシャツを着なおしながら颯爽とスタジオに入ってくるのですが、このときに、胸元がチラリ、ピーター(坂本昌行さん)は思わず覗き込むように、この青山さん@バックダンサーに、眼を奪われてしまいます。テレビ収録の準備中のはずなのに、一瞬全然違うことのスイッチが入ってしまうピーターが、何とも笑えるわけです。再演版では、このご登場のシーンが初演版に比べて、なんと言ったらよいのか・・・(笑)、かなり強調されていました。「実は男の子大好き!」なピーターと、青山さん演ずるイケメンバックダンサーの眼が合ってしまう瞬間のあの「間」が、なんとも言えずおかしくて、毎回会場が沸いていましたよね。17歳の頃から既に「男の人についつい眼がいってしまっていた」ピーターのセクシュアリティー(バイセクシャルであること)が、この作品で初めて観客に示されるのが、この場面です。そんなピーターは関係ないとばかり、収録前の最後の身支度のチェックに抜かりのない、テレビ映りを気にする、「イカシタ」青年ぶりを青山さんは好演。アレン・ブラザースの紹介をするMCの後、Love Crazyの曲の出だしと同時にスポットライトがあたって、カメラが、踊りだすダンサーたちを映し始める瞬間の、青山さんの変化の仕方がまぶしく、非常に鮮やかでした。スポットライトがあたった瞬間、バックダンサーたちのセンターで、満面の笑顔でエネルギッシュに踊りだすあの青山さん、本当に真夏の照りつける太陽のごとく、眩しかったですよね。「60年代オーストラリアでのTV収録寸前のバックダンサーさんたちの緊張」と、「2005年6月(初演時)の青山劇場のOZの観客の期待」が重なって、それが一瞬にしてパチンとはじけて、溶け合っていく雰囲気は、何とも言えず、あの曲の始まりの瞬間は、「青山劇場のOZの観客」が「オーストラリアのTVスタジオの収録に立ち会う見学客」に変容してゆく瞬間だったかもしれません。

この曲の冒頭、青山さんは、まさにスポットライトとカメラの中心、センターで踊るバックダンサーのリーダー的存在です。そしてバックダンサーたちに囲まれて現れるアレン・ブラザースともに、客席から笑いが漏れるような、振りで踊ります。しかし、その振りは、「ちょっとやりすぎ?」と思えてしまうほどにコミカルな感じでありながら、Love Crazyの歌詞にぴったりという感じで、終始青山さんの”energy is everything”で、“the whole world is buzzing”してくるようなダンスを楽しめます。腕を上げて胸を前後に動かすもの、脚をツイストする動き、そしてピーターとクリス(松原剛志さん)を囲んで、フィンガースナッピングをしながら、横に移動していくシーンで、青山さんは前列中心で、背を向けてしゃがんでスナッピングするのですが、この手首と指の動きなんて、その部分だけでリズムを感じてしまうような考えられないかっこよさ!それからフィニッシュの、しゃがんで腕を伸ばすところなんて、最高でした~。さらに、”Listen to the music in the water. Don’t you see it swim before your eyes”の歌詞に関連してか、泳ぐような感じの振りも盛り込まれていて、とってもキュート!2005年6月(初演時)という、観客の抱く夏前の今の季節感と、舞台で繰り広げられる60年代のスタジオセットの光景とが、不思議に呼応して、観ている者は、本当に60年代のあの収録スタジオにタイムスリップしているような、なんだか不思議な感覚に陥るのでした。とにかく、太陽の光と夏の海のキラキラ光るようなまぶしさを感じさせる(飽くまでスタジオのセットなのですが・・・)、このシーンの雰囲気がとってもよく伝わってくるダンスでしたし、オーストラリアでブレイクした若きピーターたちの盛り上がり具合、アレン・ブラザースの「俺たちいけるよ!」な勢いが伝わってくるダンスでした。

ところで、この場面は、何度も言っているように、TVスタジオでの収録シーン。私たち観客は、カメラに映っている人たち、映っていない人たち、全てをひっくるめて、シーンとして楽しんでいるわけなんですが、青山さん@ダンサーは、そこのあたりを、とてもメリハリをつけて演じていらして、雰囲気がよく伝わってきたのです。Love Crazyの中盤で、青山さん@ダンサーは一旦カメラからは外れて、スタンバイ状態になるところがあるのですが、このときも舞台右手のほうで、カメラに映っていないので、心なしかリラックスしながらも、すかさず髪の毛を直したり、脚の状態をチェックしたりと、「ダンサー」として完璧にカメラに映ることに余念がないのです。そして再び、カメラに撮られるときになると・・・、再びエネルギッシュにダンシング!という感じで、観客は「収録現場」の雰囲気を、本当にリアルに感じることができるわけです。その風貌だけでも、ピーターが眼で追ってしまうのは、既に納得なのですが、こういうリアルな細かい部分の役作りでまた説得力が出て、名もないバックダンサーの人物像の輪郭が明確になって、このシーン最後のダンサーさんたち引き上げるところでの、ピーターの青山さん@ダンサーに対するお名残惜しい態度にもつながるような気がしました。手をギュッと握ったり、お尻にタッチしてしまったり、と日によって様々な演出でしたが・・・。(再演時には、ジャケットを脱いで、上半身を露出しながら袖に消えてゆくという感じで、シーン冒頭のご登場のときと同じぐらいの存在感があり、ピーターの「男の子大好き路線」を強調するためのよりわかりやすい演出になっていました。)

それにしても、このシーンでの青山さんを含めたバックダンサーの方々、笑顔が最高でした!曲冒頭でのスポットライトが当たった瞬間のカメラを意識した笑顔もパワーがあって、この曲の始まりにぴったりなのですが、曲が進むにつれて他のダンサーさんたちと一緒に踊るところでの笑顔もまた格別!ステージの楽しそうな雰囲気に観客も思わず足ではリズムを取ってしまうようなシーンでした。

Love Crazyの後には、ほどなく香港のヒルトンホテルのラウンジで、ピーターがジュディーに出会うシーンとなるのですが、このシーンになるとき、Waitzin’ Matildaというピーターとクリスが歌う中国語訛りの曲に合わせて、アンサンブルの男女のカップルがダンスをしながら、ホールに入ってくるのです。場面転換の役割も負っているこのダンスシーン、Love Crazyの雰囲気とうって変わって、とってもエレガント!シックなスーツに身を包み、女性の方(WSSご出演の柳田陽子さん)をリードして、輪を描くように踊る青山さん@ホテルのゲストは、先ほどと同じ人?という感じです。端正でいて、しなやかさが際立つ後姿はエレガンスそのもの。ホテルのラウンジのほの暗い照明のなかに、ふんわりと揺れるそのお姿は、この上もなくロマンティックでした!鳳蘭さん@ジュディーのAll I Wanted is the Dreamの熱唱を聞き入る青山さんをはじめとしたアンサンブルの皆さんがとても素敵!オーストラリアのTV局のスタジオから香港のヒルトンホテルのラウンジへと、客席もあっという間のトリップでした!

◆『ボーイ・フロム・オズ』詳細レポをアップさせていただきます。

2007-08-02 23:45:11 | ボーイ・フロム・オズ
さて、和央ようかさんの”ROCKIN’ Broadway”、どんなライブ・コンサートになるのか、とても楽しみなところですが、青山航士さんはこれまでにもたくさんの元宝塚トップスターの方々と共演されています。そこで、前回の記事でもふれた、紫吹淳さんとのダンスシーン(♪She Loves to Hear the Music 「音楽を聴くのが好き」)のレポも含む、『ボーイ・フロム・オズ』(2005年初演、2006年再演)の詳細レポをアップさせていただこうかと思います。青山さんのファンの方々には、以前にファンサイト様ネタバレ版に投稿させていただいたものを読んでいただいているかもしれませんが、こうして自分のブログを開設することになりましたので、こちらに再度投稿させていただこうかと思っております。2005年6月の初演時より長い期間、貴重なスペースをお借りして、激長のレポを掲載させていただけましたこと、管理人様には心より感謝しております。本当にありがとうございました。

今回の詳細レポは、初演時に投稿したもの、つまり青山さんご登場のシーンについての詳細レポになりますが、OZ全般に関しては、いづれまた機会を改めて、昨年の再演版を経ての、他のシーンについてのレポなども、アップしたいと考えております。

ちなみに、『グランドホテル』(2006年1月)では、紫吹淳さん演ずるフレムシェンとのダンス・ナンバーがとても印象的でしたね。
その詳細レポはコチラです。
→ ♪Maybe My Baby Loves Me 「たぶん彼女は愛してる」
  ♪Girl in the Mirror 「鏡の中のあの子になりたい」

また、『テネシー・ワルツ 江利チエミ物語』(2005年9月、2006年8・9月)では、絵麻緒ゆうさん(雪村いづみさん役)とのダンス・シーンもとても素敵でした。
その詳細レポはコチラです。
♪Sweet and Gentle 「スウィート&ジェントル」

こうして自分の書いたものを読み返しながら、ちょっと振り返っただけでも、曲想、センターで踊られる方の雰囲気に合わせながら、どんなダンスでも完璧に踊りこなしてしまう青山さんのダンスのすごさに改めて驚いています。同時に、青山さんのダンスを観ながら、劇場でシーンごとにあの空気に包まれてゆく感覚が蘇ってきて、うれしくなります。こちらを読んでいただいている方に、どの程度その感覚を共有していただけるのかを考えると、かなり不安なのですが、少しでも「あの感じ」が伝わったら、とても嬉しく思います。詳細レポは、どれも激長で大変申し訳なく思っておりますが、劇場で私が体験したライブでリアルな感覚を、なんとか記録しておきたい、という思いから書き始めたものです。激長文&拙文、どうぞおゆるしください。

◆Countdown to ROCKIN’ Broadway

2007-08-01 10:42:00 | ROCKIN' Broadway
ROCKIN’ Broadway開幕まで、あと2週間ちょっと・・・。一体どんなステージになるのでしょう!?ネット上の情報や雑誌の特集記事などを読んでいたら、ますます楽しみになってきました。

まず、青山さんのファンとして、とても興味があるのが、今回のROCKIN’ Broadwayが、「ライブ・コンサート」であるということです。「ライブ・コンサート」で踊る青山さんを、私はまだ観たことがありません。ひとつのプロットが展開するミュージカル作品の中で、シーンごとに「役を演じて踊る」というのとはちょっと違う感じのする青山さん、純粋にショーのダンサーとして、1曲1曲を踊る青山さんを観られるというのが、ものすごく楽しみです。『ボーイ・フロム・オズ』や『テネシー・ワルツ』などでは、確かに「ショー」の形式でダンスシーンが織り込まれていて、青山さんはスゴイ集中力で密度の濃いダンスを見せてくださいました。そして、そのことが作品をとても魅力あるものとしていたのですけれど、今回は、1曲1曲を独立した形で、しかも、それぞれの曲を、作品からはいい意味で逸脱したかなり自由な演出で見せてもらえそうな気がするので、その点もかなり楽しみだったりします。いつものミュージカル作品の観劇では、ダンスシーンからその作品のストーリーをどんなふうに感じさせてもらえるのか、というのが、大きな楽しみのひとつだったりするのですが、ストーリーの束縛からの自由が確保されている形で、1曲完結型で、次から次へとダンスシーンを見せてもらえる・・・、そんなショーもやはり素敵です。特にその演出がスタイリッシュなものであるのなら、なおさらです。「クリスマス・レビューショー」、『TOMMY』、『SHOW店街組曲』と、台詞の少ない、楽曲が断続的に連なっていくタイプの作品が続いていますが、今回も、「ライブ・コンサート」ということで、オープニングからフィナーレまで、ステージを縦横無尽に駆け回って踊る青山さんを心ゆくまで堪能できるといいですね。

ところで、”Broadway Musical”を踊る青山さんのずば抜けたカッコよさには、これまでの作品(『ウエスト・サイド・ストーリー』、『ボーイ・フロム・オズ』、『グランドホテル』、『TOMMY』)で、後遺症が残るほどにノックアウトされていて、少なくとも私の中では、「青山さんのあのカッコよさ」が焼き付けられてしまっているところがあります。でも、今回は、Broadwayなのに、”ROCKIN”ということなわけです。耳に馴染んでいる、ある意味オーソドックスとも言える「ブロードウェイ・ナンバー」を、ROCKなアレンジでどんなふうに魅せてもらえるのかが、とても楽しみですし、私の眼に焼きつき、私の中で出来上がってしまっている「”Broadway”=あのずばぬけた青山さんのカッコよさ」という図式を、いい意味でひっくり返して更新してくださるのではないか、と既に期待で胸が膨らんでいます。和央さんが、帽子を押さえてポーズをとっていらっしゃる、あのお姿を拝見するだけでも、ファンとしては、ステージの雰囲気を勝手に想像して、気持ちばかりは既に前のめり状態です。帽子を被って踊る青山さんのカッコよさと表情の豊かさは、証明済みですし、あのスタイリッシュな雰囲気は、これまでにない感じですので、ああいうヴィジュアルイメージがステージで実現されることがあって、青山さんもああいった雰囲気の中に滑り込むのだとするなら・・・。それはもうファンとしたらものすごく楽しみです。

『Top Stage』9月号の和央さんの特集記事によると、「(ただ曲を並べて素晴らしいメロディーを聴かせるだけの)ガラ・コンサート」でもないということですし、「燕尾服やドレスでナンバーを歌い継いでいく、よくあるミュージカル・メドレーにもしたくない」というコメントもありました。「今までのブロードウェイ・ナンバーを使ったコンサートをぶち壊そうか」というパフォーマンスに、青山さんがダンサーとしている、しかも4人しかいない男性ダンサーのひとりとして、というのにうれしい胸騒ぎがします。さらに会場は、東京国際フォーラムホールA。これまで青山さんのダンスを観てきた会場の中で、最大規模です。この大会場のステージで、和央さんとエネルギーをぶつけ合うかのように踊る青山さんが眼に浮かぶようです。後方席であっても、それだからこそ感じられる青山さんのすごさをしみじみ味わえる・・・、そんな気がしています。

それから、「男性ダンサー」であることの意味が、和央さんの今回のショーでは特別であるという気がしますよね。これまでにも、青山さんは、宝塚の元男役のトップスターさんと数多く共演されていますが、皆さん、作品の中で「女役」を演じておられる方ばかりでした。しかし、今回の和央さんは、特集記事やHPの映像などを拝見しても、かなり中性的なイメージを持っておられる方のような気がします。そんな和央さんがステージ上で、どんなイメージを纏って踊られるのか・・・。「女性ダンサー&男性ダンサー」という単純な図式がピッタリとあてはまりそうにないところに、非常に興味をひかれます。今までの青山さんの舞台では、体験したことのないようなムードが生まれるのではないでしょうか。これまでの作品においても、様々なダンスシーンで、女性と踊る青山さんは、本当に素敵でした。特に宝塚の元男役の方と踊る青山さんは、とても魅力的だなあと思って、常々拝見してきました。やはり元男役の方は、「女性」として踊っても、動きにスケールの大きさが感じられて、ダイナミックな感じがするのが、素敵ですよね。私が一番印象に残っていて、好きなシーンは、『ボーイ・フロム・オズ』での紫吹淳さん演じるライザ・ミネリとのダンス・ナンバー、「音楽を聴くのが好き/She Loves to Hear the Music」なのですが、あのシーンの紫吹さんは、肌を露出した赤いスパンコールのマイクロミニ姿。青山さんたちアンサンブルのエネルギッシュなダンスと、紫吹さんの繊細でありながらもダイナミックなダンスによって、スターダムを駆け上がる女性の孤独と輝きが、1曲の中で見事に表現されていました。OZの特番で、紫吹さんが、女役としてダンスをすることの難しさを話されていたことが、印象に強く残っていますが、今回の和央さんには、そんな紫吹さんとは、かなり違う方向性を感じます。物語のなかで、特定の女性の役を演じるのではない、中性的な和央さんと、青山さんたち男性ダンサーとの関係がどんなものになるのか・・・、これまでの舞台では見たことのないものを見せてもらえそうです。

『GOETHE』9月号には、ダナ・キャランの光沢のあるシャツ・ジャケットをサラリと着こなした和央さんのお写真が掲載されています。大人の女性としての魅力に溢れたとても素敵なお姿は、宝塚ファンのみならず、30代女性のあこがれともいえるかもしれません。それでいて、テラコッタ色のメークをされたお写真を拝見していると、やはりアンドロジナスな魅力に溢れていて、ひきつけられてしまいます。そんな横顔を拝見していると、元宝塚ファン(10代前半まで)としては、和央さんのレット・バトラーはきっと素敵だったのだろうなあ~、と思ってしまいました。そんなこともあって、記事にあった、和央さんの1月の青山劇場での「ナチュラルメークに黒燕尾服」のエピソード、大変興味深く読ませていただきました。確かに宝塚における「黒燕尾服」は、「男役の象徴」ですよね。私自身、鳳蘭さんや麻実れいさんの大ファンで、10代前半まで宝塚をよく観ていましたが、一番印象に残っているシーンは?と聞かれたら、やはり黒燕尾服のシーンを挙げてしまいます。私の場合は、麻実れいさんの退団公演で、毬谷友子さんが非常に美しい歌声で「カタリカタリ」を歌うなか、大階段で麻実さんが黒燕尾服で踊るシーンがショーのシーンとして一番印象に残っています。麻実れいさんの退団公演は、『はばたけ黄金の翼よ』という、中世イタリア物だったために、衣裳が絢爛豪華なもので、当然ヘアスタイルもロングヘア。そのような衣裳で全編が展開するなかで、敢えてファンが求めた完璧な男役像を最後に、シンプルでありながら見事な形で提示してくれたシーンが、あのシーンであったような気がします。ピッタリと撫で付けたヘアスタイルに「黒燕尾服」を颯爽と着こなす・・・、これが宝塚の究極の男役像であるとするなら、前回のコンサートにおいて、あえて「宝塚」からは最も遠いところにあるようなナチュラルメークを合わせて、在団中に確立されたそんなイメージと軽やかに戯れているように見える和央さんが、今回のコンサートで、どんなイメージで歌って踊られるのか、特集記事を読んでいて、とても楽しみになりました。

ちなみに私が観た宝塚の演目の中で、一番印象深い作品は、『風と共に去りぬ』なのですが、鳳さんや麻実さんが演じられたレット・バトラー役は、和央さんも演じておられますよね。レット・バトラーの「あの髭」は、『風~』初演当時、賛否両論あったそうですが、「あの髭」がトレードマークのレット・バトラーという役は、宝塚の「男役の中の男役」なのかもしれません。私の中での宝塚の究極の男役は、麻実さんのレット・バトラーなのですが、和央さんも『風~』でレット役を演じておられたのですね。これまでにも、青山さんの舞台を通して拝見する、紫吹さんや絵麻緒さんの素敵なお姿に、私の中の宝塚DNAが騒ぎ出すことがたびたびあったのですが、今度のコンサートを拝見したら、和央さんのフェルゼンやバトラーを見たくなってしまうような気がしています。『Top Stage』と『GOETHE』、読者層が全く異なる二つの雑誌なのだと思いますが、「中性的」なイメージと一言で言っても、それぞれの雑誌で、和央さんのイメージが全く異なるのです。少し拝見しただけでも、こうして異なる魅力を持っておられる和央さんなので、ステージの上でも幅広い楽曲を様々な趣向で見せてくださるのではないか、と今から楽しみにしています。それから、フランク・ワイルドホーン氏による楽曲も2曲(?)ほどあるということですし、ネット上で眼にした情報によれば、洋楽のポップスもあるとのこと。フランク・ワイルドホーン氏の歌というと、私はホイットニー・ヒューストンのヒットソング、”Where Do Broken Hearts Go”を思い出しますが、ブロードウェイナンバーからポップスまで、新旧入り混じった名曲の数々を、新しいロックなアレンジで踊る青山さんに劇場でお会いできるのが、今からとても楽しみです。