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美の渉猟

感性を刺激するもの・ことを、気ままに綴っていきます。
お能・絵画・庭・建築・仏像・ファッション などなど。

龍安寺石庭 他

2023-03-17 19:28:42 | 庭・石

執筆していると、時間の経つのが早い。

勤め人の頃は一日が長く感じた。

よっぽどイヤだったのか。

(お世話になっておきながらすみません。)

 

今日は龍安寺の石庭の原稿が書けた。

私はここの油土塀が好きである。

抽象絵画のような、モダンな感じ。

昔はこの庭が全くわからなかったが

今はこうして写真を見れば見るほど

味わい深い。

年を取ってきたということか。

 

油土塀、石の色・形、

苔のわずかな緑と白砂。

もう絶妙である。

 

明日は平等院鳳凰堂の浄土の庭について書く予定。

(時代的な順番、バラバラですが。)

 

明日の執筆にそなえて、

今日中に関係する本を読んで頭に入れておき

一晩寝て、頭の中で醸成されるのを待つ。

もちろん原稿の土台となるのは、

私がその庭から受けた感動である。

 

池に映る平等院鳳凰堂。

外観にも、堂内にも、水面にも

確か扉の裏にも

繰り返される浄土の景色。

平安貴族の「欣求浄土」のしつこさが

これでもか、と描き出された庭。

 

どうか納得のいく原稿になりますように。


作家をひきつける西芳寺・上段の庭

2023-03-07 19:00:09 | 庭・石

昨日たまたま
手元にある川端康成の小説『美しさと哀しみと』を
開いたら
目次に「石組み――枯山水」とあった。

読んでみたら、
主人公の女流画家の感想という形で
西芳寺の上の庭について書いてあった。


 石庭としてはもっとも古いし、また力強くもあるのではないか、音子は絵になってもならなくても、それはよかった。下のやさしい、いわゆる苔寺の庭とくらべて、裏山の石庭はなんというちがいであろう。
 (中略)
 夢窓国師の石組みは、幾百年を経たか、青さびて、自然にあったままの石か人間が組んだ石か、わからないような古色をおびている。しかし人間が組んだ石にはちがいなく、角張った底力が、今ほど音子に迫って来たことはなかった。精神の量感にふれて苦しいようである。
                        (新潮文庫『美しさと哀しみと』)

 


そういえば、立原正秋の小説『去年の梅』にも、この庭の描写があった。

 

 この寺の庭は二つにわかれている。木と苔と水で組みあわされた下の庭と石だけで成っている上の庭である。下の庭には情趣があり生活機能があるが、上の庭は壮絶そのものである。これだけの庭園には醜いものがはいってくる余地がないな、と風間は横を歩いている千枝を、庭園のいたるところに立たせてみた。すると、庭園と女の姿態が、無駄のない構図でいくつも出来あがった。
                          (新潮文庫『去年の梅』)


西芳寺の上段の庭は、作家たちをひきつけるようだ。

その上段の庭は、なぜか非公開になってしまった。
まことに残念である。

※西芳寺 上段の庭の写真はこちら。

 石組みの魅力 - 美の渉猟 (goo.ne.jp)

 なお、西芳寺のウェブサイトには、もっときれいな写真が掲載されています。


平安神宮・神苑

2023-03-02 20:27:59 | 庭・石

昨日の人気記事ランキングでは

2012年11月11日(ポッキーの日だ)の

「三島由紀夫『獅子』-ヒロインは中谷美紀のイメージ」が

第2位。

 

みなさん、よく10年も前の記事を見つけてきましたね。

ありがとうございます。

 

昔の記事は、長文をほとんど改行せずに

ダラダラと書いていたようだ。

長文は、いま庭の本の原稿で書いているので

もうくたびれてブログにまで書けない。

 

今日は平安神宮・神苑の写真を。

平安神宮の神苑は4つに分かれている。

これは中神苑の臥龍橋。

昔の三条大橋・五条大橋の橋脚を再利用。

 

「龍の背に乗ったような気分になってほしい」という

神苑をつくった七代目小川治兵衛(植治)の創意が光る。

 

きれいに青空を映し込んだこんな晴れた日は

本当に龍の背に乗ったような気分になれるかもしれない。

足を踏み外すのがコワくてまだ渡ったことはないが。

 

こちらは東神苑の泰平閣。

これも明治時代の京都博覧会での建築を再利用。

楼閣の頂上で鳳凰様が羽ばたいている。

 

この東神苑に至るまで、

庭と庭をつなぐ苑路は木が生い茂り

けっこう暗い。

 

それが東神苑にいたってパッと視界が開ける。

そして栖鳳池というこの広大な池が

満々と水をたたえて美しい。

池の水は、琵琶湖疏水の水だ。

 

幕末維新の動乱による京都衰亡の危機を

自らを近代化することで乗り越えた

京都市民のために

親しみやすく、美しく。

植治の思いはそこにあると

私は思っている。

 

※ご参考

 平安神宮・神苑 植治が京都市民に捧げた祝祭空間 - 美の渉猟 (goo.ne.jp)


正伝寺の庭

2023-02-28 20:06:04 | 庭・石

京都洛北にある正伝寺の庭は

「デヴィッド・ボウイが涙した庭」ということで

知られている。

某酒造会社のCMの撮影に、

自らこの寺を指定したという。

 

京都にいる間に行くことができた。

 

参道の石垣が、なかなか味わい深い。

 

庭は

石は使われておらず

さつきの刈込みが

バランスよく置かれているだけ。

あとは白砂と白壁。

他の特長としては

庭自体は小さいけれど

比叡山を借景にしていて

空間の使い方が大きいところ。

私が行ったときはよく晴れていて

庭が、比叡山にとどまらず

空高く無限に広がっていくようだった。

それでいて刈込みは

マリモみたいに丸くてかわいい。

見ていると

どんどん気持ちよくなっていく庭だった。

デヴィッド・ボウイは

この庭のどこに感動して涙したのだろうか?

今、必死でそれを考えているところである。

 

私なりに答えは浮かびつつあるが

それは庭の本に書こう。


栗林公園の鯉とすっぽん

2023-02-27 20:40:24 | 庭・石

栗林公園の思い出。

立派な鯉がいーっぱい、泳いでいた。

となりに、亀か?

いや、すっぽんだ!

鯉を食うのでは?と

ハラハラして見ていたが

両者は顔を見合わせたあと、

素知らぬ顔ですれ違っていた。

お互いに興味はないらしい。

 

亀ならまだわかるけれど、

なぜすっぽん?

藩主の滋養強壮のために飼っていたのだろうか?

(栗林公園はかつて高松藩松平家の下屋敷。)

 

それにしても美しい庭である。

スマホ撮影なのでピント合わせが甘いけれど。

紫雲山を見事に借景にしている、

というより、

もう一体化している。

私の先祖の出自は香川県。

そこにこんな素晴らしい庭があるなんて

本当に誇らしい。

すっぽんには驚いたが。

(これは亀か?遠くて不明。松が見事。)