ロシアがウクライナに侵攻した。
自分が生きている間に、こんなことが起こるとは思っていなかった。
連日の報道に接していて、
デヴィッド・ボウイの「ステイション・トゥ・ステイション」という曲を思い出した。
曲の中で繰り返し歌われるのは、次の歌詞だ。
The return of the Thin White Duke
Throwing darts in lovers' eyes
やせた青白い公爵の帰還
恋人たちの眼にダーツを投げながら
It's too late to be grateful
It's too late to be late again
It's too late to be hateful
The European cannon is here
感謝されるには遅すぎる
再び遅れるには遅すぎる
憎まれるには遅すぎる
ヨーロッパの大砲ここにあり
この曲が発表されたのは1976年。
私がこの歌詞を知ったのは1988年、高校生の頃。
『オディティ デビッド・ボウイ詩集』という本を買って読んだ。
「よくわからないけど、当時のヨーロッパの政治情勢を歌っているんだろうな」と、
勝手に思っていた。
同時に、ヨーロッパという地域の複雑さを、勝手に感じていた。
1976年は冷戦真っただ中の頃。
1977年、ボウイはベルリンの壁を題材にした曲「ヒーローズ」を発表。
1989年、ベルリンの壁崩壊。冷戦は終結したのに、それから30年余りを経て、
2022年、ロシアによるウクライナ侵攻という状況に、
この歌詞がピタリと当てはまっているように思えてならない。
ボウイの予言めいたものを感じる。
特に、It's too late to be late againという歌詞が、
胸に突き刺さる。
どうか「遅すぎる」という事態になりませんように――1日も早い終息を祈る。