~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症にまつわる都市伝説の害

2017-09-20 15:14:34 | 特発性側弯症と民間療法
初回記載:2017年9月20日
追記:2017年11月8日

 整体・カイロ等民間療法者への呼びかけ
 これは私見であり、反対意見があることも知った上でここに記載するものです。
 根本原則として、病気の治療は医療機関で行われるべきものと考えます。医師、看護師、検査技師(検査部門)、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、医療コーディネーター等々が医療設備を用いて、責任の明確な立場の方々が患者を検査し、治療し、看護するもの、と考えます。まして、子どもの病気に対してはそれが否定される理由がどこにあるのでしょう。 特発性側弯症は子どもの病気です。自分の症状や治療内容を理解できる大人ではありません。 子どもなのです。
民間療法者は、大人を対象としてビジネスをすることで何が不満なのでしょう? 自分達が子ども達を救っていると本当に信じているのであれば、その医学的証拠を、医学データととして認められるレベルのものを提示すべきです。施術前後の写真は証拠ではありません。患者さんからの感謝の手紙は証拠ではありません。医者を巻き込んで「これは凄い」とと語ってもらうことは証拠ではありません(そもそも医者であるならば、医学データの何たるかは知っているはず。医者の自分が凄いと言うのだから、これは事実だ。というのは権威を利用した「まやかし」「印象操作」です)。政治家を連れてきて、「これは凄い」と語らせることは証拠ではありません。〇〇協会や△△団体から表彰されることは証拠ではありません。 医学データを示すことなく、事情を理解しえない子どもを治療しようとすることは、もちろん医療ではなく、道義にも倫理にも反する行為です。



平成29年9月19日付読売新聞の記事に「マンション修繕 不適コンサル」というものがありました。マンションの大規模修繕について助言するコンサルタントを巡るトラブルについて説明がされていました。グーグルでキーワード“マンション修繕 不適コンサル”で検索しますと類似記事を見ることができます。
https://mainichi.jp/articles/20170420/k00/00m/040/162000c

側弯症とマンション修繕のコンサルタントとどういう関係があるの? と疑問に思われたと思います。もちろん、修繕コンサルタントと側弯症とはまつたく無関係です。ただこの新聞記事を読み、側弯整体と不適コンサルには類似の根っこがあるな、と感じこのStep by stepでもご紹介したいと考えました。
記事を読み気になった部分には赤線を引いてみました。

① 特別な資格は必要ない
② 職務に関する法的規制もない
③ 市場があれば、そこに群がって参入してくる

このブログ内のカテゴリー「特発性側弯症と民間療法」にはこれまでに61本のトピックスを記載してきました。このブログ「Step by Step側弯症ライブラリー患者さんの皆さんへ」を作成した当初目的には「民間療法排斥」は考えていなかったのですが、現場を知るほどに民間療法が目を覆いたくなるようなウソだらけで、このまま放置したのでは患者さんが危険だ、と考えて書き続けてきたものです。思春期特発性側弯症を「治せる」と広告宣伝する整体はいまだに存在します。状況は10年前と変わりません。 整体には ①特別な資格は必要ない ②職務に関する法的規制もない そして、③市場があれば、そこに群がって参入する

彼らが群がって参入してくることで何が発生するか? どうか、そのことを想像して欲しいと思います。彼らが増えることで (彼らが側弯症に手をだすことで)患者さんの側弯症は治ることはありません。弊害が増えるだけです。
例えば、100歩、いえ、1万歩譲って、A整体が治療効果があるとしたら、どうしてB整体は治療効果がないと言えるでしょう。C整体はどうでしょう。Dは? Eは? おそらくA整体はこう言うでしょう「実績がある。この証拠写真を見てくれ。この患者の母親からのたくさんの感謝の手紙を見てくれ」と。それは、10年前と同じです。10年前、インターネットを検索すると、雨後の筍のように「側弯整体」のサイトがありました。どこを見ても提示されている宣伝文句は同じであり、そして「証拠写真」の掲示がこれでもか、というくらい示されていました。 人は視覚によりいとも簡単に騙されてしまいます。施術前と施術後の写真を並べて、こんなにカーブが減ったぞ、すごいだろう。そういう写真があちこちに貼られていました。見た目の写真で人を騙すことほど簡単な方法はありません。

こういう手口を認めた「社会」はやがて、次のような経緯を辿るのかもしれません。

1. 思春期側弯症の患者さんの背骨は「固定されている」わけではありません。曲がったカーブに力を加えれば、ある程度の「戻り」は生じます。
2. その戻ったところを写真撮影します。でも施術は「固定」ではありませんから、やがて「戻り」は「曲がり」になってきます。
でもそうはなりません。
3. なぜなら、施術は一度きりではなく、毎月2~4回は続けると大丈夫、それを思春期が終わるまで数年続ければ、側弯症は治る、のです。
  途中で止めてはダメです。 途中で止めると、せっかく「治りかけている」ものが、元の曲がりに戻ってしまいます。
4. これほど医学的に効果のある方法なのですが、「この方法(技術)」を取得するには長い年月の修練と経験を積まなければ、マスター級にはなれません。
  ゆえに、A整体は、B整体の存在を認めることができません。B整体はCを認めることができません。CはDを、DはEを認めることができません。
  A整体には、評判を聞いて全国からすがってくる患者さんがひきをきらず、その予約をとるのが困難な状況ですが、
  残念ながらB整体を紹介することはできません。なぜなら、B整体はニセモノだからです。Cもニセモノ、Dもニセモノ、Eもニセモノ。
5. でも世間の動向が雲行きが怪しい、なんとかビジネスを維持していくためには、ビジネススキームを変えたほうがいいと気づくと、A整体はB,C,D,Eらと手を組むことにします。側弯症を治せる側弯整体団体を政治家の力を借りて設立します。政治家は「票(金)」になるのなら何でもします。
6. こうして、側弯整体団体は、この団体に参加している整体に認可証を発行します。この認可証を得るためには、団体が認める「訓練」を受けることが必要です。認可証を取得した整体は、その玄関にこの認可証を飾り、ホームページでこう謳います。
「私は、側弯整体団体の訓練を受けて、正式に認可された -側弯症を治すことが認められた整体師です- と。

こうして、魔法のような素晴らしい技術を取得した整体は、その活動の手を広げていくことで、日本中の、いえ、世界中の思春期特発性側弯症のこどもたちを救い、歴史に名を刻むことができました。人類史上、初めて「施術」で思春期特発性側弯症を治した、と。

もう一度繰り返し書きます

① 特別な資格は必要ない
② 職務に関する法的規制もない
③ 市場があれば、そこに群がって参入してくる

これを許しますか ?

august03


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?




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