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側弯症 発見の遅れは手術リスクを高める (2017年九州地区のデータより)

2017-11-07 23:16:41 | カーブが進行するリスク

初回記載:2017年11月7日

特発性側弯症では早期発見が手術リスクを下げるカギです。手術を避けるには、せめて20°前後でスクリーニングされれば、その後の自然経過は大きく変わったと思うのですが...... 2017年最新の九州地区でのデータから、理想と現実のギャップを考えてみたいと思います。

ブログ内関連記事として、カテゴリー「カーブが進行するリスク」「特発性側弯症と装具療法」「マイルドカーブ」を選択して参考願います。

 

下記は、ノルウエーとギリシアでのスクリーニング結果データを比較したものです。ギリシアの場合は、思春期特発性側弯症側弯症と診断された117名は全員 手術することなく、その後25年間の日常生活を送っていました。

一方、ノルウエーの場合は、初診時コブ角平均40°の子ども達は手術となっていました。調べてみたところ、ノルウエーでは国の方針として「スクリーニングは行われていません」でした。

 

日本国内(九州地区)におけるスクリーニング結果の一端を示す資料を下記にご提示してみます。

 

◇2017 思春期特発性側弯症患者の発見理由

・対象 259人 (女子236人、男子23人)

・平均年齢 14歳 (10~18歳) .....   13.7±1.9歳

発見理由

手術あり・なし (黒が手術)

とられた治療 (初診で手術となった症例があることと、その数値に注目願います)

右端の数値はデータ上の数値をaugsut03が追記したものです

 

(comment by augusut03)

・ノルウエーは国家としては「スクリーニング」は実施していません。

・日本は、国の法律で「スクリーニング」することが求められていますが、その実施は各自治体に任されています。

・ここに示された資料は、九州地区だけのものです。他自治体の実態はまた異なると思います。

・先にノルウエーやギリシアの図を示したのは、この九州地区の表と比較してもらいたかったからです。

・示された課題は、次のようなものだと思います。

   -発見時の年齢がもっと早ければ.....  女子は9~11歳がカーブ進行リスクの高い時期に当たります

   -発見時のコブ角がもっと小さければ......発見時にすでに平均40°を超えていたのでは......

 

 

                     5. 患者の立場から見た場合、経過観察であれ体操療法であれ、

                         その前提である「早期発見されること」は非常に大きな意味を持つ。

                          この手段であるスクリーニングが抱える課題も存在する。

                    例えば、・国内の全ての自治体で実施されているわけではない。

                               ・スクリーニングには費用がかかる。

                             ・スクリーニングの精度向上という課題もある。

                              (よりローコストで、ハイクオリティのスクリーニングが求められる)

 

・特発性側弯症は「昔から」ある病気で、学校検診も行われてきています。でも、どうも一般の皆さんへの「認知度」あるいは「こどもの背中を意識して見よう」という意識は低いのではないでしょうか?   その理由のひとつは、インターネット上で氾濫する側弯整体・カイロプラクテックの宣伝広告にあります。「治せる病気」と言われていたら、誰も意識して、注意しなければいけない、などとは思いません。 だって、カゼみたいに「治る病気」であれば、カゼを引いたときに、治療すればいいと考えるのが普通です。 インフルエンザはカゼとは違う、予防注射を打っておかないとダメ、ということは浸透していますが、側弯症は早期発見が大切とはほとんどの人たちは知りません。知ろうとも思わないでしょう。なぜなら、カゼ程度にしか思えないですもの、側弯整体の広告を見ていたら。 そうは思われませんか?  

august03

 

 

☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。  医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。 ☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。 ☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?

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