~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

ハリントン脊柱そくわん固定手術 29年後

2008-07-20 16:54:55 | 側弯症手術について
側彎症手術後の correction loss 矯正角度損失について説明をしてきましたが、
過去からの経緯を書きますとどうしても、昨日よりは今日、今日よりは明日のほうが
治療方法や治療デバイスが発達していく。という論調で書いてしまうことになります。

昔の手術があたかも成績が悪い、と誤解されても困るので、ちょうど良いトピックスを
見つけましたので、ご紹介したいと思います。

  29 years after scoliosis surgery, doing great after Harrington rod
  Fusion with 3 preserved lumbar discs :
(ハリントンロッド手術後 29年経過 良好)
  http://drlloydhey.blogspot.com/2008/07/29-years-after-scoliosis-surgery-doing.html

これは Hey Clinic(米国) の Dr. Lioyed Hey氏のブログからの記事になります。

今日、クリニックで42歳になる明るいご婦人と会いました。この女性は、思春期の
娘さんが側彎症でないかどうかのチェックに付き添ってきていました。女性の話では、
自分は13歳のときにDr.Ralph Coonradの執刀でハリントンロッド手術を受けた。と
いうのです。長いあいだレントゲン検査を受けていない、ということだったので、
私は彼女に今日ここでレントゲン撮影をして点検してみませんか?と申し出しました。
その結果 .....添付写真.....骨癒合状態は良好で、デバイスの不具合もなく、
ハリントンロッドで固定せずに保存した腰椎部は、flat back syndrome(フラット
バックシンドローム)にも、Spondylolisthesis(脊椎すべり症)にもならずに、非常に良好に保たれていました。

彼女の許可を得て、彼女のレントゲン写真を Dr.Coonradに送付しました。彼は、
これまでに行った 2000症例におよぶ子ども達に実施した手術のことを覚えており、
これまでに何年間にもわたり、側彎症のこどもたちの為に働いてきています。
私たちは、このようなこどものときにDr.Coonradに手術してもらったという大人の
ひとたちを何人も知っています。彼らは皆、Dr.Coonradに感謝の気持ちを抱いて
いました。

こどものとき、あるいは思春期に脊柱固定手術をした人は、五年毎に定期的にチェックすることが大切です。老化に伴い、すべり症や変性疾患が発生することが
ありますので、近くの側彎症専門病院で診てもらうようにしてして下さい。

このように脊柱固定術から何十年たっても良好な患者さんを拝見するのは医師として
の喜びを感じます。以前のブログにも書いたように、手術においてはできるだけ
モーションセグメントを残すようにするのが大切です。そうすることで、老化による
椎体変性疾患も最小限度にすることができるからです。

-------------------------------------------------------------------------
(august03より)
患者さんにとって、良い医師と巡り会うことができるかどうかでその人の人生が
その後、大きく異なることになる。とは、あらためて言葉を費やす必要がありません。
ここで語られているご婦人はその典型的な一例なのだと思います。添付した写真を
見れば、この手術がどんなにすばらしいものであったかが、誰にでも判読すること
ができると思います。正面像においても、側面像においても、しっかりと伸びた
脊柱は、外見からは背筋のしゃきっとした女性と見栄えがするものだろうと容易に
想像することができます。術後30年近くも経過して、デバイスの不具合が一個も
発生していない、というのは、骨癒合がしっかりと完成していることの証拠であり
そのような骨癒合を達成させえた医師の技術のすばらしさを示していることになり
ます。
Dr.Coonradにより2000名のこどもたちが手術によりこのような成績が得られている
ことが、Coonrad医師に学んだ多くの医師達のその後の手術治療の技術の進歩にも
大きな貢献をしてきただろうとも想像できます。

.....ちなみにこのブログを書かれているDr.Heyの履歴も凄いものでした。

MIT/Harvard/Duke -trained spine surgeon who worked on faculty at Duke Medical Center for almost 10 years, who has cared for thousands of children and adults with spinal deformities (scoliosis and kyphosis) and other spinal problems including disc herniations, spinal stenosis, spondylolisthesis, and revision spinal surgery.

マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、デューク大学で研修医として勤務。
デューク大学メディカルセンターにて約10年間脊椎外科医として訓練を積んできた
この間、脊椎変性疾患を有する数千名のこどもや大人の治療に携わってきた。

(MITで学んだ後、医学に方向転換したのでしょう。ハーバードにせよ、デュークに
せよ、メディカル系としては世界有数の大学になります)


Today in clinic I saw a delightful 42 yo woman, who actually was bringing
her young adolescent daughter in for a scoliosis check.
The mom mentioned that she had scoliosis surgery done with a Harrington Rod
by Dr. Ralph Coonrad when she was 13 years old, and has done great ever
since.She had not had an X-Ray in many years, so we offered to get her a
screening X-Ray today.Her fusion looks awesome, hardware is intact, and her
3 discs below the Harrington Rod fusion all are well preserved without flat
back syndrome, or spondylolisthesis (slippage).
With her permission, I was able to forward her X-Rays to Dr. Coonrad, who
seems to remember all 2,000 of the children he helped with scoliosis over
the many years he worked out of Durham Regional Hospital. We have seen
many of these adult patients back for follow-up, who all remember Dr.
Coonrad with great warmth and thanksgiving.
It is important for scoliosis patients who have had fusions as a child or
adolescent or young adult to get periodic checkups every 5 years or so to
check for deformity or degeneration/slippaged below or above the old
fusion. Finding a regional scoliosis center that can handle both children
and adults is a good place to have this done.
It is great to see how well patients can do even decades after scoliosis
fusion.As mentioned in previous blog, trying to spare as many motion
segments as possible is important to help maximize disc wear while also
seeking to get best possible correction. 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« (追記あり) 側わん症手術後... | トップ | 医師とのつながり-- 側弯症専... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

側弯症手術について」カテゴリの最新記事