先天性側わん症 : 病気に対するネット情報の功罪 (私的考パートII)

添付画像は文献「Etiology of Congenital Scoliosis」The university of
Pennsylvania Orthopaedic Journal 2002　より引用したものです。

前回のレントゲン写真と比較してみていただければおわかりになると思いますが、
このこどもの場合、脊椎の多数の部位で椎体変形(椎体形成の異常)が発生している
ことがおわかりになると思います。幾つかの赤丸は私august03が説明の為に追記したものです。

先天性側わん症は、妊娠初期のかなり早い段階からの細胞分裂時のトラブルが原因
となって、脊椎椎体の形成異常が発生したものです。根本的に思春期の特発性側弯
症とは、原因も形態も、そして治療方法も異なるものです。

下記に本文献から一節を引用します。
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A second area of concern is the detection of cardiac anomalies.
About 10–15% of patients with congenital scoliosis have congenital heart
defects [33]. A careful cardiovascular system evaluation is essential for
these children. In approximately20% of patients with congenital scoliosis,
spinal cord developmental defects have been observed, including tethered
cord, fibrous dural bands, diastemetomyelia, or intradural lipoma.
All these children should have an MRI scan to evaluate the spinal canal.

第二点として心配となるのは、心臓疾患である。先天性側弯症のこども達のおよそ
10～15%には先天性の心臓疾患が見られる。このようなこどもたちには十分に注意
をはらった検査をして診断をすることが重要である。またおよそ20%のこども達には
脊髄神経の異常(tethered 神経、fibrous dural band,diastemetomylia,intradual
lipoma等)も発見される。このようなこども達に対しては、MRIによる検査が必要で
ある。
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私august03は、このStep by stepの中で、これまで何度も[側湾整体]のホームぺー
ジに対して繰り返し警告を述べてきました。思春期特発性側湾症と先天性側わん症
とをその医学的意味を区別することなく、あたかも自分はなんでも治療できるのだ
自分にかかればどんな側弯症も治るのだ、というイメージを与えるだけの宣伝が
いかに危険であるか、そのようなネット上の宣伝を規制することなく野放しにして
おくことがこども達の命をいかに危険にさらしていることになるかを訴えてきました。

手術が必要か必要でないかは、市井の[測湾整体]が決めることではありません。
医師でもない整体が、手術は危険だ、すべきでないなどと己の整体の宣伝ホーム
ページで述べる事は、言論の自由の枠からはみ出した行為です。言論の自由とは、
思想信条を述べる自由であって、営利目的のホームページで記述することとは憲法
が保証する法的精神とは異なる次元のことです。

人の命に関わる事柄を、ネットだけは何を書いてもいい、というような現状は正さ
れるべきであり、規制されるべきものです。
もっとも、それ以前に、自らを省みて自粛すべき性質のものですが。

添付のレントゲン写真はひとつの症例ですが、このように先天性側わん症はひとり
ひとりの状態(病態)が異なり、専門医師でなければ治療できない病気です。
残念ながら、国内にはこの道の専門医師の数も少ないのが現実です。どこの病院に
いけばいいか ?　ということを探すのがまず第一の難関になりますが、その為に
こそネットと、そして「患者会」に助けを求めてはいかがでしょうか。