海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

青森県北津軽郡小泊村はもうなくなってしまって。

2009-02-27 10:25:20 | Weblog
10年ほど前まで私は仕事で小泊村に通っていた。小泊といっても場所が分からないだろうか。津軽半島の日本海側のはずれにある港町だ。隣町は三厩村といって、竜飛岬が有名だ。
青森空港を降りて、レンタカーを借りると五所川原とか太宰治で有名な金木町、蜆で知られた十三湖を左手に見ながらさらに北上し、海辺に出たらもう間もなく小泊だ。四季それぞれのこの道を走ったが、ある秋の霧深い朝にりんご園の間をぬけて通る抜け道を走っているとき、樹高が低い林檎の木に大きな赤い林檎がたわわに実っているのが目に入ってきた。そのときの、こんな小さな木にこんな大きな林檎が実るのかと言う驚きは、いまでも残っている。
小泊は、真烏賊(スルメイカ)漁が盛んで、港に行くとかなり大きなスルメを洗濯物のように紐にかけて天日干にしている。舟を出してもらって港の外を一回りしたことがあるけれど、透明度の高い水底に海胆がいっぱい生息しているのが見えた。食堂では、店主がもぐって獲ってきた海胆を駐車場の脇で剥いていて、それをたっぷり乗せた海胆どんぶりが1800円くらいだった。
役場の課長の話では真冬の日本海が荒れると、港の前の防波堤のところにあるひとつ50トンもある消波ブロックが動くと言う。厳しい土地だ。
3年ほど前に教えてほしいことがあって、旧知の課長に連絡すると、町村合併になると言う。小泊村と中里町が合併して、中泊町になるのだと言う。二つの名前を足して二で割っただけの単純な名前だ。住民を納得させるにはこれしかなかったのかもしれないが、もう私の知っていた小泊村はなくなってしまった。平成の大合併とか行って全国の市町村で同じようなことが起こっているけれど、昔学校で覚えた地理が役に立たなくなってしまった。なんだろうな~。