海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

壊れていく海岸線の景色。

2009-02-19 09:59:44 | Weblog
これは伊豆半島に限ったことではないのだろうが、昔の海水浴と言えばいわゆる風光明媚な松原の先に波が打ち寄せる海岸線があり、夏には老いた松と松の間に脱衣場とシャワーを提供する海の家が点在している。ベニヤ敷きの床に茣蓙をひいただけのその情景は、いまの江ノ島、鎌倉あたりの浜茶屋と比べると貧しいものだったけれど、家族で海水浴に行ったときの忘れられない風景だ。
実際、10年ほど前までは国道135号線を熱海から伊豆半島のほうに走り始めると、まもなく伊豆多賀の辺りの松林のあたりに昔の風景をしのぶことが出来たものだった。ところが、この海があちこち埋め立てられ、今更の人工海水浴場に変貌していく。私が住んでいたたった3年の間に、置いて巨木となった松も伐られ、自然の砂浜が消えてしまったのだ。
以前に川奈のいるか浜の時に書いたように、玉砂利の浜にすることで砂浜に座った後のような砂を払う手間がなくなる。そんな、きわめて小さな観光客のニーズをもとに、こんなつまらない海水浴場がつくられていくのだ。
いるか浜の玉砂利は、確か北海道のほうから運んできたものだといっていた。おそらく、そちらでも玉砂利を剥ぎ取ることで裸になってしまった大地があったに違いない。世界でいちばんコンクリートを使っている国が日本だと言うことだが、そのコンクリートが火傷のように日本の海岸線を醜くしている。