海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

夏の終わりには鳥海山から赤とんぼがおりてきた。

2009-03-08 09:39:21 | Weblog
まだ、吹浦の話を続ける。ただしこれは私がもう父親になって、子供をつれて吹浦に滞在したときの話だ。
もうじき夏休みも終りという頃だったから、東北では初秋といった方が正しいのかもしれない。その朝、宿泊していた家の庭を見ると一面に赤とんぼが飛びまわっていた。というよりも、ひしめき合うようにして飛んでいたのだ。
こんな密度の高い群れを見たのは初めてで、子供たちと虫かごをもって捕まえてみた。網などというものは必要なく、群れの中に手を差し込み、軽く手を握るとそこには数匹の赤とんぼが捕らえられていた。
面白いと思ったのはほんの数分で、虫かごも一杯になってしまうし、あとはただ呆然と群れが風の流れに載って移動していくのを見送るばかりだった。
後に聞いた話では、赤とんぼは夏の暑い間は高い山で涼んでいて、下界が快適な温度になるとおりてくるのだという。それにしても、あの大きな群れにはレミングの移動のような破滅のための集団移動のような背筋の寒くなるところがあった。
温暖化が及べば、鳥海山で涼むことも出来なくなる赤とんぼは、どこに行ってしまうのだろうか?