海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

伊東から福井まで、その日はいつも台風の中で。

2009-02-11 13:44:11 | Weblog
以前にも台風のときの出来事を書いたが、伊東では台風にまつわる記憶が思いのほか多いことに気づいた。伊豆半島が太平洋にせり出しているカタチなので、東に向かう台風が横切る確率が高いのだと思う。
ある夏の終わり、伊東から福井県の大野市まで出かけなければいけない用事が出来た。その出かけなければいけないその日に大型台風がやってくると言う予報が出ていた。朝にはすでに雨脚も強く、いつ伊東線が止まってしまうか予断を許さない状況になった。新幹線は午後の便を予約してあったのだが、ともかく熱海まで出ておかないと出かけられなくなる可能性が高かったので1時間ほど前に熱海につく便を選んで家を出た。
新幹線で同行のメンバーと顔をあわせ、一息ついたところで窓の外を見るとあちこちの川が濁流となって渦巻いていた。強い風が吹くと、車両が揺れた。電光掲示のニュースでは、伊東線が止まったとの報を流していた。もちろん、それは運行停止中の各線のニュースのごく一部でしかない。なにしろ、伊東線はローカル線だから時に案内を忘れられてしまうほどだ。
米原で在来線に乗り換えるときに駅で聞いたのは、ちょうどその夜に福井のあたりを台風が通過する予定で、いつ電車が止まるか分からないと言う知らせだった。まあ、そんなこんながあっても、私たちは何とか大野にたどりついた。
そこは酔っ払いの集団だから、食後にホテルの部屋に集まって飲みながらTVのニュースを見ていると、まさにそのとき私たちは台風の目の中にいるのだった。
つい先ほど通り抜けてきた福井のあちこちが洪水の中にあり、私たちが過ぎたそのすぐ後にバスが水に飲まれていた。本当に間一髪の到着だったことが分かる。幸運を祝してまた乾杯。そんな旅があった。