海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

銭湯の元気な爺さん。

2009-02-23 08:41:36 | Weblog
あれは、私が伊東に移って最初の大晦日のことだから、もう6年以上も前になる。私は銭湯のいちばん風呂を狙って2時の開店ちょうどに入ったのだが、大晦日と言うことで常連の爺さんたちがすでに湯船に浸かっていた。
私も湯船に体を沈めて、一年をあれこれ振り返ったりしていたわけだが、横で大きな声が刷る。最初は喧嘩でもしているのかと思ったのだが、単に声の大きい爺さんが威勢のいいことを隣のやや若い爺さんに話しているのだった。
つい聞いてしまったのは、その爺さんの歳が大変なことになっているような気がしたからだ。
「俺はね、安い床屋なんか行かないんだ。何しろ、軍人恩給をもらっているからね。お前さんたちの年金とは額が違うよ。15年軍隊にいると、手柄なんか立てなくても曹長さんだ。曹長といえば、兵隊の中ではいちばんえらいんだ。年金も多くなるさ」
そんな話だ。私の暗算だが、戦前の軍隊の徴兵検査は20歳からだったと聞いたことがある。そこから単純に15年間軍隊にいたとすると、敗戦の利に35歳だ。
それで、あの年が戦後59年だとすると、爺さん90代も半ばではないか。
私は長湯はしないので、そんな話の途中で風呂をあがったのだが、爺さんの単価が耳に残っている。
「俺はさ、年金もらって競輪に行って、温泉に入って、飲んで、それで良いんだ、金なんか残しても仕方ないからぱっぱっと使わなきゃ」なんていってたが、元気でいてくれるとうれしいね。