海辺の暮らし

この歳まで引越しや旅行を繰り返してきた私が、これからの旅も交えて街や漁港のことを書いていきたいと思っています。

伊東線が三日も止まってしまったお盆休みもあったっけ。

2009-02-01 10:10:48 | Weblog
我が家が初めての夏を迎えた平成15年。8月に大型の台風が伊豆半島を横断していった。この台風は、予報通りだったので前日にはスーパーに見たことがないほど人が並んで買出しをしていた。その人ごみの中で、明らかに別荘地に住んでいるらしい老婦人二人が話をしているのが耳に入った。何しろ列が進まないので、話に耳を傾けてしまったのだが、「こんなに買い物で人が並んでいるのを見たのは、モスクワ以来よ」といっていたのが、今でも忘れられない。だって、それって旧ソビエト時代の、消費物資がまるでなかった時代のモスクワに違いないわけだから、古い話だ。
そんな周到な準備をしていても、台風は大きな被害をもたらした。伊東周辺がほとんど丸ごと陸の孤島と化してしまったのだ。まず、伊東線が3日間もとまってしまった。後で聞くと、海岸線の崖淵を走る伊東線は200㎜を超える雨が降ると運行停止がルールになっていて、珍しいことではないらしい。テレビのニュースでも、最初の1日くらいしか伊東線について触れていなかった。
これが、道路も同様で、山を越えて修善寺方面に出る道も落石で通れない。どうしても伊豆半島を抜け出したければ、伊東から車で下田方面に走り、桜で有名な川津のあたりで天城越えをするしかないのだった。その先にしても、西伊豆の海岸線を橋って沼津まで出て、東名で東京なり名古屋なりをめざすわけだから、伊東は本当に孤立してしまったのだった。
台風一過の晴れ渡った8月14日。まったく電車が来ない踏切を越えて、海水浴客のいない海で泳いだ。
ところで、8月14日から16日までの3日間といえば、つまりお盆休みそのもので、駅前を通りかかると絶対に来ない客を待つ旅館の客引きが、「今年はもうだめだな」と、深いため息をついて話している姿を見かけたっけ。