フランソワが教えを受けたスタール夫人。新作エピソードでは「女性の中の真珠」とうたわれたとあるが、実際はどんな人だったのだろう?
↓ 真珠にたとえられるほどの女性だから、さぞ聡明で才色兼備な方だろうと思いきや、意外と大胆な行動に出る人だったようで…。こちらが夫人の肖像画。スイスの財政家ネッケルの娘。幼少時からサロンなどで当時の知識人と交わり、知性を磨く。20歳で駐仏スウェーデン大使スタール男爵と結婚するが、2年後に別居。その後多くの政治家と浮名を流す。策略家タレーランも愛人の一人。外国大使の妻という特権を生かし、友人たちの命を救う。もともと穏健派だった夫人は、革命が過激になっていくのを憂慮し、アントワネットの助命を嘆願する論文を書いた。しかしこうした行動が当局の怒りを買い、スイスのコペに亡命。「小説論」を執筆すると、文豪ゲーテから称賛される。ナポレオンが台頭してくると彼に熱烈な思いを寄せ、彼が入浴中に謁見に押しかけ疎まれる。(ちょっとストーカーまがいの行動?)当時フランスと敵対していたドイツを称賛する論文を書いたので、ナポレオンから毛嫌いされ危険人物として監視下に置かれる。そんな夫人もナポレオン失脚後の晩年は、生きる活力を失ったのかアヘン中毒になり、脳出血で倒れしばらく半身不随の生活を送り、51歳の時パリで亡くなる。
スタール夫人が残したいくつかの興味深い名言を引用。
・英知が深くなるにつれて、心はきわめて寛大になる。
・人間を知れば知るほど、私は犬が好きになってくる。
・人の心は絶えず進歩しているが、それはらせん状だ。
・他国を見れば見るほど、私は自分の祖国をますます愛する。
・人生は時には難破船としか思えないことがあるが、その破片が友情や栄光や恋愛である。人々の生存中に流れる時間という岸は、これらの遺棄物でいっぱいである。
・書くための第一条件は、強烈な感じ方である。
・恋愛は男の生涯では単なる挿話にすぎないが、女の生涯では歴史そのものである。
・苦悩は幸福になる能力の、一つの要素である。
・私は自分が男でないことを嬉しく思う。 男だったら、女と結婚しなければならないから。
人生をシニカルな目で捉えているようにも思われる。フランソワはスタール夫人から、こうした人生訓も学んだのだろうか?
第3話後半で、19世紀初頭スウェーデンはデンマークから、カール・アウグストを皇太子と迎え入れると書かれている。↓ こちらが現存するカール・アウグストの肖像画。池田先生が描いたのは、もっと若い頃の皇太子かな?せっかくスウェーデンに迎えられたのに、皇太子になってから約半年で落馬事故が原因で命を落とすとは。享年41歳。
新作エピソード9は次号で完結する。46年前の原作「ベルばら」は、フェルゼンの死をもって完結したが、果たして今回はどうだろう?池田先生は別の締めくくり方を用意しているだろうか?
読んでくださり、本当にありがとうございます。
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